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虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

 学童・生徒・学生の皆さんはただいま夏休み真っ盛り! いいなぁ!! ということで暇を持てあましておられる手塚ファンの皆さんのため(?)、虫さんぽは今月と来月の2回にわたって大阪遠征編をお届けしま〜す! 前編の今回は、手塚治虫先生が産んだ“ある人気キャラ”のルーツをたどり、続いて幼い手塚少年の科学する心に火を灯した“ある施設”を訪れます。今回はどんな発見と驚きが待ち受けているのでしょうか。ほな、さっそくいきまひょかー(ニセ大阪弁)。



◎3年ぶりにやってきた大阪だっ!

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

2011年5月にリニューアルオープンした大阪駅が散歩の出発地点。とにかく広い! そしてビルとビルの間に架け渡された大屋根がダイナミックな視覚上のポイントになっていてかっこいい。だけどこの大屋根、オープン当初に横から雨が吹きこむと言ってニュースになっていたんだけど、その後どうなったんだろう。と思って検索してみたところ、現在は各ホームの上にそれぞれガラス製の屋根を付けて対処してるみたいですね

 さあやって参りました大阪駅! うおお〜〜〜っ、屋根がめちゃくちゃ巨大だぜ〜〜〜っ!!
 さてここ大阪は2011年の夏に一度訪れていて、そのときは手塚治虫先生が戦時中から戦後にかけて勉学に励んだ大学の跡地を訪ねたり、先生のマンガ家としての出発点となった駄菓子問屋街・松屋町を訪ねたりした。

・虫さんぽ 第16回:【夏休み関西さんぽ・前編】大阪界隈:医大生時代の手塚先生の足跡を歩く!


◎巨大ターミナル駅ひとりぼっち

 しかし手塚先生が昭和27年に上京して東京に仕事場を構えるまでは、先生の活動拠点は何と言っても大阪だったのだ。1回の散歩ではとても紹介しきれるわけがない!
 そこで今回は前後編に分けて、まだ紹介していなかった手塚スポットをじっくりと歩いてみようと思います。手塚先生とゆかりのある方々にお会いして貴重な証言もたくさんうかがってきましたので、そちらもお楽しみに! いざ出発だっ!!
 あれっ? うわしまった、駅が広すぎていきなり道に迷ってしまった。済みませーん、地下鉄梅田駅はどっちですかー?


◎老舗和菓子屋さんへGO!!

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鶴屋八幡 大阪本店。営業時間8:30-19:00、土日祝8:30-17:00、問い合せ:06-6203-7281。取材中も運転手付きの高級車で乗り付けて和菓子を買っていかれるお客様や、上品そうな奥さまがひっきりなしに訪れていた。玄関の上に掲げられている1枚板の大看板は大昔からそのまま使われているのだとか

 ということで人に教えてもらい、大阪市営地下鉄・御堂筋線に乗ってひと駅目、淀屋橋駅へと向かう。歩いてもわずか1kmほどなのでたいした時間はかからないんだけど、今日はこれからかなり歩くから、まずは体力を温存しておくことにしたのだ。
 淀屋橋駅で下車したら10番出口から地上へ出てオフィスビルにはさまれた一方通行路を逆走する形で西へと向かう。すると駅からおよそ1分ほどで右手に老舗の風格を漂わせた和菓子屋さんが見えてきた。


◎ヒゲオヤジのルーツがこのお店に!?

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鶴屋八幡 大阪本店の店内。お店の奥には和菓子と抹茶のセットやあんみつ、コーヒーなどが座って味わえる茶房も併設されている

 今回の虫さんぽ最初の手塚スポットがここ「御菓子司 鶴屋八幡」なのである。
 甘い物、とくに和菓子とチョコレートが大好きだった手塚先生だけど、このお店と手塚先生とのご縁はそれだけではない。
 じつはこの老舗を経営する一族のおひとりだった今中宏さんという方が、手塚先生と旧制北野中学校時代の同級生で、しかも手塚先生の産んだ名キャラクター・ヒゲオヤジの誕生に大きく関わっていたというのだ!!


◎ヒゲオヤジは江戸っ子ではなかった!

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今中さんにお店のおすすめ商品をお尋ねしたら「ぜひこれを」とご紹介いただいたのが、もなか「百楽」だ。こし餡入り(左)とつぶ餡入り(右)の2種類があり、こし餡入りの方は焼き皮に抹茶が入れられていて、口に含むとほのかに抹茶の香りがする。各1個195円(税込み)。50年の歴史がある鶴屋八幡を代表する銘菓だそうで、国産大納言小豆を使用した餡は舌触りがなめらかであっさりとした上品な味わい。お遣い物に最適な逸品です!

 いったいどういうことなのか!? 手塚先生のエッセイからその部分を引用しよう。
「ヒゲオヤジは、ぼくにとって肉親同様である。かれは神田の生まれで、若禿わかはげ、若白髪で、粋な私立探偵としてよく登場し、事実、ぼくのキャラクターのなかではいちばん古顔である。だが、本当は、かれは、大阪伊丹の生まれで、しかもぼくのオリジナルではない。
 ぼくの中学時代に今中いまなかという友人がいて、かれは鶴屋八幡という菓子屋のむすこだが、かれが自分のじいさんを落書きした似顔が、ヒゲオヤジである。だから、中学時代にぼくが描いたヒゲオヤジの漫画では、かれはりっぱな関西弁をしゃべっている」(『ぼくはマンガ家』1969年、毎日新聞社刊より)


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虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!


ヒゲオヤジが大阪生まれだった動かぬ証拠がこれ。手塚先生が昭和25年ごろに作成した「スター名鑑」のヒゲオヤジの項には、はっきりと「生粋の大阪っ子」と書かれている。この「スター名鑑」は作品として製作されたものではなく、手塚先生自身の覚え書きとしてノートに書き込まれたものだ。各キャラクターの絵は単行本から切り抜いて各ページに貼り付けてある。2010年に刊行された『手塚治虫 創作ノートと初期作品集』(小学館クリエイティブ)に復刻収録


◎和菓子の老舗とヒゲオヤジの関係は?

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元禄年間に創業した「虎屋伊織」の伝統の製法を受けつぎ、文久3年(1863年)、大阪の高麗橋に鶴屋八幡が創業した。その当時の繁盛ぶりが「商工技藝浪華の魁」という古文書に記されている。※画像提供/鶴屋八幡

 今回、電話でお店におじゃましたいと相談したところ、ご快諾くださり、何と今中宏さんのご子息から直接お話をうかがえることとなった!
「鶴屋八幡」は、お店のホームページによれば元禄15年(1702年)創業の「虎屋伊織」がその前身で、およそ300年の歴史があるという。そして現在はここ大阪本店のほか東京の麹町にも支店をかまえ、大手百貨店にもお店を出しているという名店中の名店なのだ。
 ぼくのいつものジーンズに綿シャツというラフな格好だと入るのにかなりためらうが、そこは勇気を出して突入! 店員さんに来意を告げると、間もなくして奥から、今中宏さんのご子息で、株式会社鶴屋八幡 常務取締役をされている今中秋津麿(いまなか あきつ)さん(54歳)がいらっしゃった。
 秋津麿さんはこの日の朝まで関東方面に出張に出かけていたが、この取材のためにわざわざ急ぎ大阪へ戻ってきてくださったのだった。


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ヒゲオヤジのデビュー作『オヤヂ探偵』。戦時中の昭和18年3月に執筆されたもので、ノートに1冊に描かれクラスメートの間で回覧された。トビラページには(今中宏 原作)というクレジットが入っており、ヒゲオヤジが今中宏氏のアイデアに基づいていたことを裏付けている。前半は4コママンガが何編か続き、途中からページ6コマのストーリーマンガになっていく。大正時代から続いていた人気マンガの主人公「ノンキナトウサン」が出演していたりして、仲間内での楽屋落ちなども交えながら、楽しんで描いていた様子が伝わってくる


◎曾祖父の似顔絵がヒゲオヤジのルーツ

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 秋津麿さん、はじめまして、今日はありがとうございます!! さっそくですが、秋津麿さんは、お父様の宏さんと手塚先生がご友人同士でヒゲオヤジの誕生に深く関わっていたということはご存知でしたか?
「はい。父は平成9年に亡くなったんですが、生前、その話は聞いたことがありますね」
 どんな風にお聞きしていたんでしょう。
「手塚先生がエッセイに書かれていたそのままの内容ですよ。ヒゲオヤジの元になったのは父が描いた祖父(私にとっては曾祖父になりますが)の似顔絵だったという話です。当時もっと詳しく聞いておけば良かったんですが、残念ながら、それ以上のことは記憶にないんです」


◎元祖ヒゲオヤジは超一流の菓子職人だった!

 宏さんのおじいさんというのはどんな方だったんでしょう。名前は“伴俊作(ヒゲオヤジの本名)”ですか?
「いえいえ違います(笑)。名前を“今中久吉”と言いましてね、父から聞いた話では、とてもガンコで恐い人だったということです。曾祖父は“和菓子の達人”と呼ばれた職人でしたから、仕事にこだわりとプライドを持って打ちこんでいると、必然的にガンコにもなっていたんではないでしょうか」


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ヒゲオヤジのデビュー第2作目『バリトン工場事件』は『オヤヂ探偵』から半年後の昭和18年6月に完成、当時仲間内で回覧された肉筆同人誌『動物の世界』に収録された。このマンガでまず注目していただきたいのは登場人物紹介ページだ。ヒゲオヤジの名前がまだ伴俊作ではなく「火氣野親次(ヒゲノ オヤジ)」となっている。ヒゲオヤジは江戸っ子でなかったばかりか、最初は名前まで違っていたんですな! 物語は前作から格段にストーリー性が増し、ある工場内で発生した機密書類盗難事件をめぐってヒゲオヤジを始めとした多くの人物が走り回るという、非常に起伏に富んだサスペンスドラマとなっている


◎昆虫同人としての交流

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『オヤヂ探偵』と『バリトン工場事件』はともに『手塚治虫 創作ノートと初期作品集2』(小学館クリエイティブ)に復刻収録されている。ちなみにこの本ではぼくも解説を書かせてもらっているのでよろしく!

 宏さんと手塚先生の交流というのはどのようなものだったんでしょうか。
「父も手塚先生と同様に子どものころから昆虫採集を趣味にしておりましたので、恐らくそれで気が合ったんでしょう。戦時中に『昆蟲の世界』というガリ版刷りの同人誌を一緒に作ったりしていました」
 ああ、ちょうど手元にそのコピーがあります。昭和18年11月発行の『昆蟲の世界』第3号では、手塚先生と宏さんを含む昆虫仲間が座談会を行っているようです。その一部を紹介してみますね。
記者「話は變りますが、皆様は東京の平山博物館へ行かれましたか?」
一同「ハイ」
記者「どんな様子でしたか?」
手塚「きたないでした」
「まっ赤でした」
今中「ピュー」(中略)
記者「何がいちばん目立ってゐましたか?」
小山内「家です」
「ふんどしとこしまき」
今中「ハンメウ(黒沢注:ハンミョウのこと)です」(中略)
記者「平山さんに會はれたでせうね」
一同「ハイ」
記者「平山さんはどんな人ですか」
今中「あかん人です」林「良い人だと思ひます」
小山内「まづしい人です」(中略)
手塚「出来たてのブヨブヨの人でした」(中略)」


◎昆虫仲間は永遠に!

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 何とも要領を得ない会話ですが、楽しげな様子だけは十分に伝わってきます(笑)。ところで手塚先生と宏さんとの交流はいつごろまで続いていたんでしょうか。
「ご存知のように手塚先生は中学を出てから大阪大学の医学専門部に進学し、やがてマンガ家の道へ進まれましたから、中学卒業以降はほとんど交流はなかったと思います。ただ父は、それ以後もずっと昆虫採集を続けていましたし、中学時代に手塚先生からもらった昆虫標本や昆虫の絵をずっと大切に保管しておりましたからね。そういった意味ではお互いに心の交流はずっと続いていたんだと思いますよ」



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昭和18年11月発行の『昆蟲の世界』第3号より目次(左)と座談会ページ(中、右)。文字とイラストは全ページにわたってほとんど手塚先生がひとりで手がけたようで、狭いページが丸っこい端正な文字でびっしりと埋めつくされている。内容は昆虫に関する研究や採集にまつわるエッセイ、手塚先生の描いたマンガなど。とくに右の座談会ページのカットとして描かれた「平山昆虫博物館」の館長・平山修次郎氏のイラストは秀逸だ。「平山昆虫博物館」へは過去の虫さんぽで行っているのでそちらを参照してください。虫さんぽ 第19回:東京井の頭公園界隈 “赤いネコ”の武蔵野と昆虫館を訪ねる


◎今中くんへの感謝のメッセージ!

 秋津麿さん、本日はとても貴重なお話ありがとうございました!! 最後に今中宏さんのことを語っている手塚先生のエッセイをもうひとつ紹介して失礼したいと思います!!
「クラスに今中という子がいた。やせて、色がまっ黒で、これがオサムシはじめ、虫をメチャクチャ集めていたので、なんとはなしに友だちになった。
 今中くんは、有名なお菓子屋の鶴屋八幡という店のむすこだった。店には、行ったことがないが、今中くんのおじいさんは偉人伝中の人なんだそうだ。ところが、今中くんにとっては、相当、けむったいおじいさんだったらしい。
 今中くんは、おじいさんの、カッカしたときの似顔はこうだと、描いてみせてくれた。ヒゲがおっ立って、愛嬌あいきょうのある似顔だった。
 いつとはなしに、その顔のぬしにヒゲオヤジという名をつけた。中学二年のときであった。
 ヒゲオヤジはこうして生まれたのである。
 何十年も、ボクの友だちで、ボクを励ましてくれ、慰めてくれ、読者を喜ばせてくれたヒゲオヤジ。彼の生みの親の今中くんに、一度会ってお礼をいいたいのだが、なかなか会えないので、せいぜい鶴屋八幡のヨウカンを買って食べることで感謝のしるしとしている」(講談社版手塚治虫全集『手塚治虫エッセイ集6』「わが想い出の記」より。※初出は1965年、鈴木出版刊『0マン』第5巻あとがき)


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今中宏氏が手塚先生からもらった直筆の昆虫画。秋津麿さんが家宝として大切に保管されているという。今中家には宏氏が手塚先生からもらった昆虫標本もあったが、こちらは保管が難しいため平成7年に豊中市に寄贈した。常設展示はされていないが、展覧会やイベントなどで時どき展示されることがあるという。※画像提供/今中秋津麿氏


◎東洋初のプラネタリウムがあった場所

 最初の訪問地でずいぶんと長居をしてしまった。しかし散歩はまだ始まったばかりである。続いて四つ橋筋をぶらぶらと南下し、向かったのは四ツ橋交差点の角だ。戦前の昭和12年(1937年)、この交差点の北東角に「大阪市立電気科学館」という施設がオープンした。
 この施設の目玉は、東洋で初めて設置されたプラネタリウムだった。
 手塚少年がこの施設を訪れたのは、小学校の同級生・石原実氏に誘われ、石原氏の父親に連れられて行ったのが最初だったという。その時の様子を、後年のエッセイから紹介しよう。
「その彼(黒沢注:石原実氏のこと)が、ぼくを四ツ橋の電気科学館へ誘ったのは、開館して間もないころであった。建ったばかりのピッカピカのビルが遠くから見えた記憶がある。(中略)東洋で最初のプラネタリウムという宣伝に心がときめき、なにか巨大な恐竜みたいな怪物を思い浮かべながら入っていった」(講談社版手塚治虫全集『手塚治虫エッセイ集6』「懐かしのプラネタリウム」より。※初出は『月刊うちゅう』1985年7月号)


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旧・大阪市立電気科学館跡地に建つ「ホワイトドームプラザ」。今回のさんぽでは見逃してしまったが、後でご紹介する大阪市立科学館・学芸員の嘉数次人さんによると、駅からこのビルへ通じる地下通路には、電気科学館当時の壁がそのまま残されているらしい。次回訪問の際にはぜひチェックしてみなくては!

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開館当時の大阪市立電気科学館。周りに高い建物がほとんどない様子がよくわかる。本文で紹介したエッセイの中で手塚先生は電気科学館の屋上から見た風景をこう記している。「南を見ると、大丸デパートの手前に、建って間もないそごうのモダンなビルがそびえていた。そのほかには、そのあたりにはまだほとんど目ぼしい高層建築がなかったように思う」(講談社版手塚治虫全集『手塚治虫エッセイ集6』「懐かしのプラネタリウム」より)※画像提供/大阪市立科学館


◎鋼鉄のマシンに魅せられた!!

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こちらは昭和30年代のものと思われる大阪観光絵はがきセットの中の1枚。中之島、御堂筋、道頓堀などと並んぶ大阪名所8枚のうちの1枚としてこの建物が紹介されている。人工着色なので当時の建物がこの通りの色だったかどうかは不明だ

 このエッセイでは、そのあと館内へ入った手塚少年が好奇心全開で見るもの聞くものすべてにいちいち驚いたり感動したりした様子が生き生きと綴られている。そして手塚少年が最も衝撃を受けたのが、プラネタリウム投影機そのもののメカニカルなデザインだった。以下、再び同エッセイから引用しよう。
「ホールへ入ったときの印象は、強烈だった。あの鉄亜鈴の奇怪な姿は目に焼きついて、後年、マンガの仕事のうえでも、しばしばイメージを流用させてもらったくらいである。いま考えると、あのデザインはたしかにライカやコンタックスの新型カメラに通じるかっこよさで、ナチスドイツの工学技術の粋であった」


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こちらは横書きの文字が右から左へ書いてあるので戦前のものと思われる絵はがき。プラネタリューム屋上にあったドームが写真で紹介されている。手塚先生のエッセイに出てきた通り、これを登るのはかなりの腕白少年でも難しそうだ

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こちらは昭和20年代のものと思われる絵はがき。キャプションにはプラネタリウムの日本での古い呼び名「天象儀」と書かれているのが時代を感じさせる。右上のマークはアルファベットのDKをデザインした電気科学館のマークだろうか


◎跡地に建った建物も科学館風?

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講談社版手塚治虫全集『手塚治虫エッセイ集6』「懐かしのプラネタリウム」に掲載されたカット

 電気科学館は1989年に建物の老朽化のために閉館し、新たに大阪市立科学館となって中之島にリニューアルオープンした。現在、この四ツ橋の跡地には「ホワイトドームプラザ」という複合商業施設が建っている。このビルは電気科学館とは何の関係もないんだけど、交差点に面した角にアールを持たせた外観や、屋上にプラネタリウムのドームを連想させる丸屋根があるところなど、多分に電気科学館を意識したデザインになっているところが心憎い。



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昭和23年に大阪の不二書房から刊行された『月世界紳士』。このマンガの中に、電気科学館のプラネタリウムの意匠からヒントを得てデザインされた逆光波望遠鏡というスーパーメカが登場する。特殊な曲がった光線で月の裏側が見られるという画期的な発明品である


◎地球をよじ登るアトラクション?

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この『月世界紳士』のオリジナル版は長らく復刻されることがなく幻の本となっていたが、2011年に刊行された『手塚治虫初期名作完全復刻版BOX2』(小学館クリエイティブ)に初めて復刻版として収録された。ほかに『流線形事件』、『仮面の冒險兒』など全5冊を収録している

 ちなみに手塚先生は、その電気科学館屋上のドーム屋根にも思い出があり、エッセイの続きでこう書いている。
「プラネタリウムを観たあとは、ときおり、屋上へ登った。ドームが半円形に屋上に膨れあがって、それを地球の北半球にしつらえてあった。腕白たちは、なんとか北極までよじ登ろうと試みた。下のほうは傾斜が急で、ぼくにはほとんど登れない代物しろものだった」
 今回、電気科学館で当時販売されていたものと思われる、このドーム屋根の写真絵はがきが入手できたので紹介しよう。うーん、このドームは子どもなら確かに登りたくなりますね!


◎コーヒー屋さんが手塚スポット!?

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福田珈琲本社。業販がメインだけど店頭でコーヒー豆の小売りもやっている。また椅子とテーブルもありセルフサービスでコーヒー1杯200円(税込み)で飲むことができる。営業時間8:30-18:00、定休日土曜・日曜、祝日、問い合せ:06-6541-5231

 歩き疲れたのでここらで少しお茶でも飲んで休憩を。四ツ橋交差点から長堀通を西へ100mほど歩き、右折して商店街をちょこっと入ったところにコーヒー屋さんらしきお店を発見した。ここにしよう。
「福田珈琲株式会社」とあるけど喫茶店じゃなくて会社なのかな? なーんてもったいぶっててもしょうがないんでネタばらしをしちゃいます。じつはここが本日3ヵ所目の手塚スポットなのである。


◎福田社長、マコちゃん誕生秘話を語る!!

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福田珈琲・社長の福田正文さん。せっかくなので美味しいコーヒーの淹れ方を教わった。「コーヒーを淹れるときはできるだけ沸騰したお湯を使ってください。お湯は何度かに分けて注ぎますが、その都度火にかけて再沸騰させるくらいがちょうどいいです。80度くらいの低温で淹れる方が美味しいと言う人もいますが、それはいい豆を低温用に焙煎した場合です。最近はコーヒーメーカーを使われる方も多いですが、コーヒーメーカーというのはお湯の温度が大体80度くらいなんですね。なのでできれば熱いお湯で淹れたいところです。ただ私も家では手軽にコーヒーメーカーを使ってしまいますけどね(笑)」。ガクッ。要は自分なりに楽しめばいいということですね。ありがとうございました

「ごめんください!!」
「いらっしゃいませ、虫さんぽの黒沢さんですね」
 事前におじゃますることをお伝えしてあったので、社長の福田正文さんが笑顔で出迎えてくださった。
 店内の至るところに赤い頭巾をかぶったかわいい女の子のキャラクターの絵が飾られている。じつはこのお店のマスコットキャラクター「マコちゃん」のデザインは手塚先生が手がけたものなのだ。福田さん、これにはどういういきさつがあったんでしょうか?
「当社は昭和26年(1951年)に私の父の福田規雄がコーヒー焙煎加工販売業として大阪で創業いたしました。
『珈琲は黒い魔女』という一風変わったブランド名も父のアイデアなんですが、使いはじめたのは東京オリンピックの前ごろからですね。それからしばらくして東京オリンピックで日本のバレーボールチームが“東洋の魔女”と呼ばれて大活躍して、うちの商品にも大いに注目が集まりました。
 父は旧制北野中学校の出身で、学年は違いましたけど手塚先生の同窓生だったんです。北野中学には六稜会(りくりょうかい)という同窓生の集まりがありましてね。もう30年以上前になりますが、そうした何かの集まりの際に、父が手塚先生と同席する機会があって、そこで「魔女のマスコットキャラクターを作っていただけませんか?」とお願いしたんだそうです」


虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

店内に飾られたマコちゃんのタペストリー。うおお、これは欲しいが、お店の看板なのでもちろん非売品である

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

マコちゃんの絵柄が入った福田珈琲オリジナル商品の数々。左上がロイヤル・ブレンドのカフェドリップ5杯分が巾着袋に入ったセット(540円)。これは宝塚の手塚治虫記念館でも販売している。右上が焙煎した豆を挽いて真空パックしたもので、手前が「マイルド・ブレンド」200g(756円)、奥が「ヨーロピアン・ブレンド」170g(778円)。いちばん前にあるのが「黒い魔女102フィルター40枚」97円。ううっ、すべてにマコちゃんの絵が入っているので使えないっ……! ※価格はすべて税込み


◎原画はどこかに保管されているハズなんですが……

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

お店自慢の豆を量り売りもしてくれる。店先で挽いてもらうのが香ばしくてまたいいんですよね! そしてここにもマコちゃんが!!

 手塚先生はすぐにOKされたんですか?
「“やりましょう”とふたつ返事で引き受けてくださったそうです。しかし手塚先生はお忙しい方ですから、父も簡単なもので十分だと思っていたところ、しばらくして手塚先生からデザイン画が送られてきてびっくりしたそうです」
 ど、どうしたんですか?
「マスコットキャラクターの絵が何と30点くらい届いたんです」
 うわあ、それはすごいですね!!
「ただし中にはどう考えてもマスコットには使えないだろうというセクシーな魔女の絵などもありましたけどね(笑)。
 そんな中に今のマコちゃんの絵があって、これでいこうということになったんです」
 正文さんはその絵をご覧になったんですか?
「もちろん見ましたよ。今も会社のどこかに保管してあるはずなので、黒沢さんが来られると聞いて探したんですが、見つからなくて……。出てきたらまたお知らせします」
 ぜひお願いします、大阪まで飛んできますから!! とくにそのセクシーな魔女の絵を見たいので!!


◎お手頃価格で美味しいコーヒーを!!

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

本社2階に設置されたドイツ製焙煎機。昔から使っているもので、機械とはいってもオートメーションではまったくない。経験を積んだ職人が必要な部分に必要な手を加えながら、美味しいコーヒーがゆっくりと出来上がっていく

 マコちゃんについてのインタビューの後、福田さんにはこだわりのコーヒー焙煎装置を見学させていただき、さらに試行錯誤の末に完成させたという1年間保存可能な完全真空パックについても話をうかがった。
「うちで扱うコーヒーは超高級なプレミアムコーヒーではありません。名前のある農園で作られたコーヒーを注文を受けてから焙煎してお出しする。それなら美味しくてあたりまえです。だけどうちでは手ごろな価格でより多くの方に美味しいコーヒーを味わっていただきたいと考えていますから、そのためにはコーヒー豆の鮮度が命なんです。
 それでうちでは父の時代から長期保存のきく真空パックの開発に心血を注いできました。これからもマコちゃんのキャラクターに恥じない、安くて美味しいコーヒーを皆さんにお届けしていきたいですね」
 福田さん、ありがとうございました!!


虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

事務所内の直販コーナー。この後ろにはテーブルと椅子があり、近くの会社員たちがサッと入ってきて200円を置いては、コーヒーを自分で注いで飲んでいく。今の季節はやはりアイスコーヒーが人気のようだ

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

すでに在庫僅少だというマコちゃんのカップ&ソーサー(3000円)を買わせていただいた。ノリタケの製品だということで見るからにコーヒーが美味しそうなカップだけど、ぼくはもちろん使わずに永久保存する!!


◎四ツ橋から移転した最新科学館を訪問!!

 豊かなコーヒーの味と香りに包まれて疲れもすっきり取れたところで福田珈琲を後にして、なにわ筋をふたたび北上。橋を渡って中之島に入ると、右手に円柱形の未来的な建物が見えてきた。「大阪市立科学館」だ。
 1989年5月に閉館した大阪市立電気科学館の後継施設として同年10月にオープンした。
 地下1階、地上4階の建物の中には、実際に見て触って学べる体験型・参加型を中心とした200以上のアイテムが展示されている。また地下1階には大阪市立電気科学館時代の目玉だったプラネタリウムが、ここでも最新機器で来館者を楽しませているのである。


虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!


大阪市立科学館の外観(左)とエントランスホール。開館時間9:30-1700(展示場の入場は16:30まで)、休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館し翌平日に休館)年末年始 臨時休館日あり、観覧料:展示場大人400円(1日有効)、プラネタリウムホール大人600円(1回につき)、問い合せ:06-6444-5656


◎四ツ橋のプラネタリウムがここにある!?

虫ん坊 2014年8月号:虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

プラネタリウム投影機の脚部はこうなっていたんですね。囲いはないのでしゃがみ込んで間近で見ることができる

 それにしても虫さんぽでここを訪ねた理由は何なのか? じつは先ほど訪ねた大阪市立電気科学館にかつてあった「あるもの」がここに展示されているのである。もったいぶらずに答えを言っちゃいましょう。その「あるもの」とは、かつて手塚少年がその威容に衝撃を受けたドイツのカール・ツァイス社製プラネタリウム投影機本体そのものなのである。


◎手塚先生も見たプラネタリウムが目の前に!!

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館内は各フロアごとに宇宙とエネルギーをテーマにさまざまな参加型展示が並んでいる

 建物の入口で広報スタッフの方に出迎えていただき、その方の案内でさっそく電気科学館にあったプラネタリウム投影機を見学させていただいた。
 旧・電気科学館のプラネタリウム投影機が展示されているのは地下1階のプラネタリウムホール前である。プラネタリウムや展示室へ入るにはそれぞれ観覧料が必要だけど、投影機の置かれている場所はホールの手前なので無料で見学できる。
 うおお、この重厚感には圧倒されます! 間近で見るプラネタリウムはつや消しの黒で塗装され、鈍く輝く鋼鉄の塊で、まるで機関車のようだ。だけどその巨大さとは不釣り合いなくらいの細部の精巧さは機関車のそれとくらぶべくもない。
 手塚先生はこの装置をドイツの精密な高級カメラにたとえたけど、ぼくは子供のころに東京の科学博物館で見た初期の宇宙ロケットや人工衛星を連想した。かっこよくデザインしようとしてこの形になったわけではない。必要な機能を集約した結果この形になった。プラネタリウムも宇宙船や人工衛星と同様、機能美の塊と呼ぶにふさわしいマシンだったのである。
 手が届くような目の前で見られるので、現代の若者にも、かつて手塚先生が受けた感動の断片くらいは味わっていただけるのではないでしょうか。


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電気科学館でプラネタリウム投影機と一緒に活躍していた太陽系投影機(左)と星座投影機も展示されている。どちらもまるで兵器のような迫力がありますね


◎星への憧れを職業にしちゃった人!!

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大阪市立科学館 主任学芸員の嘉数次人さん。「当館は最先端の科学を紹介するだけでなく、そこに至る歴史の紹介にも力を入れています。当館の展示の何かひとつでも面白いと思ってくれるものがあったら、そこからさらに深く科学について興味を持っていただけたらうれしいです」とのこと!

 続いて新旧プラネタリウムについてお話を聞かせていただいたのは、同館主任学芸員で天文担当の嘉数次人(かず つぐと)さん(49歳)である。
 初めまして。嘉数さんはどういうきっかけでこちらで学芸員をやられるようになったんでしょうか。
「私も手塚先生と同じです。子どものころから星が好きで、四ツ橋の大阪市立電気科学館のプラネタリウムに魅せられましてね、20代の前半までお客として通い詰めていました」
 子どものころからの憧れがそのまま仕事になってしまったんですね。
「そういうことです(笑)」


◎最新プラネタリウムは科学の結晶!!

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かつて大阪市立電気科学館で50年以上にわたって活躍したカール・ツァイスII型投影機。嘉数さんによれば、この装置は故障して引退したわけではないので、相当なメンテナンスは必要だと思うけど、再び動かすことは不可能ではないという。現在は大阪市の有形文化財に指定されている

 先ほど旧・電気科学館にあった昔のプラネタリウムを見せていただきましたが、最新のプラネタリウムは前の機械とどこが違うんでしょうか。
「もう表現力が圧倒的に違いますね。くっきりとシャープな星空を再現できること、すべての恒星がまたたくこと、天の川を35万個の星として表現できることなど、限りなく本物に近い星空を再現することが可能になりました」
 昔の機械とくらべて装置の形がものすごくシンプルでスマートになっていますが、メンテナンスも楽になったんでしょうか?
「歯車などの機械的な部分は少なくなって機械的なトラブルはほとんどなくなりました。しかし新しい機械はコンピュータで制御していますからね。プログラムの調整などが必要で、昔の装置とはまた別の大変さがありますね」
 解説はスタッフの方が生でやられているんですね。
「そこは四ツ橋の電気科学館の時代からずっと変わっていません。その場の流れで最新の話題を入れたり、ジョークを交えたり、担当者ごとの個性も楽しんでいただけたらと思っています」


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こちらは現在、大阪市立科学館で活躍しているプラネタリウム投影機。コニカミノルタプラネタリウム社製の最新型「インフィニウム L-OSAKA」という装置だそうだ。下の方から見上げるとロボットが横たわっているようにも見える!


◎ここへ来て科学する心を養ってください!

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1階エントランスホールに展示されている東洋初のロボット「学天則」の復元模型。オリジナルの学天則は昭和3年、当時大阪毎日新聞の論説委員だった西村真琴が製作し東洋初のロボットと言われた。圧縮空気を用いてペンを走らせ、インスピレーションが湧くと左手に持った霊感灯が光る。大阪市立科学館は2008年にその精巧な復元模型を完成させて展示を開始。コンピュータ制御でオリジナルと同じような動きをする。こんな大昔に鉄腕アトムの元祖のようなロボットが大阪で生まれていたんですね。来館の際はぜひこの元祖ロボットも見学してください

 お客さんから質問されたりしますか?
「時々熱心な方はいらっしゃいますね。われわれは専門家ですから、疑問に思ったことがあったら大人でも子どもでもどんどん質問していただければと思います。大学はそこの学生にならなければ勉強できませんが、科学館はどなたでも学べる施設ですから」
 なるほど、幼いころにここで受けた感動が原体験となってマンガ家になったり、星の専門家になったりする人がこれからも出てくるといいですね!
「私もそう願っています!!」
 嘉数さん、本日はありがとうございました!!



◎後編ではどんな出会いが待っているか!!

 さてそろそろ日も傾いてきましたが、今回の大阪さんぽはまだこれで半分です。続きはまた来月お届けしたいと思います。今回も最後までおつきあいくださってありがとうございました。お疲れさまでした。来月もここ大阪でお会いいたしましょう!! ほなサイナラ(ニセ大阪弁)。



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学天則の動く仕組みをスケルトンで紹介。さまざまな人種を混ぜ合わせて作られたという学天則の顔はなかなか愛嬌がある

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こちらもエントランスホールで粛々とパフォーマンスを行っているロボットの「キューブくん」。バラバラになったルービックキューブを無駄な動作をまったくせずに着々と完成させていく。『アトム大使』の中でロボットサーカスに出たアトムが積み木をたちどころに立方体に組み立ててしまった様子を思い出します



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(今回の虫さんぽ、4時間33分、6223歩)

取材協力/株式会社 鶴屋八幡福田珈琲株式会社大阪市立科学館(順不同、敬称略)


黒沢哲哉
 1957年東京生まれ。マンガ原作家、フリーライター。手塚マンガとの出会いは『鉄腕アトム』。以来40数年にわたり昭和のマンガと駄菓子屋おもちゃを収集。昭和レトロ関連の単行本や記事等を多数手がける。手塚治虫ファンクラブ(第1期)会員番号364番


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