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コラム:「虫さんぽ」第7回:杉並区荻窪・手塚ファン大会のルーツを訪ねる!!の巻 (写真と文/黒沢哲哉)
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荻窪名物・酒まんじゅう!

 画廊跡を後にしたぼくは荻窪の街を散策してみることにした。駅の周辺には昔ながらの商店街や、昭和を感じさせる街並みが今も残っている。画廊の近くには古本屋さんもあるから、本好きな人はぜひ立ち寄ってみよう。ただしマンガは少なめだった。


画廊の前の路地を奥へ進むと、昭和っぽいお店の並ぶ商店街があった。
左がクリーニング屋さん、右はお豆腐屋さん



北口周辺は、終戦直後、闇市が広がっていた場所だ。
その時代の名残を感じさせる小さなお店が今も軒を連ねている。
駅前広場では再開発が進んでいるが、こういう町並みは残して欲しいなぁ……


 地下道を通って駅の北口へ出る。実は今回、中央線沿線在住の友人に事前リサーチしたところ、荻窪へ行くならぜひ食べた方がいい、と強くプッシュされたお菓子があったのだ。青梅街道を渡って路地を入ったところにある『高橋の酒まんじゅう』がソレ。商品はアンコの入った酒まんじゅう1種類のみ!!
  ご主人の上村哲一(うえむらのりかず)さん(40)は二代目で、上村さんの祖父がおよそ25年前に東京でお店を開いたという。

高橋の酒まんじゅう。
営業時間 10:00〜、定休日 日曜・祝日、問い合わせ 03-3220-2103


酒まんじゅう1個105円(税込み)。ひと口食べるとお酒の香りがフワッと広がるのが、粋なオトナのお菓子という感じ。あ、しかしアルコールは入ってないから、もちろんお子様もOK!

 上村さんの自慢は、この酒まんじゅうは無添加でふくらし粉も使っていないこと。麹菌や酵母菌の力だけでふくらませているという皮は、しっとりもっちりとしていてクセになる食感だ。アンコも甘さ控え目で何個でもイケる感じである。
  取材中も、お客さんがひっきりなしにやってきて、10個20個と買っていく。早いときは午前中で売り切れてしまうという。しかし完全手作りなので、これ以上増産するのは無理なのだとか。
「実は、今でも手一杯なので、取材はほとんどお断りしてきたんですよ」と言う上村さん。皆さん、荻窪へ行かれる際はこっそり静かに(そして午前中に)訪ねて見てください。


 地図を見ると、北へ数分歩いたところによさげな公園があったので、そこでおまんじゅうを食べることにした。道の途中には80円ドリンクの自販機を発見。ラッキー!!
  天沼弁天池公園は、住宅街の真ん中にあって、静かで落ち着いた公園だった。地面に積もったフカフカの落ち葉が足に心地いい。
  人影もまばらな公園で、ひとりベンチに座っておまんじゅうを食べていると、まるで時間が止まってしまったかのように感じた。今から急いで画廊へ戻ったら、そこに手塚先生がいるんじゃないか、そんな錯覚も覚えた秋の昼下がりでした。
  皆さんも荻窪へ行ったら、画廊跡と酒まんじゅうをチェキラッ!!

 

ベンチに座って食べているとハトがワラワラと集まってきた。「あげないよ!」と言うと、残念そうに落ちた木の実をついばんでいた。

 

微妙にユル〜いバッタの絵が描かれたコンクリート製の擬木ベンチ。ジッと見てるとじわじわとくるものがある(笑)




(今回の虫さんぽ、1時間15分、1255歩)



黒沢哲哉
1957年東京生まれ。マンガ原作家、フリーライター。手塚マンガとの出会いは『鉄腕アトム』。以来40数年にわたり昭和のマンガと駄菓子屋おもちゃを収集。昭和レトロ関連の単行本や記事等を多数手がける。手塚治虫ファンクラブ(第1期)会員番号364番


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