ひとりの男と、どんな人間にでも変身できる謎の女性I.L(アイエル)の目を通して、現代の病巣を、さまざまな角度から浮き彫りにした、大人のためのおとぎ話です。 映画監督の伊万里大作は、3年前までは一流の監督として名が知られていました。 しかし、映画に夢が持てなくなってしまったため、わざとめちゃくちゃな映画を作って映...
三年前の丹波内閣成立で憲法は改正され日本は核兵器を製造。戒厳令施行で国民は一切の自由を奪われた。反体制思想家の「先生」を尊敬する活動家で電気科出身の秀才岡重明は、特技を生かし首相の暗殺計画を実行するが。...
第二次世界大戦当時の日本とドイツを舞台に、アドルフという名前をもつ3人の男がたどった運命を描く長編マンガです。1936年、ベルリンオリンピックの取材でドイツにきていた峠草平は、そこで留学中の弟が殺されていることを知ります。やがて弟が殺された理由が、彼がアドルフ・ヒットラーの重大な秘密を文書にして日本へ送ったためであ...
1956/04/15 『別冊キング』(講談社)掲載
ある紳士がプロポーズに訪れた家は「虻須虎家」。それぞれ前衛芸術をたしなむ家族にあいさつし、ついに「オブジ江さん」に花束を差し出しますが…。
「虻須虎」とは「アブストラクト・アート」(抽象芸術)のもじり。『別冊キング』は1924年に講談社(当時は大日本雄辯會講談...
四十六歳のサラリーマンが、ナイトクラブで「かぐや姫」と呼ばれる月のような美女に身も心も奪われて結婚した。だがその結婚は、彼と四人の息子たちを次々と不幸に陥れる結果となる。さてその非運と題名との関係は…。...
実在の指揮者・バーンスタインによる「平和のためのコンサート」の模様をシリアスに描いた実録風短編です。
1945年、日本の敗戦とともに大きく移り変わっていく時代の中で、崩壊していく旧家の一族の姿を描いた社会派ドラマです。東北の大地主・天外(てんげ)家の末娘・奇子(あやこ)は、家長・作右衛門(さくえもん)が、長男市朗(いちろう)の嫁・すえに生ませた不義の子でした。一方、戦地から復員してきた次男の仁朗(じろう)は、GHQ...
1955/09/25-1956/09/16 「朝日新聞日曜版」(朝日新聞社) 連載日本でTVが普及し始めた時代にそれをテーマに新聞連載された四コママンガ(週一回掲載)。政府放出品の価格問題やペニシリン禍、X線障害の続出といった当時のニュースネタが織り込まれている。一家の父はヒゲオヤジ。...
1972年8月、沖縄瑞慶覧(ずけらん)の米軍キャンプで、米軍子弟の小学生たちを人質とした篭城事件が起きた。凶悪そのものの犯人は、米軍施設勤務の日本人労働者三人で、ベトナムへ従軍した経験も持っていた。...
有利に仕官するため、浪人仙石為五郎は、仇討ちを創作し自ら演ずることにした。珍姓奇名、架空の仇を求めると言うタテマエで旅するうちに、その噂が広まって仕官話も舞い込む。だが実在しないはずの仇が出現して…。...
清朝末期、義和団娘子軍で戦った姫三娘は山東省の農民出身。決して美人ではないけれど、持ち前のタフさで義和団の敗北後も北京から上海に逃れ、そこで章炳麟門下の愛国活動家の少年王太白と出会う。三娘の飾らない魅力に徐々に惹かれていた太白だが、清朝の役人にとらわれ、拷問に屈して心に傷を負ってしまう。太白と三娘はともにお尋ね者と...
1969/02/01 『文藝春秋 漫画読本 陽春特別号』(文藝春秋) 掲載
いかだで大海原を流される男が一人、10日ぶりに島を発見し、上陸します。すぐに人のよさそうな島の住人が現れ、泊るあてがないならうちへどうぞ、と親切に招き入れてくれます。住人が案内した先はなんの変哲もないマンション。ところが住人は男の目の前で...
「鼠が関ビル」工事現場地下で、売れないマンガ家山辺音彦が仮死状態で発見された。彼に聴診器を当てがった医師は喪神状態に陥る。音彦は、自らの妄想世界「ジレッタ」に他人を引き込み没入させる能力を秘めていたのだ。 一方山辺の恋人・越路君子もまた、お腹が減ると絶世の美女に変身する、という特異能力を秘めていた。彼らの能力に目を...
「週刊漫画サンデー」(実業之日本社) 1963/12/25号 掲載
ある日、街に降り立った煮込み鍋みたいな形の宇宙船。「私たちはF星から参りました。地球の皆さん、おつきあいをいたしましょう」と女性の声で呼びかけられた総理大臣以下要人たちはめかしこんでいそいそと集まりました。
宇宙船から顔を出したのは確かに女性...
1961/05『ボリショイサーカス パンフレット』 掲載
様々な星の芸人があつまる宇宙サーカス。その中には当然、地球人の芸人もいるわけです。彼の持ちネタは鉛筆を削って文字を書くこと。地球人からしたらなんてことのない芸(?)ですが、行く先々では結構受けて、男は悠々自適の生活を送っていました。しかし毎回鉛筆を削ってば...
世界で最も荒れ果てた、アラビアのある土地に住む一家がいた。五十年前カナダの森で、祖父が女の姿をした〝神〟の警告を聞き、そんな土地へ移ったのだ。昔種子を蒔いた者らが行う、地球生命の刈り取りを逃れるために。...
「ファンシーフリー」は“気楽に、気ままに”という程度の意味で、ディズニーの長編アニメーション「ファン・アンド・ファンシー・フリー」からとられたもの。時にマンガ、時に絵物語と様々な形式で描き分けられる大人向けのマンガ版ショート・ショートSFです。ある農夫の家に突如現れた「ふえるコロッケ」。食べても食べても増えるそれは...
1963/11/02 『サンデー毎日別冊 秋の特選読物号』(毎日新聞社) 掲載
10年ぶりに密航で国に帰ってきた男。ちょっとした「不道徳」を犯すたびに人々が奇妙な目つきで自分をじろじろと見ることに気が付きました。たまらずに裏路地の酒場に駆けこむと、隣の客に「我が国は数年前、ひどく道徳がみだれたんで、いまは道徳令が...
1973/08/15 『週刊漫画サンデー』 (実業之日本社) 掲載
どこに行っても超満員の狭い日本。ある日、フースケは海岸沿いにある観光ホテルに泊まりに行きますが、どの部屋も観光客でぎっしり、「ひとりで一部屋とるなんてずうずうしい!」と中居さんに嫌味を言われる始末。嫌気がさしてホテルを出て、神社に一夜の宿を借りよ...
QQTV編成部の奮戦記。視聴率を見るたびブ然となるからブ長。見るとカーッとなって噛み付くからカ長。駅弁大学出身は駅前、東大卒はそのまま東大。見た目だけゴツいが内気なベンケイ。彼らの打ち出す珍企画は…?...
何をやってもテンポがずれ、闘志ばかりがカラ回りの学生運動活動家有川が、一世一代の勝負に出た。佐世保に停泊中の米原潜の水兵に接近し、乗艦を爆破する計画だ。遂行のためにかつての恋人をも殺害した有川だが…。...
「ハロー・マンガ」(育英出版) 1947 第七輯掲載
テング様に化けた何者かが、きつねさんを驚かそうと頑張っていますが、きつねさんは「コワイモンカ」と笑っています。さてこのオバケの正体は…?
酒井七馬(『新寶島』の原作者としても手塚治虫とかかわりの深い人物です)が主幹を勤め、育英出版が発行していた子供向けの雑誌...
タカオ、ヒナコ姉妹の家にペルーから伯母さんがやって来た。百万長者の未亡人でヘンなものばかり作る発明狂で、貫禄十分の体型の彼女の名はクスコ。やがてクスコは何故か魔法を使い始め、若い魔女リマもやって来て…。...
東京で小学校の教頭をしている加納が出席する同窓会場の母校は、五年前に廃校となり建物は朽ちていた。それでも同窓会は開かれ、みな小学生当時と変わらぬ姿で現れる。加納ことカノン以外はあの空襲以前のままで…。...
資産家札貫家の家長・礼蔵は、資産を増やすために一家全員で冷凍睡眠をすることにした。ところが札貫家が眠りについた後、冷凍睡眠は法律で禁じられることになる。彼らの眠る屋敷はいつしか、「ガラス屋敷」と呼ばれ、忌み嫌われるようになった。交代で起きたり眠ったり、を繰り返していた一族は、兄弟・親子の年齢が逆転したり、長年の冷凍...
1970/11/15 『赤旗』日曜版(日本共産党) 掲載
小人の国に流れ着いた、ややもっさりとした風貌のガリバーは、軍隊につかまって王の前に引き出され、「この国に忠誠をつくすなら船や車をうんとつくれ」と命じられます。「お安いご用で」と請け負ったガリバー、巨体を駆使して大働きしますが、そこには深刻な問題が…。
誰も...
若者グループが、レンタ・ロケットでの宇宙の旅から地球へ帰る途中、異星人の輸送船から水を分けてくれとの救援を求められた。吉良らメンバーはその船に移ったが、船内の機器が金で出来ているのを見て、悪魔と化す。...
奇妙な大人のおもちゃ店の秘蔵自慢の品。それは、一億人のミニ人間たちが住むミニチュアの日本列島だった。客のフースケはマイクを握って音声でミニ人間たちとミニ日本国を操り、図に乗って無茶苦茶をやり始めるが…。...
徐々に体全体が犬のように変形し、死にいたるという奇病・「モンモウ病」。この病気の治療に情熱を注ぐ医師・小山内は調査中に罹患してしまう! 犬のような外見に変わってしまった小山内の受難の物語。...
ちっぽけな地球の表面でうごめく人間たちの、欲望や絶望を鋭く切り取った短編シリーズです。 人種差別主義者の白人が、知らぬ間に黒人の臓器を移植され、その証拠を消そうとする話(第1話「ジョーを訪ねた男」)や、人類絶滅後の地球で、自動の生命維持装置だけで赤ん坊から大人に成長したふたりの男女の悲劇を描いた、シリーズ最終話...
1969/12 「サンデー毎日読物専科」(毎日新聞社) 掲載ヒビの入った夫婦が関係修復のため出かけた旅行先で、苦情を吸い取ってくれると言う人形を人から貰った。それに向かい悪態をつくと確かに気分が晴れる。人形のことは口づてに広まり、量産・商品化の話が持ち込まれた。...
ひとりの商社マンの姿を通して、日本人とは何かを問う社会派サスペンスです。南米リド共和国の商業都市カニヴァリアに、日本の大手商社・江戸商事の支社があり、そこへ新しい支社長・日本 人(ひもとひとし)が赴任してくることになりました。日本(ひもと)は本社の藪下専務から目をかけられていたための、異例の出世でした。ところが、妻...
1971/07 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載手塚治虫自身が登場するエッセイ風の作品。作者自ら「フレドリック・ブラウン風の」と称する、ヒネリと皮肉の利いたオチがいかにも大人向けな、連作ショートショートのひとつです。ネタにしたのはマネージャー・H氏の競馬狂い。競馬といえば、今でももっともスタンダードな公営ギ...
1970/10 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載江南地方に排ガス公害の現地調査に行った新聞記者は、地元民たちから何も問題はないと言われた。食堂のウェイトレスがひとりだけ情報提供を申し出ると、記者は彼女を宿泊中のホテルへ誘う。そこで彼女も彼も豹変した。...
1970/12 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載「笑われますぞ。だいいち五か月の胎児に声帯があると思いますか」医師は一笑に付した。それで気の迷いかと思った矢先、夫婦は再び聞いた、妻の胎内の子がしゃべる声を。その声はひどく大人びた言葉で、両親を脅し始める。...
予備校生陣内の家に不思議な女の子が転がり込んだ。魔法を操る彼女の正体は、二千年前のツリイラン国からの亡命者。それを追う過去からの刺客が東京上空に出現して…。映画のパロディがギッシリ詰まったナンセンス編。...
ちいさなヤー坊は、いつも頭にツノが生えた「もうひとりのボク」に振り回される。ちょっとした騒ぎになってママを困らせ、最後に言うのが「ごめんねママ」。でもやさしいママにだっていた。「もうひとりのママ」が。...
中国の燕の時代、建昌に住む若者迂闊(うかつ)は怠け者ゆえ匹夫井(ひっぴい)に身を落とす。彼は助けた狐の化身の美女たちを利用し、ひと儲けを企む。劇場で礼須(れず)の呆留能(ぽるの)芸術を演じさせたが…。...
1955/09/05 「文芸春秋増刊 漫画読本」(文藝春秋社) 掲載昆虫シミのシミ子は、赤足アリの社会で、客に体から出る汁をなめさせ日々の糧を得ていた。だが食糧庁の役人を客に取ったことから、汚職事件に巻き込まれ辛酸をなめる。虫権意識に目覚めた彼女は売汁禁止運動に加わった。...
1955/10 『漫画読売』 秋の朗笑号(読売新聞社) 掲載
A国とB国にはそれぞれ、別の平和の女神がついていました。両国の人間はそれぞれの平和を旗印に、激しくいがみ合っていました。さまざまな兵器が登場し、激烈な戦いを繰り広げ殺しあう人間をよそに、両国の動物たちは仲良くしています。それに気づいた人間たちはようや...
裏路地に落ちていた生きものは、人間の身体の「あるもの」にそっくり。瞬く間に繁殖し、大ブームになるが…(「ペックスばんざい」)。手塚治虫がカンヅメのために訪れたひなびた雪山の宿には、おそるべき一家が住んでいて…(「怪談雪隠館」)。平々凡々な主人公・フースケや、時に作者自身が奇妙な状況に右往左往する「シチュエーション・...
1982/10/21 「コミックモーニング」(講談社) 掲載家庭用調理ロボット、シェフ2号の設計者は、その視覚認識能力と炭酸ガス検知能力を利用し、わが妻の殺害をプログラムした。シェフ2号の製造メーカー社主である彼女が、夫の思惑に反し彼でなく専務を社長にしたからだ。短編「サスピション」第1話。...
オランダ人医師カルロスの助手に着くため長崎出島に出立する蘭方医倉敷は、かの地に性器で話す異人の遊女がいるという噂を聞いた。彼は実際にその遊女と出会う。彼女サロメは、何と尊敬するカルロスのお気に入りだった。...
1966/05/11 「漫画サンデー」(実業之日本社) 掲載通りすがりの釣り人が、品川埋め立て地で拾ったロボットの頭に、原子力カーのエネルギーを注いで供養したところ、見る見るうちに蘇生。色っぽい美人に変身…という、未来の寄席での新バージョン『野ざらし』の一席。...
岩戸景気の総本山、高天原財団ビルで起きた女傑社長怪死の真相は? 『天の岩戸』など、洒落たムードの連作ミステリー。主役は二枚目刑事ゴリさん。七変化の魅力で活躍のミッちゃんは、彼に思いを寄せるバーの女の子。...
『シュマリ』は、明治初期の北海道を舞台にした大河ドラマです。主人公は、野生的でありながら剣の腕も立つ男・シュマリ。彼はもともと内地人ですが、先住民のアイヌ人に敬意を持ち、親しく交流していました。ちなみに「シュマリ」とは、「キツネ」を意味するアイヌ語です。彼が北海道へ渡ってきた目的は、逃げた妻・妙(たえ)と、相手の男...
ナチス捕虜収容所配属将校のレーバー中尉は、戦犯として銃殺の刑場に縛られながら落ち着き払っていた。ユダヤ人の科学者ドクトル・フロッシュを殺して奪った「時間延長剤」の力でこの場を逃れられる自信があったからだ。...
海難事故で恋人則夫を失った娘は、その後幻覚を見るようになった。白い壁や舗道、シーツを見るたび、そこには網膜に焼きついた則夫の姿が浮かぶのだ。娘はその幻像に愛情を覚えて結婚をあきらめ〝彼〟と暮らし始める。...
1965/06 「漫画読本」(文藝春秋新社) 掲載円盤が日本の団地に正体不明のガラクタのカタマリを置いて飛び去った。以後円盤は世界各地にしきりに飛来してそいつを置いて行く。ひと山の中にはひとつずつ宝石が入っており、人間の欲はそれを必ず探しては抜き取った。...
1970/02 「漫画読本」(文藝春秋) 掲載ある男の家に突然上がりこんできた男の鼻先には、おかしなすっぽんが食らいついていました。「権威とは何か?人生にとって権威なぞ無意味だ」とつぶやいた後、男が家主に思い切り鼻をぶつけると、なんとすっぽんは家主の鼻のほうへ移ってしまいます。やがて家に帰ってきた家族には、みっとも...
『週刊放言』記者の御殿場は、暴力団井ノ頭組に何度も襲われる災難にあった。彼らは御殿場を歌手の森陽子と間違えて襲うのだ。森陽子は何故か御殿場とそっくりの顔をしており、バックには井ノ頭組の敵対組織がいた。...
南川博は、A4級型アンドロイドの部下マリヤと土星の衛星チタンの基地で暮らし、七年目に彼女と結婚した。そこをフォボス特殊刑務所からの脱走囚らが襲い博を射殺。マリヤを酷使するが、彼女は自分が妊娠中だと言った。...
絶倫青年矢部コウジは、手術でしゃべる性器の持ち主となり、同様に施術されたストリッパー、東京ズロースと同棲。だが理性を持った彼らの性器は、互いの情欲を萎えさせた。二人は「セクソダス人間」となっていたのだ。...
タクシー運転手ロックはハンドルを握れぬ恐怖症に陥った。ギャングに拳銃で脅され、夜道を猛スピードで飛ばして崖に激突したショックのためだ。だがギャングのボスは、震えるロックに再び同じ恐怖の疾走を強いる。...
1957/01-12 「小説サロン」 (講談社)連載「雑巾と宝石」は、SF風味の、一風変わった設定による中編作品です。ある交通事故をきっかけに、映画スターの宝石之(たからいしゆき)と、雑誌社の女性事務員・象野キン子の2人は、車にぶつかるたびに美しい容姿と醜い容姿が入れ替わる体質になってしまったのです(ちなみに作品タ...
独裁者ベニト・ヘットラーは、モニターTVとロボットを用いて国民を監視し、第三帝国を支配していた。その彼をも脅かすのが、人口過剰と食糧難。ヘットラーは自分への反乱を煽動し、内戦で人口を減らそうとするが…。...
1967/01/02 「アサヒ芸能」増刊号(徳間書店) 掲載妻と二人、平凡に暮らしていた原始人の男のもとに、ある日突然未来から観光会社がやってきた。いわく、「タイムマシン旅行」の観光スポットとして、男の家を使いたい、という…。ナンセンスSFギャグマンガです。...
1975/01/05 『赤旗』日曜版(日本共産党) 掲載
1945年正月、戦時下に新婚を迎えた平均的日本人、その名も平均(たいら・ひとし)氏一家の30年を振り返る双六風マンガ。毎年のお正月のワンシーンを切り取りながら、その年のはやりものや事件を盛り込んでいます。
1945年、戦時下でもおいもと合成酒で御屠蘇をた...
1970/04 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載会社社長が能力を買い、改めて社の頭脳に招こうと単身訪ねた男は、かつて彼が解雇した闘争的な組合委員長。だが社長はかつての闘士の無気力な姿に驚く。働いていない彼は文字どおりタコのように食いつないでいた。...
男中心の現代社会を風刺したサスペンス喜劇です。太平洋戦争中の1942年、南太平洋のガダルカナル島で、日本兵の安達原鬼太郎と関市松は、捕虜のアメリカ兵からゼフィルスという美しい女の話を聞かされました。アメリカ兵は、ゼフィルスのことを知った男は、誰でも彼女に夢中になってしまうと言いました。そしてその通りゼフィルスが忘れ...
進化した鳥が、やがて人間を支配するという架空の未来を描いたSFです。ある日、地球の鳥類が急に知能を持ち始め、人間を襲って、地球の支配者になってしまいました。それは実は、はるかな宇宙の鳥類に属する高等な宇宙人による策略でした。鳥たちは人類を家畜としてあつかい、人類の文明を引き継いで、国家、法律、貨幣制度、階級を持つ高...
1972/01 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載ある朝目覚めると会社員の頭にツノが生えていた。同時に性格は怖いもの知らずで凶暴に一変。家庭で通勤途中で会社で、当たるを幸い暴れまくる。ツノは長く伸び、医師はそれを珍しい皮膚病の「不満腫」と診断した。...
元スリ師・大枚田助五郎と段袋刑事のコンビが、難事件を解決するミステリー短編です。「刑事もどき」は「コミック&コミック」に掲載された作品です。「エムレット」は昭和48年10月3日号、「鹿の角」が昭和49年1月23日号にそれぞれ掲載されています。 解説にもあるとおり、「刑事もどき」主演の段袋刑事は、いわば不遇のスターで...
会社員下村風介のアパートの部屋に、突然見知らぬ全裸の男女が現れ生活を始めた。彼らに風介の姿は見えず声も聞こえない。風介が触ろうとしても、実体がなく腕が体を突き抜ける彼らは、十年後の世界の人間だった。...
1959/04/10-1960/10/10 「くらしの泉」(松下電器産業) 連載必ず家電製品がからむホームコメディ。電気コタツで感電するわよと脅し、電気カミソリを扱えばなぜか奥さんの美貌が無精ヒゲだらけとなる。…この作品の掲載誌が家電メーカーのPR誌。ほのぼのしたいい時代でした。...
1971/02/01 「ビッグコミック」増刊号(小学館) 掲載「もちろん奥さんには知られてないでしょうね」と男女の火遊びの楽しさを綴った手紙が懐にないことに気付いた手塚治虫は、大慌てで家へ戻った。すると妻は言う。手紙なら雑誌に掲載のため編集の人が持って行ったと…。...
1973/10-1974/09 「アニマ」(平凡社) 連載いろいろな動物の個性を、マンガと文章で風刺したショート・ショートです。第1話のサルに始まり、毎回1種類の動物をとりあげて、さまざまな切り口と表現方法によって描かれており、それがその動物の個性を現わすものになっているなど、実験的な意味でも面白いシリーズでした。...
手塚治虫が街で出会った奇妙な外国人の絵描き。彼の描く絵に、ある法則を見つけた手塚は…。実話タッチのシリアスSF短編です。手塚治虫が知り合った下手くそな絵描きコニー・ドオベルマンは、欧州各地で食い詰め新宿に流れ着いたイングランド人。〝何者か〟の依頼で凄まじい徹夜仕事を重ね、数百枚の連作による「ある惑星の歴史」を描き続...
山間の小さな町、稲武市。南アルプスの東にあるこの町は、近年急速に発展した小さな地方都市でした。ある日、その町の「朝日新聞」以外の新聞が急に届かなくなってしまいました。テレビも、ラジオも映らず、電話も通じない中、不審に思った経理マンの白川は、いぶかしみながらも、いつもどおり会社に出勤します。会社に行っても、市外に住ん...
この作品は、隠れた手塚治虫の自伝的作品です。 稀代のストーリー・テラー手塚治虫は、たくさんのフィクションを生み出す一方で、折に触れて自分の半生をマンガにしています。『紙の砦』や『ゴッドファーザーの息子』など、明らかに自伝とわかる作品もあれば、『モンモン山が泣いてるよ』のように、フィクションとない交ぜになったもの、ま...
1986/11/07 第二回 隆一展にて初出。手塚治虫が「フクちゃん」をパロディした4コマ漫画。英字模様のハイカラな着物のおじいさんは実は…?
ひとりの悪女の生き方を軸にして、人間社会のゴタゴタを昆虫世界になぞらえて描いた風刺ドラマです。その年の芥川賞を受賞したのは、天才と噂される新進作家・十村十枝子でした。そしてその授賞式が行われているとき、別の場所で臼場かげりという女が自殺をしていました。臼場かげりと十村十枝子は、かつて一緒に暮らしていたこともある仲で...
戦争を皮肉った大人向けの風刺マンガです。東南アジアの独裁国パイパニアでは、人工受精によって人間を大量生産し、兵士にしようという計画が進んでいました。そのパイパニアへ、日本の自衛隊から義勇兵として送られた天下太平は、脱走して捕まり、人工受精の研究の実験台にされてしまいます。ところが、調べてみると、太平の精子は特殊なも...
「一切合財教団」による宗教政権樹立で、人前でも全裸のままの生活スタイルが常識となった未来。女性の姿は服を着るほどにエロチックゆえ、着衣写真の〝エロ本〟を男たちは密かに収集する。そんな時代の悲喜劇を描く。...
手塚治虫による「ファウスト」の3度目のマンガ化です。1970年2月、東京にほど近いN市のNG大学で、50年間研究に打ち込んできた一ノ関教授は、いまだに宇宙の真理が究明できないことに絶望し、自殺しようとしていました。そこへ魔女メフィストが現われ、新しい生命と新しい人生を与えてほしいという一ノ関教授の願いを聞きいれます...
初出:1984/02 『丸』(潮書房)掲載 田河水泡の『のらくろ』を、手塚治虫がパロディした作品。猛犬連隊に入隊したのらくろは、入隊早々偶然に手柄をたてまくるが、お腹がなかなか満たされない。...
雨夜のタクシーの中で、お互いの恐ろしい罪を告白しあう乗客と運転手。二人の言葉は嘘か?真実か?日常に潜む恐怖を描いたサスペンスホラー短編です。闇夜を箱根越えする1台のタクシー。乗っているのは、ドライバーと客の2人。「バイパスの夜」は、ほとんどがこの2人の会話だけで進行する、サスペンス仕立ての短編作品です。返事すらしな...
小説家・美倉洋介がある日駅で見つけた少女・ばるぼら。彼女が美倉の家にいついてからというもの、美倉のインスピレーションが冴えわたり…。悪魔か、ミューズか。ふしぎな少女ばるぼらを巡る不可思議な物語。『ばるぼら』は、小学館『ビッグコミック』に1973年7月から翌74年5月まで連載された作品です。ばるぼら、という名前のフー...
1971/04 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載金満家が自分の妻の殺害を企んだ。三十五も年が違うとはいえ、若い男とのあからさまな不倫が許せなかったからだ。愛犬を凶器とし、条件反射の習性を利用して、実行に移された計画は、完全犯罪となるはずだったが…。...
江戸時代から明治時代へ……日本の政治の一大転換期を舞台に、その時代を全力で駆け抜けた若者たちの姿を描いた大河ドラマです。青年武士・伊武谷万二郎は、剣豪・千葉周作の道場へ入門しましたが、入門3日目に千葉周作は死亡。その通夜の席でいざこざを起こし、兄弟子の清河八郎と決闘することになってしまいます。そしてけがをした万二郎...
人生に疲れた男が、不思議な子どもと出会って、目には見えないがまたげばすべてを忘れ別人になれる「健忘線」の存在を教わった。さっそくまたいだ男は心機一転元気を出し、健忘線の効用をビジネス化し、成功するが…。...
1976/08/01 『ビッグコミック増刊号』(小学館) 掲載
課長に呼び出されたある日のフースケ、すっかり舞い上がって地に足がついていません。なんと、大取引先であるマッキーロ社のネーチャン副社長の専属の接待役を仰せつかり、異例の抜擢に有頂天なのです。そこに社長が現れて、課長となにやら意味深なニヤニヤ笑い。フース...
1970/06 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」の手塚版パロディ!?大人向けのシニカルなギャグ短編です。ある朝極楽の蓮池のまわりを歩かれていたお釈迦様は、下界のひどい汚れように気付かれて、世直しを行う時期と判断された。そのために使う道具は非科学的なクモの糸などではなく、深層心理を...
1957/09-1958/08 「平凡」(平凡出版) 連載「ひょうたん駒子」は1957年9月から翌年8月まで、雑誌「平凡」で連載されました。学術研究のため、という名目で日本に連れてこられた南極で発見された原始民族・オングル族の娘、コマコ。何しろ文明社会に慣れていないせいでいろいろな騒動を巻き起こしますが、気立ては...
ヒョウタン型の愛機ウラナリ号で宇宙を旅する九十二歳の権六、二十歳の兵六(ヒョウロク)父子は女好き。ことに若い兵六は、あちこちの星で女性型住民に迫るが、身体機構的な違いも無視するのでトラブルは絶えない…。...
時は幕末。平凡な百姓フースケは、有名になりたくてたまらぬビョーキのため放浪の旅に出た。そしてホモで麻薬中毒の清水次郎長や、明治の世まで生き延びて新鮮組農場の主となる近藤勇のもとで、おかしな活躍を展開する。...
映画館の前で知り合った少女リカは理知的な娘だった。しかし、少年がリカの家を訪れるとリカそっくりのマリというまったく性格の違う娘が…。意外な真相に驚かされるミステリー短編です。...
『漫画読売』(読売新聞社)1956年3月5日 掲載
「ある人口が多すぎる国があった。人間がガムシャラに勇ましいほか何一つ取柄のないこの国の政府は、海外派兵を商売することを計画した」という書き出しで始まる風刺漫画。この国の男性はみな徴兵制のもと兵隊にとられ、「1級品」から「級外品」までに分けられて諸外国に貸し出され...
ドイツのデュッセルドルフでは、女性の連続絞殺・屍姦事件に市民が怯えていた。真犯人が逮捕されると、性的快楽を目的とした彼の凄まじい背徳と凶悪の履歴が法廷で暴かれる。鶴見俊輔氏の著作に記載の実話に基づく作品。...
南の島で玉砕した日本軍で、ただ一人生き残った男が出会ったのは、負けの女神だった!負けの女神に一目ぼれした男はその後…シモネタと風刺の効いたギャグ短編です。
手塚治虫自身にそっくりなマンガ家・大寒鉄郎一家の日常をつづった育児マンガです。神がひとつの生命を、マンガ家の家に誕生させました。その息子はマコト(愛称マコ)と名づけられ、しっかり者の母と、おっちょこちょいの父の愛を受けてすくすくと育ち、やがて2歳になりました。続いて長女のルミ子(愛称ルミ)、次女のチイ子(愛称チイ)...
地球にそっくりなのに、すべてのものが植物でできている星に降り立ったロケットの乗組員たち。不思議な惑星を舞台にしたSF短編です。
現代のありとあらゆる悪を体現する悪魔のような男の姿を通して、現代社会の病理を浮き彫りにしたピカレスク(悪党)コミックです。真面目で有能な銀行員・結城美知夫のもうひとつの顔は、次々と犯罪を犯し続ける凶悪な誘拐犯でした。結城は、犯罪を犯すたびに、教会の賀来神父の元を訪れ、懺悔をしていました。けれども結城と賀来神父とは、...
20XX年、アフリカ・ケニヤにあるトウ・モロー メタモルフォーゼセンターには、重罪人が続々と送りこまれていた。センターでは生きた人間に改造手術を施し、獣にして野に放っていたのだ。(「ザムザ復活」) 太平洋戦争下、南の島に降り立った南方軍の名将・雨月大将が見捨てられた村で出会った少年と少女は、実は…… (「大将軍森...
天下を狙う領主・最上殿は、自分の影武者をしたてようと、領地の農民で自分によく似たしょんべを攫って、武士としての教育を施す。完璧に殿様になりきったしょんべは、自分の家族を殺し、生活を台無しにした殿に復讐をしようと思い立ち…。...
異国で札ビラを切り、日本人はついにその女を買った。何十年も昔に恋人との仲を裂かれて以来、歳を取らずに彼を待ち続ける奇跡の美女。その恋人を奪ったのは、実は太平洋戦争中地元の男らを強制連行した彼自身だった。...
スチュワーデスの彼女が史上最高速新型旅客機の乗員に選ばれて、ますます高嶺の花となり、TVレポーターの彼は落胆した。だが仕事では強引な彼は、同機の招待飛行の取材に潜り込むが、予期せぬ事態が発生する。...
東京都知事を銃撃しガードマンを殺害した犯人として指名手配中の甲斐泰夫は、古畑村の村長らにかくまわれた。村長の目論見は彼の逮捕を劇的に演出し、その話題をマスコミを通じて広め村を時の名所とすることだった。...
1971/07 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載夜行列車の寝台に入った手塚治虫は、上の段の新婚夫婦が交わす陰惨な会話と、新妻の泣き声を聞いた。だが覗いてみると誰もいない。幽霊と思った手塚は驚愕し最寄駅で下車。そしてその土地の宿で、再び二人の声を聞く…。...
馬を語れば円盤が出現し、なまずを語れば地球が爆発(!)、蛾を語ればブスタレントが美女に変身。「女」なんて章もありますゾ。マンガ精神横溢、奇天烈にして各禽獣虫魚の真髄を突く動物記。とくと熟読玩味されたし!...
幸せな新婚夫婦が偶然訪れた古風なお屋敷には、どこか影のある女性が一人で住んでいました。彼女とあった数日後から、夫婦の間に亀裂がはいり…。風サスペンス短編です。
近未来、家族から見放された老人達が暮らす老人ホームで、殺人事件が起こった!犯人はいったい誰なのか。ミステリー短編です。「料理する女」は、サスペンスタッチの短編です。舞台はとある病院ですが、登場人物は老人ばかり。患者「B」氏の娘と、飯炊きのおばさん、医師以外は全て、老人という地味さ加減。彼らは痴呆を理由に、家族から追...
劇団星座の雄谷は混乱した。愛妻のやす江が生死の境をさまよったのち別人格となり、堀田美奈子と名乗り始めたのだ。〝美奈子〟の記憶は明瞭で、西北大在学中に、理事長退陣闘争の指導者の新門徹二と愛し合ったと言う。...
1964/09 「漫画読本」(文藝春秋新社) 掲載マン丸株式会社の新入社員百科は、仕事は楽々人の何十倍もこなし、女の子には大もての凄い奴。実は会社が人間と入れ替えようと計画するロボットの試作品だった。その彼が社員たちから信任され労組委員長となって…。...
1971/10 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載三十五歳の会社員W氏は音楽を聞くと笑いが止まらなくなる奇病の持ち主。子ども時分の終戦の日に、米軍が流す音楽を防空壕の中で聞いて以来のことだった。社長の告別式が音楽葬だったため、彼は左遷の憂き目にあう。...
海で入水自殺を図った男が死ねずに孤島に泳ぎ着いた。寝ようとすると無人の島に砂の枕とフトンが出現。島は彼の腹が減れば海の魚を、酒を欲すれば木の実から〝カクテル〟を与える。島は彼を愛し彼もその思いに応えた。...
冬の温泉郷へ向かっていた手塚治虫は、鉄道事故と豪雪が重なったため、止むなくタクシーを下り、徒歩で近くの宿にたどり着く。手塚の住所を聞いた主人は自分も東京にいたと言って青山と多摩の墓地の住所を口にした。...
聖なる国にも学園闘争の嵐が吹き荒れた時代、「日本のクリスマスはダラクした営利主義」と怒った若き学徒サンタたちは東京で大暴れしてロクでもないプレゼントをばらまく。会社員フースケに贈られたのは奇妙な馬だった。...
丹波の殿様の家臣、平凡な城勤めの下村風介は、げてもの食いが趣味の主君のお相伴役を命ぜられた。涙と脂汗を流して、彼は必死で飲み込む。殿様がすすめる「うじの照り焼き」や「イモ虫入りオタマジャクシの煮付け」を。...
敷金ナシ、しかも驚くべき低家賃…どうせひどい物件ではと思いつつ、会社員フースケが見たそれは素晴らしい豪邸。しかもその家は彼を気に入って強制的に住まわせ、〝愛の交歓〟を要求し、訪れる女性に嫉妬して追い払いさえした。...
平凡な会社員フースケが、行楽先でふとしたことから床をともにした山中の女性は、性行為により相手の運勢を読み取る屈伸流占性術の免許皆伝だった。彼女と結婚したフースケは、百発百中の占いに大いに助けられるが…。...
ドンケツ殿下が大阪の万国博覧会を訪れていた時、母国ではクーデターが発生。殿下には日本まで秘密警察の追っ手がかかる。殿下は会社員フースケのアパートの部屋に、五十人の家族と逃げ込み、そこに亡命政権を置いた。...
1979/03/30 「ビッグゴールド」(小学館) 掲載時は第二次大戦中。北海道壮瞥村に流れ着いた元工員の荒くれ井上昭和(いのうえあきかず)は、急速に生成する昭和新山の観測者三松正夫の助手となった。三松が昭和新山の観測と保護に生涯を懸けた記述は実話に基づく。...
会社員フースケは、男の切られたイチモツと見紛う珍獣ペックスを銀座で発見した。そのオスに続き程なく女性のカタチのメスも出現。妙に愛嬌がありきれい好き掃除好きのペックスは、猛烈な勢いで繁殖し首都に満ち溢れる。...
下村フースケは、大会社勤めの自他ともに認める無能社員。ところがその彼もがかすんでしまうゴーケツ南似茂千太郎(なにもせんたろう)が登場。千太郎の胸に刻まれたMのマークの秘密が、フースケを新たな人生へ誘う。...
月の光が何倍も強くなる異変により、世の女という女が欲情して男たちを犯し始めた。さらに暴行傷害を働き、殺して食うことさえする。その時も、ただひとり童貞の会社員フースケだけは襲われず女たちは見向きもしない。...
沂水(ぎすい/中国・山東省)の叩建は、戦争体験のため恐怖の感覚を喪失した若者。美女胡玉は不気味な妖術を用いて彼の勇気を試験した。これに合格した叩建は、胡玉の豪邸に招かれて彼女と愛し合いその復讐を手伝う。...
1982/11/25 「コミックモーニング」(講談社) 掲載負債者森下を山奥の郷里で捕まえた高利貸しは、三年前の貸金と利子の返済を迫った。森下は、通帳と印鑑のある、更に山奥の自宅へ彼を案内するが、深い竹薮を、揺らぐ吊り橋を、歩くうちに高利貸しは不安に襲われる。...
1982/12/16 「コミックモーニング」(講談社) 掲載198X年、厳重管理下の実験室で、藁腰教授の弟子樋口の身に事故が起きた。装置の誤作動により、実験用DNAが気密服を貫いて注射されたのだ。宿主となった樋口は外界と遮断されて生きることとなり、十年が経った。...
アメリカへ留学していた日本人青年・壇タクヤは、親友のエディと妹・亜理沙の結婚を承諾しました。一見幸せそうに見えた親友夫婦でしたが、結婚式の日、タクヤはエディの身内という、アルバーニ家の一員に囲まれ、「決して一族を裏切らぬこと」という誓いをさせられます。軽い気持ちでうなずいてしまったタクヤでしたが、じつはアルバーニ家...
1967/07/05 『漫画サンデー』(実業之日本社)にて初出。1967年、カナダ・モントリオールで行われた万国博覧会のレポートマンガ。サンケイ新聞に掲載された「鉄腕アトムのカナダ万国博見物」とは趣を変え、大人向けのユーモラスな作品。漫画家仲間と一緒にカナダ万博を訪れた手塚治虫。同行の富永一朗は、「何をみた?」と聞...
1968/09/25 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載ベトナム戦争で戦死した黒人兵のジョーの臓器をもらって生き延びたオハラ隊長は、南部の出身で、人種差別主義者だった。彼は、自分の体内に黒人の臓器がある事を秘密にするために、その事を知っているジョーの家族をハーレムに訪ねるが……。...
1968/11/25 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載フランスの西海岸に、「妄想の崖」と呼ばれる切り立った崖があった。その崖は穴だらけで、風がふくたびに古代楽器のような音を奏で、人間にあらぬ妄想を見させる……。監獄から脱走した男が、この崖に逃げて来た。パトカーのサイレンを聞いた男は、通りがかった家族連れを人質に...
1969/03/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載西部の町にすむスティーブは18歳になった。そこへ、父を殺したガンマン・マクラウドが町にやってきた。スティーブは、制止する母親をふりきってグランド・メサでマクラウドと決闘をするが、親指をつぶされて、命からがら町に逃げ帰る。銃ではマクラウドを殺せないと知ったステ...
1969/06/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載取材のため、南紀州の小島の村に行った手塚治虫は、うろこが崎の伝説を聞く。昔、網元の嫁が、村の若い衆とできてしまい、怒った網元がふたりをうろこが崎の穴の中に閉じ込めた。何年か経って、その穴から人間の大きさの魚が2匹釣れた、という話である。そんな時、現代のうろこ...
1974/10/25 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載青年社長の我堀は、やり手で仕事の鬼だったが、だだ一つ風変わりな道楽を持っていた。日曜だけ乞食になって道に座っているのだ。誰にも干渉されず、行き交う人々を見るのが彼の勉強でもあった。ある日我掘は、家出した若い女を助け、女は乞食の我堀のほったて小屋で生活するよう...
1969/08/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載ヤクザを殺して森へ逃げこんだ男が、たまたま小型飛行機の墜落事故に遭遇して、怪我人と出会った。男はその怪我人を放置することができず、病院まで運んであげて輸血の血まで提供してしまった。そして一夜明けると、男はマスコミに取り上げられ、有名人になってしまっていた……...
1969/12/13 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載盛岡化学に勤める月間は、カメレオンのように変わり身の早い男だった。 役員に信頼されていた彼は、ある女から産業スパイを頼まれ、会社から機密書類を盗み出した。 その書類には、動物の知能を上げる新薬の化学方程式が書かれていた。 書類を渡すために、離れ小島に行った月...
1969/10/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載地方の映画館にフィルムを届けて回る男がいた。ある地方で、化け猫映画が妙に受ける所があった。そこでは猫が信仰されていたのだ。 男はその地方の農家の美しい娘を嫁にもらい、東京で暮らすが、娘は都会暮らしになじめず、ノイローゼ気味になり、東京が火の海になると言いだす...
1969/09/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載嵐の夜に、谷に男がやって来た。谷には父と息子と娘の一家3人が住んでいた。 一家はもう何代も谷から出た事が無かった。息子は、自分たちは宇宙移民の実験のためにここで暮らしている、と父から説明されていた。 谷の外から来た男は、その家の娘と恋愛関係に落ちるが、谷を追...
1969/07/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載大学生の外山は、妹とふたり暮らしで、妹が働いて兄の学資を出していた。 ふたりは兄妹だが愛し合っていた。外山は、妹の勤めている会社のビルの窓から、妹の姿を見つめ、ふたりの間の壁の厚さを実感していた。 そして、妹の会社の専務が、妹を気に入ってプロポーズした時から...
1970/02/14 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載深夜放送のディスク・ジョッキー田所満男は、ある晩、局へ向かう途中、自分に声をかけてきたファンが、その瞬間、マンホールに落ちるのを目撃した。 しかし田所は、関わり合いになるのが面倒だったため、そのまま放送局へ行ってしまった。 その後、そのファンが死んだというニ...
1969/11/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載大沢優は学園闘争の闘士だ。今もバリケードをはって、仲間と大学の校内にたてこもっている。 そこに、寺山博子という女性から電話がかかる。彼女は自由の無い女子寮住まいで、さみしい女性だった。 大沢は彼女に自由を得るために学校と戦うべきだと言い、デートの約束をした。...
1970/03/14 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載大学時代の悪友の小栗を南伊豆に訪ねた手塚治虫は、世間とのつきあいを断った小栗が、メスのロバを可愛がっていることを知る。 その晩泊まった手塚は、小栗の奥さんがロバを殺そうとするのを止めた。 奥さんが言うには、小栗は動物の方が好きな変態だと言う。しかし小栗は、自...
1970/04/11 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載ある熱帯魚の水槽に、愛し合う2匹のグッピーが棲んでいた。だが水槽にタバコの吸殻が落ちただけで、2匹は死んでしまった……。 19XX年、核戦争が起こり人類は滅びる。しかし、万博会場に展示された宇宙旅行用ユニット・カプセルの中で、男女ふたりの赤ん坊がスクスクと成...
1975/09 『文芸春秋デラックス』(文藝春秋社)掲載1966年に放送終了したテレビアニメ『鉄腕アトム』の最終回で描かれた、地球を救うために核爆発抑制装置とともに太陽に飛び込んだアトムのその後のエピソード。 アトムの無事を信じ、交信を待っていたお茶の水博士のもとに、なんとアトムから無事を知らせる信号が届く。アトム...
1970/07 「別冊少年マガジン」(講談社) 掲載アトムが活躍した21世紀からさらに幾年か経ったあとの地球。ロボット博物館で眠るアトムのもとに、丈夫という若者が押し入ってきた。 エネルギーを再び吹き込まれたアトムは、ロボットに追われているという丈夫から、助けてほしい、と頼まれる。...
1969/03 「ビッグコミック」(小学館)掲載ベンチに座るアトムと美女ロボットは、互いに惹かれあい… 1ページだけのショートショート・ギャグ作品。
1970/03/18 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第16話目として掲載された。2000年前のメキシコで、生けにえに選ばれた少女は、首を切りおとされる直前、神様に祈りをささげたところ、時空を超えて現代に、記憶喪失の娘として目を覚ました。 少女が流れ着いた島に訪れていた手塚治虫とオクチンは、少...
1963/11 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」第9話として掲載された。ある日、銭湯帰りのオヤジの家に、奇妙な幽霊が出没した。一つ目にほうきのような頭をした幽霊は、みずから、破滅した星の住人の幽霊——すなわち、「宇宙人の幽霊」だと名乗る。...
1963/04 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」第2話として掲載された。NG・N撮影会社のゼン社長は、観客動員数に頭を悩ませていた。超立体映像も、味や痛みまで味わえる五感映画にしたところでマンネリ、観客の興味を引き付けられない。映画産業危機一髪の状況に、ゼン社長は50年前にヒットした「世界残...
1963/05 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」第3話として掲載された。ある日、某国某州の農夫の台所に、コロッケが三つ、落ちていた。このコロッケ、食べても食べても減らずに増え続ける! 味は何の変哲もない、まさしくコロッケ。食べれば食べるだけ分裂して増える。新聞が紹介し、食糧危機を救うといって...
1960/06 『スクリーン』(近代映画社)にて初出。映画を映すスクリーン氏が楽しみにしている観客側のささやかなドラマの例をご紹介。名画のタイトルをもじって、映画館によくある風景が描かれる。...
1963/02 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」第1話として掲載された。貧乏な男関込は、ゼンソクに悩まされていた。ある夜、見慣れない男がやってきて、関込を奇妙な機械にのせ、どこかへ飛び去った。行った先にはなんと、関込の子孫や先祖を名乗る男が集まって、代々遺伝しているゼンソクを止めるための方策...
1963/06 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」第4話として掲載された。ある日の朝、神父は朝から鍛冶屋のように忙しかった。ひっきりなしに懺悔にきた信者たちが、教会を訪れていたからである。彼らは一様に、「だれかが私をじっとみつめている」という。そこで皆、恥ずかしさと恐怖にかられ、ささいなことか...
1963/10 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」の第8話目として掲載された。舞台の幕が開くと、なにもかもが機械仕掛けの自然が登場する。イリベッドラブ教授の実験ドームだ。人工太陽の光をあびながら、教授がパイプをくゆらせていると、教授の作ったロボットのしもべが登場して教授に「どうやってこの世界を...
1964/03 「SFマガジン」(早川書房)に、「SFファンシーフリー」第12話(最終話)として掲載された。国鉄の事故に巻き込まれたSF作家。事故の方は幸い奇蹟的にかすり傷で済んだが、病院を出ると、自分そっくりの奇妙な男が目の前に現れて、自分は24時間前のおれだ、という。...
1982/04/22 神戸新聞 掲載 21世紀の「わが家」を想像した一枚イラスト作品。短いエッセイも合わせて掲載された。「居住空間を生かす遊びや楽しさは、ぼくにとっては雰囲気づくりにもなるわけだ。部屋の壁には前面に情報のない動く映像があったり、音が流れていたり、昼と夜で照明が変わったりするのも、インテリアとして考え...
1971/02/27 「週刊朝日」(朝日新聞社) 掲載2013年、日本に住む人間とロボットを、ある電子頭脳が支配していた。偏差値45以下のロボットは有害とみなされ、スクラップにされ、偏差値40以下の人間は強制移民させられる時代。アトムもまたテストを受けさせられ、試験に不合格になってしまう。...
映画・アニメに関するエッセイ『観たり撮ったり映したり』第57回に添えられた1ページマンガ。パリに滞在中の手塚治虫を、「立派な紳士」が訪ねて来た。どうやら偉い人らしいので、一流の通訳を雇って待っていたら…...
ロボット事業で財を築いた設計士の男と、その妻。順風満帆に見えた二人の間には実はある不信が…(「ハエたたき」)近未来、日本ではヒトのDNAの組み替え実験が行われ、世界の非難を浴びていた。そのラボで働く男にある日降りかかった災難とは(「P4の死角」)不信・不安・疑惑をテーマに描かれた、シニカルな結末の短編3部作です。...