シリーズ
ちっぽけな地球の表面でうごめく人間たちの、欲望や絶望を鋭く切り取った短編シリーズです。
人種差別主義者の白人が、知らぬ間に黒人の臓器を移植され、その証拠を消そうとする話(第1話「ジョーを訪ねた男」)や、人類絶滅後の地球で、自動の生命維持装置だけで赤ん坊から大人に成長したふたりの男女の悲劇を描いた、シリーズ最終話「ふたりは空気の底に」など、文明批判的なテーマの作品が多いシリーズです
01,ジョーを訪ねた男 1968/09/25 「プレイコミック」(秋田書店)
02,夜の声 1968/10/25 「プレイコミック」(秋田書店)
03,野郎と断崖 1968/11/25 「プレイコミック」(秋田書店)
04,グランドメサの決闘 1969/03/10 「プレイコミック」(秋田書店)
05,うろこが崎 1969/06/10 「プレイコミック」(秋田書店)
06,暗い窓の女 1969/07/10 「プレイコミック」(秋田書店)
07,そこに穴があった 1969/08/10 「プレイコミック」(秋田書店)
08,わが谷は未知なりき 1969/09/10 「プレイコミック」(秋田書店)
09,猫の血 1969/10/10 「プレイコミック」(秋田書店)
10,電話 1969/11/10 「プレイコミック」(秋田書店)
11,カメレオン 1969/12/13 「プレイコミック」(秋田書店)
12,カタストロフ・イン・ザ・ダーク 1970/02/14 「プレイコミック」(秋田書店)
13,ロバンナよ 1970/03/14 「プレイコミック」(秋田書店)
14,ふたりは空気の底に 1970/04/11 「プレイコミック」(秋田書店)
青年コミック雑誌「プレイコミック」に月1回連載された作品です。
ジャンルにこだわらず、SF的な話からサスペンスタッチのホラーまで、さまざまなテーマの物語が展開しています。
この作品を連載していた時期は、手塚治虫が主宰していたアニメ製作会社・虫プロダクションの末期のころで、手塚治虫もその労働争議などに巻きこまれたりと、困難な暗い時期が続いていました。
しかし創作の意欲は衰えず、手塚治虫自身もたいへん好きなシリーズでした。
「空気の底」というシリーズタイトルは、地球の表面、つまり空気の底にへばりついて生きる人間を意味しています。