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ストーリー

雨夜のタクシーの中で、お互いの恐ろしい罪を告白しあう乗客と運転手。二人の言葉は嘘か?真実か?日常に潜む恐怖を描いたサスペンスホラー短編です。

闇夜を箱根越えする1台のタクシー。乗っているのは、ドライバーと客の2人。「バイパスの夜」は、ほとんどがこの2人の会話だけで進行する、サスペンス仕立ての短編作品です。
返事すらしない無愛想なドライバーに、一方的に話し続ける客。どうやら、客は何か大きな犯罪をやり遂げたばかりのようで、人に話したくてたまらない様子です。そして、客が我慢できずに、その秘密を暴露した後には、車内に奇妙な連帯感のようなものが生まれ、遂にドライバーもその重い口を開いて話し始めるのです。「自分もさっき犯罪を犯してきたばかりだ」と…。
この作品の前半部分は、とにかく緊張感が張り詰めています。夜明け前にタクシーを拾う、不安げなオープニングに始まり、登場人物はケンカ腰の客と、何を考えているのかわからないドライバーの2人だけ。しかもお互いが自分を犯罪者と名乗り、それがウソか本当かわからないのですから(途中で雨まで降ってくるのは、何となく映画的表現です)。
後半、一転して2人が急速に親しくなり、ずっと張り詰めていた緊張が緩和する構成は見事。そして、実はラストでもう一波乱あるのですが、果たしてこの2人はどうなってしまうのか、読者に想像する余白を与えたままブッツリと突き放してしまうような終わり方も、実にスマートです。
細かいことですが、前半でさりげなく語られる「個人タクシー」の設定が、実はラストの伏線になっているという上手さもお見逃しなく。

解説

1969/10/10 「週刊ポスト」(小学館) 掲載

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