山間の小さな町、稲武市。南アルプスの東にあるこの町は、近年急速に発展した小さな地方都市でした。ある日、その町の「朝日新聞」以外の新聞が急に届かなくなってしまいました。テレビも、ラジオも映らず、電話も通じない中、不審に思った経理マンの白川は、いぶかしみながらも、いつもどおり会社に出勤します。
会社に行っても、市外に住んでいる社員が出社していなかったり、ラジオやテレビがみられなかったり、と異変はつづけて起こります。ひそかに好意を寄せていた女性社員が「カレーライスから変な味がする」と言い出したことから、白川は興味をもって、こっそり社員食堂の米を調べてみますが…。「陸の孤島」たる地方都市を取り巻く恐ろしい陰謀。いったい稲武市に何が起こっているのか?ぞっとするような「if」を描くリアルなサスペンスストーリー。
1970/04/17-05/08 「週刊ポスト」(小学館) 連載