シリーズ
ロボット事業で財を築いた設計士の男と、その妻。順風満帆に見えた二人の間には実はある不信が...(「ハエたたき」)
近未来、日本ではヒトのDNAの組み替え実験が行われ、世界の非難を浴びていた。そのラボで働く男にある日降りかかった災難とは(「P4の死角」)
不信・不安・疑惑をテーマに描かれた、シニカルな結末の短編3部作です。
01,ハエたたき 1982/10/21 「コミックモーニング」(講談社)
02,峠の二人 1982/11/18 「コミックモーニング」(講談社)
03,P4の死角 1982/12/16 「コミックモーニング」(講談社)
講談社の「コミックモーニング」に掲載された短期連載シリーズです。手塚治虫としては、「もっと続けたかったのですが、ほかの週刊誌に連載がはじまったため中断されてしまった」とのこと。
サスピション(suspicion)とは、疑惑とか、嫌疑、容疑、不安というような意味の英単語です。登場人物も舞台もまちまちな3つの作品ですが、いずれも人間同士が疑い合うシチュエーションを描くことで、連作としての統一が生まれています。
誰かが誰かに不信を抱いた結果は......三者三様ですが、裏返しに人間同士の信頼とはなんとも尊いものか、と思わせる結末です。