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ストーリー・解説

1955/10 『漫画読売』 秋の朗笑号(読売新聞社) 掲載

 A国とB国にはそれぞれ、別の平和の女神がついていました。両国の人間はそれぞれの平和を旗印に、激しくいがみ合っていました。さまざまな兵器が登場し、激烈な戦いを繰り広げ殺しあう人間をよそに、両国の動物たちは仲良くしています。それに気づいた人間たちはようやく自分たちの愚かさを悟りますが…。
 平和の女神なのに血みどろの戦争中、というばかばかしさ。賢明な読者であれば、初めのコマの痛烈な皮肉に、つい吹き出してしまうでしょう。しかし、当時世界はアメリカを中心とする「西側諸国」とソヴィエト連邦を中心とする「東側諸国」に分かれて、まさにそのばかばかしい争いの真っただ中でした。この冷戦が一時雪解けムードとなったのが、まさにこの作品の発表された1955年。当時の人々の最大の関心事の一つであった「冷戦」をテーマはしていますが、いつの時代にも通用しそうな普遍性を備えた作品です。


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