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ストーリー・解説

1960/8/15 「中学一年コース 臨時増刊 第二8月号」(学習研究社)掲載

 戦争中のある国の荒れ果てた教会に、ピアノとバイオリンが打ち捨ててありました。斥候にやって来た日本兵がピアノを見つけ、弾いているとそこに敵兵がやってきます。実は敵兵の青年も音楽学校を目指していたのに、徴兵で行けなくなってしまったバイオリニストでした。二人はショパンを合奏し、無事でいたら20年後に同じ教会でまた会おう、と約束して分かれます。
 そして20年後、戦争で視力を失ったかつての日本兵が教会を訪れると、バイオリニストの彼もやってきます。無事を喜び合った二人ですが…。
 戦争中に戦地の住民の太鼓をたたいて喝采を得る青年兵が登場する「てんてけマーチ」とも似たモチーフの本作では、戦争で敵味方に分かれた人々も音楽があれば手をつなぎ合えるかもしれないという、人間の良心や芸術への敬意に対する作者の希望を読み取ることができます。


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