戦争を皮肉った大人向けの風刺マンガです。
東南アジアの独裁国パイパニアでは、人工受精によって人間を大量生産し、兵士にしようという計画が進んでいました。
そのパイパニアへ、日本の自衛隊から義勇兵として送られた天下太平は、脱走して捕まり、人工受精の研究の実験台にされてしまいます。
ところが、調べてみると、太平の精子は特殊なものでした。彼の精子から生まれた子供は、男でも女でもない第三の性、働き蜂のような無性人間だったのです。
戦争が終わると、医者の大伴黒主とイベント屋の木座神明は、無性人間を使って大儲けすることを考えました。
しかし、やがて無性人間の中にも反逆する者が出はじめました。
無性人間同士を戦わせる戦争ショーが行われる中、世界中の奴隷や兵隊として散らばっていた無性人間たちた一斉に立ち上がったのです。
1967/01/25-1968/07/24 「週刊漫画サンデー」(実業之日本社) 連載
この作品は、青年コミック誌「週刊漫画サンデー」に連載されました。 大人向けの風刺マンガということで、手塚治虫は意識して画風を変え、ナンセンスな雰囲気を出すことに成功しています。 しかし発表当時は、この画風に違和感を覚えた手塚ファンもいて、手塚治虫のマンガにしては「荒けずりな、かきなぐりのようなペンタッチである」(講談社版手塚治虫全集あとがき)と批判されたりもしました。 こうした表現は、その後『上を下へのジレッタ』(1968-1969年)や、「フースケ・シリーズ」(1969-1970年)などでも使われ、さらに洗練されたものになりました。