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ストーリー

QQTV編成部の奮戦記。視聴率を見るたびブ然となるからブ長。見るとカーッとなって噛み付くからカ長。駅弁大学出身は駅前、東大卒はそのまま東大。見た目だけゴツいが内気なベンケイ。彼らの打ち出す珍企画は…?

解説

1985/04/05-1985/11/29 「ザ・テレビジョン」(角川書店)連載

誰もが一度はあこがれる、華やかなテレビ業界。しかしその裏側は、視聴率という数字に支配されたキビシイ世界なのです…QQTV編成部の個性的な部員たちは、毎回毎回、視聴者という気まぐれな「悪魔」の関心をひこうと、さまざまな企画を思いつきますが、たいていは裏目に出て、相変わらずの低視聴率に肩を落とす結果となってしまいます。この、すこし哀愁ただようギャグ作品、おそらく手塚治虫は、どんなことをしても視聴率を稼ごうとするテレビ業界のドタバタを面白おかしく描くつもりだったのでしょう。しかし、「テレビ業界」が「マンガ界」にそのまま置き換わることに気付けば、手塚治虫の本音がチラチラと浮き彫りになってきます。気まぐれな読者、流行に振りまわされる漫画家、良心的な作品が受けない現実…作中の、視聴者受けを狙っただけの安易な番組企画が大失敗に終わるエピソードは、手塚治虫自身が描きながら溜飲を下げていたのかもしれません。特に、海外のスターを招いた「国際映像フェスティバル」のテレビ中継が、お笑い芸人の司会やアイドルの出演で低俗番組になってしまうエピソードは、某映画祭に出席した手塚治虫自身の体験からきているもので、映画誌の連載エッセイでもその運営方針を手厳しく批判しており、よほど腹の立った出来事だったのでしょう(講談社 手塚治虫漫画全集別巻16 手塚治虫エッセイ集8収録『映画祭にもの申す!』)。アニメーション作家として、TV番組制作の一端を担った手塚治虫の「テレビ業界観」も垣間見ることができる、ちょっと珍しいジャンルの作品です。

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