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ストーリー・解説

1973/10-1974/09 「アニマ」(平凡社) 連載

いろいろな動物の個性を、マンガと文章で風刺したショート・ショートです。
第1話のサルに始まり、毎回1種類の動物をとりあげて、さまざまな切り口と表現方法によって描かれており、それがその動物の個性を現わすものになっているなど、実験的な意味でも面白いシリーズでした。
また、第2話「タヌキ」と、第11話「ウマ」は、手塚治虫の郷里宝塚の情景を舞台にしたエッセイ風の内容で、そうした面からも興味深いエピソードになっています。

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  • 紙の砦

サブタイトル

001 サル 1973/10 「アニマ」

人間に似ているために、昔から人間社会のパロディとしてあつかわれてきた猿について、絵と文章でつづったエッセイ。

002 タヌキ 1973/11 「アニマ」

"わたし"という一人称で語られる、戦時中に出会ったタヌキと老婆の記憶。それは果たして現実だったのか、幻だったのか……。絵物語風につづられたファンタジー。

003 クマ 1973/12 「アニマ」

元和元年(1615年)の暮れ。山で遭難した松前藩の家臣・樋口左門之介友長は、熊の穴の中で熊と共に冬を過ごし、春になってようやく助けられた。しかし藩に戻った左門之介を待っていたのは同情よりも皮肉と嘲笑だった。
動物のもつふしぎな寛容さに命を救われたにもかかわらず、人間としての社会的生命を抹殺された男の悲劇を描く大人の寓話。

004 ウサギ 1974/01 「アニマ」

イソップ寓話のひとつである「ウサギとカメ」の競争で、足の早いウサギは居眠りをしてカメに負けてしまう。
ではなぜウサギは居眠りをしたのだろうか? そんな疑問に13種類の皮肉な仮説を提示してみせたのがこのエピソード。その仮説ひとつひとつが人間社会のパロディになっている。

005 キツネ 1974/02 「アニマ」

キツネにエサを与えて捕えようとする人間の行動を、キツネの側から見たモノローグでつづった作品。淡々とした語り口だが、その結末はかなり怖い。

006 ネズミ 1974/03 「アニマ」

どんどんと増えていくネズミの姿に、人口過密から暴動、そして戦争へと発展していく人間の姿を重ねあわせ、人間社会を風刺した、絵と文章によるショート・ショート。

007 カエル 1974/04 「アニマ」

アキレカエル、ノストラダルマカエル、シンヤナキガエルなど12種類のカエルに、それぞれ人間社会の世相をなぞらえ、図鑑風に紹介したパロディ。

008 イヌ 1974/05 「アニマ」

ある気弱な若い男が、犬のバックアップによって鬼退治を成功させたのだが……。日本の有名な昔話・桃太郎の英雄伝説を、絵物語風のタッチで逆説化して描いたパロディ。

009 ネコ 1974/06 「アニマ」

しばしば女性になぞらえられるネコを、女性の類似点という観点から18項目に切り取り、箇条書きにして絵と寸評を加えた。

010 ヘビ 1974/07 「アニマ」

昔から生理的に人間に嫌われてきたヘビについて、ちょっと斜にかまえた視点から語った、イラストと文章によるエッセイ。

011 ウマ 1974/08 「アニマ」

今では観光地でしか見ることのできない馬車馬について、手塚治虫自身の思い出を綴った絵物語風エッセイ。
遠いあの日に、黙々と働きつづけていた馬の記憶を手塚のモノローグで綴った忘れがたい余韻の残る佳品である。

012 ウシ 1974/09 「アニマ」

スペインのアルタミラ洞窟にある有名な牛(バイソン)の壁画は、どのような経緯で描かれたのだろうか。それをマンガ的な解釈で、セリフのないサイレントマンガとして描いたショート・ショート。



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