2023/05/02
目まぐるしく変化していく現代。特にAIの進化は恐ろしいスピードですよね。TEZUKA2020プロジェクトの「ぱいどん」もとても話題になりました。
©️「TEZUKA2020」プロジェクト
AIの力を駆使し、手塚治虫の新作を描く。AIと人間の共同作業とはいえ、作品を生み出せるレベルまでAIの技術が向上していることに驚かされました。
それから3年、今巷で大流行しているのが「チャットGPT」です。
アメリカのOpenAIという企業が開発した人工機能を使ったチャットサービスで、こちらが聞いた質問にまるで人間のように答えてくれます。
それだけではなく、メールの文章を作成したり、献立を考えてくれたり、詩を書いたりと出来ることもたくさん!
その性能に卒論をAIに書かせる人も出てしまうと問題視もされてたりも。
いやー、恐ろしい時代になったもんです。そのうち作家という仕事も奪われてしまうのではないかと恐怖すら覚えますね...。
さて!今回はそんな話題のチャットGPTに手塚治虫の新作を依頼したらどんな作品が生まれるのか? 検証していきたいと思います!
早速チャットGPTにお願いしてみます。
すると3つのテーマが返ってきました。
何も言ってないのに3つも提案してくれる。なかなか気の利いたAIです。
これはとんでもない名作が生まれるかもしれません。
返ってきたのは以下の3つ。
①「宇宙の旅人」
未来の宇宙に舞台を置いた冒険ファンタジー。かつて地球に起きた「大災害」を経て宇宙開拓が進んだ未来の世界で、探検家や科学者、宇宙船の乗組員たちが宇宙の秘密や謎に挑む物語となります。
②「未来都市の冒険家」
近未来の都市が舞台の冒険物語。主人公は都市を裏から支配する組織に立ち向かい、仲間とともに都市の暗部を探りながら事件を解決する活躍が描かれます。
③「神話の世界に挑む者」
古代神話が舞台のファンタジー。主人公は神話の世界に迷い込み、神々や魔物たちと戦いながら冒険を続けていく物語。手塚治虫が得意とした歴史や神話を取り込んだ作品となるでしょう。
...なんか既視感を感じます。っていうか、もう既にありそう。
っていうか、多分ある。
①「宇宙の旅人」→「ヒョーロク記」
②「未来都市の冒険家」→「メトロポリス」
③「神話の世界に挑む者」→「ハマヌンの冒険」
ちょっと調べてみたら...あった。
手塚治虫先生の新作をお願いしている訳だから似てるのがあって当然か。
それにしても手塚先生がすごいのかAIがすごいのか、よく分からなくなって来ました。
でも、AIがあげてくれたそれぞれのお話がざっくりしすぎているので、このままじゃ新作とはいえません。
そこで一つに絞ってさらに物語を深めていくことに!
③「神話の世界に挑む者」についてAIに詳しく聞いていきます。
・具体的な物語は?
・タイトルは?
・主人公の名前は?
・主人公の性格は?
・仲間たちは?
・最大のピンチは?
・物語の結末は?
など、思いつくままに質問。かなり詳細に答えてくれ、物語の全貌が見えて来ました。AI的にもよほど手応えがあったのか最終的に聞きもしないのに、こんな一文まで添えられていました。
AI「この作品は神話や伝説に興味を持っている読者たちにとって、興味深いストーリーになることでしょう。手塚治虫らしい斬新なアイデアや、緻密なストーリー構成で、多くの読者たちを魅了することになります」
AIの自信が止まりません。
さぁ、それでは皆さんお待ちかね、100% AIが作った手塚治虫先生の新作を簡単に紹介させて頂きます!
主人公は神話研究家のキャサリン・ジョンソン。
ある日、キャサリンは神話にまつわる最新の研究論文を発表するため、イタリアの古城で開催される国際学会に参加するために旅立ちました。
しかし、道中で気を失ってしまい、目が覚めるとそこは異世界でした。
異世界を彷徨って見つけた「神話の扉」をくぐり、神話の世界へと向かうのでした。
(※ちなみに衣装やカラーもAIが提案してくれたものにしてます!)
扉を抜けると広い草原が広がる世界。少し歩くと、高い台座がある神殿を見つけました。台座には、真っ白な衣装をまとった女神像が立っており、周囲は樹木に囲まれていました。
キャサリンは神殿に近づき、女神像に対し敬意を表すように頭を下げました。すると、女神像が動き出し、キャサリンに話しかけました。
アテナの説明でこの世界のことがうっすら理解したキャサリン。
この世界は様々な神話の世界が繋がって出来ていて、扉を通ることで神話の世界を移動できるらしい。
しかし、神々の争いが起こっている真っ只中。
それを聞いたキャサリンは...
まさかまさか、自分が神々の争いを止めると発言。
そこから仲間と共に神話の世界を救う冒険が始まります。
その道中でキャサリンの仲間になる神が英雄ヘラクレス。
その力は神話世界でも屈指で、飛ばしパンチや回転斬りなど、豪快な戦い方をします。しかし、自信過剰で度々危ない行動を取ることがあり、キャサリンや仲間たちを驚かせることも。
そして物語最大のピンチとなるのがこちら!
神話世界の最強の神であるゼウスが、神話世界の支配者であるクロノスと手を組み、キャサリンのいた現代世界に攻め込んで来たのです。
しかしキャサリンは神話現象を支配する神器「アストラガルス」を使い、ゼウスたちの侵攻をなんとか阻止することに成功。
そして迎えた結末ではキャサリンは現実世界には帰らず、神話の世界の住民になることを決意。そのまま神話の世界に留まり、現実世界の平和を見守り続けました。
簡潔にまとめると、上記のような感じでした。
ちなみに詳細やセリフも一言一句AIによるものをそのまま使っています。
なんというか... ちょっと面白そう!
神話の世界を抜け出して現実世界に攻め入る所なんかは、ちょっと意外性もあり、驚かされました。
ヘンテコな物語が出来たらネタにしてやろう的な感じだったのですが...、AI恐るべし...。手塚先生の思考で考えているところも大きかったんでしょうか。
天国の手塚先生は「ボクはそんなの描かないよ!」と言ってそうな気もしますが、AIの凄さを実感できる検証となりました。
人間とAIが創作物で競い合う世界もすぐそこまで来ているのかもしれません。ただ、まだまだAIに負ける気はないですけどね!!
ちなみにあらすじには書きませんでしたが、AIが教えてくれたキャサリンの携帯アイテムを紹介して締めくくりたいと思います。
特殊な神話が発生した場合に備えて携帯するのだそうです。
ガス発生する特殊な神話ってなに!?
1979年生まれ、岡山県出身。放送作家。
『サラリーマンNEO』、『となりのシムラ』、『落語 THE MOVIE』などの人気番組の他、テレビアニメ『貝社員』の脚本も担当。『特捜警察ジャンポリス』、『サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ』など、漫画を題材にした番組にも携わっている。
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