虫ん坊

コラム「手塚を知りたい放送作家」第18話:子どもに手塚マンガを読ませてみたら......

2020/05/27

chibori18_title.jpg

第18話:子どもに手塚マンガを読ませてみたら......



chibori18_01.jpg


子どもが......




chibori18_02.jpg


子どもたちが......




chibori18_03.jpg


自由過ぎるー!!!

学校が始まらないため、子どもがずっと家にいます。
外で遊んでいない分、パワーが有り余っています。


さらに......




chibori18_04.jpg




自分がどれ程フライング的なこと言っているかも分からず、「やれやれ、プール出さないとかマジでこいつどうかしてるぜ...」と、まるでこちらが悪いかの如く、ゴリゴリに迫ってきます。



そんな傍若無人なキッズたちですが、大好きなアニメやテレビを見ている時だけは今までの騒々しさが嘘だったかのように静まり返ります。



中でも長男が特に好きなのが「特撮モノ」。




chibori18_IMG_4695.jpg




オムツを仮面の代わりにして「ライダー!ライダー!」と、叫びながら部屋に入って来たこともありました。

そんなヒーローものが大好きな息子に、手塚先生の描いたヒーロー漫画を読ませたら一体どんな感じになるのでしょうか。

今回、息子に読んでもらうのは「サンダーマスク」。



chibori18_MT270.gif




<あらすじ>

主人公は命光一という青年。工場地帯に住んでいた彼は公害に侵され、医者から残りの寿命が少ないことを告げられる。あまりのショックに自暴自棄になった光一は一千万円という金額で自分の命を売りに出す。




chibori18_thunder01.jpg


そんな光一の命を買ったのが高瀬博士。博士は光一を自分の研究所へ連れて行き、謎多きガス状の宇宙生物、サンダーを見せる。




chibori18_thunder02.jpg


肉体の無いサンダーは光一の身体を借りて、同じくガス状の宇宙生物である

宿敵デカンダーと戦うのだった...。




chibori18_thunder03.jpg


息子はまだ3歳なので字が読めません。そこで寝る前の絵本の代わりに

「サンダーマスク」を読み聞かせてあげることにしました。




chibori18_05.jpg


もともと絵本が大好きな息子。大満足の様子で眠りにつきました。

そして次の日...




chibori18_06.jpg


口を開けば「サンダー」と叫ぶ人間になってしまいました。

本当にサンダーに乗り移られたのかと思うほど、サンダーを連呼していました。




chibori18_07.jpg


そしてサンダーに変身した(つもり)の息子は、目をキラキラさせながら僕を

ボコボコにしてくるのでした。



今回息子に「サンダーマスク」を見せて導き出された答えは一つ。

結局男の子は"変身"と"戦い"が大好き!と、いうことでした。



さて、息子にだけ漫画を読んであげるのは不公平。

そんな訳で別の日の夜、娘には「ふしぎなメルモ」を読んであげました。




chibori18_MT280.gif


<あらすじ>

交通事故で死んでしまったメルモの母。

幼いメルモを残して逝くことが不安で仕方なかった母に、神様は"大人になれるキャンデー"を授け、一度だけ娘に会うことを許します。




chibori18_melmo01.jpg


母がメルモに渡したキャンデーは10歳年をとる青いキャンデーと、10歳若返る赤いキャンデーの2種類。




chibori18_melmo02.jpg


そんな2種類のキャンデーを使い分けながら様々な困難の乗り越え、メルモはたくましく生きていくのでした。



3歳の息子と違い、もうすぐ7歳になる娘は読み聞かせている最中に様々な質問をぶつけてきます。




chibori18_08.jpg


「いや、そういう設定だから...」なんて子どもに言うわけにはいきません。

かと言って、嘘を教える訳にもいかず...悩んだ結果、

ちぼり「ふしぎだよねぇ。だからふしぎなメルモっていうんじゃない?」

娘  「あ〜、そういうことね!」



妙に納得してました。

「なんて素晴らしいタイトルなんだ!」と心から思った瞬間でした。

メルモの中でも特に娘が気に入ったのは、おばあちゃんが子どもになって遊園地に遊びにいく回。おばあちゃんに戻ったのにも関わらず、子どものようにはしゃぐラストシーンに大爆笑していました。




chibori18_melmo03.jpg


僕が今回「ふしぎなメルモ」を読んでみて驚いたのはそのページ数。

1話あたり7〜8ページ程度で構成されていて、全く無駄がありません。

起承転結のお手本のような話の運びでした。子どもの集中力も全然途切れないし、いや〜勉強になりました。

気が付けば、横で一緒に本を見ていた嫁が物憂げな表情を浮かべています。

「どうしたの?」と聞いてみると...




chibori18_09.jpg


どうやら「ふしぎなメルモ」は子どもだけでなく、大人の女性も夢中にさせる作品だったみたいです...。





藤原ちぼりchibori10_twicon.gif

1979年生まれ、岡山県出身。放送作家。

『サラリーマンNEO』、『となりのシムラ』、『落語 THE MOVIE』などの人気番組の他、テレビアニメ『貝社員』の脚本も担当。『特捜警察ジャンポリス』、『サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ』など、漫画を題材にした番組にも携わっている。

バックナンバー

コラム「手塚を知りたい放送作家」プロローグ:嫁に謝る

コラム「手塚を知りたい放送作家」第1話:手塚るみ子さん

コラム「手塚を知りたい放送作家」第2話:ゴールデン街と静寂と

コラム「手塚を知りたい放送作家」第3話:振り返れば奴がいるとかいないとか

コラム「手塚を知りたい放送作家」第4話:トキワ荘跡地と知らないおじさん

コラム「手塚を知りたい放送作家」第5話:百鬼丸みたいになりたくて

コラム「手塚を知りたい放送作家」第6話:妻の支えってハンパない

コラム「手塚を知りたい放送作家」第7話:手塚グルメに舌鼓

コラム「手塚を知りたい放送作家」第8話:アトムってやっぱりすごい


コラム「手塚を知りたい放送作家」第9話:手塚にあった怖い話

コラム「手塚を知りたい放送作家」第10話:漫画家の先生にインタビュー...のはずだったんですが...


コラム「手塚を知りたい放送作家」第11話:渋谷で見つけたアトムの謎


コラム「手塚を知りたい放送作家」第12話:『マンガの描き方』を見て描いたマンガ

コラム「手塚を知りたい放送作家」第13話:痛みで学んだ手塚治虫


コラム「手塚を知りたい放送作家」第14話:第1回 手塚でバズってるツイートGP


コラム「手塚を知りたい放送作家」第15話:手塚先生の缶詰の聖地で缶詰してみた


コラム「手塚を知りたい放送作家」第16話:家から一歩も動かず手塚旅行に行ってみた

コラム「手塚を知りたい放送作家」第17話:STAY HOME


CATEGORY・TAG虫ん坊カテゴリ・タグCATEGORY・TAG虫ん坊カテゴリ・タグ