1970年代のある夜、SF大会に出席するために名古屋を訪れていた手塚治虫の前に、謎の巨大で毛むくじゃらな怪物が現れます。命からがら怪物から逃げた先、一軒家に住む命光一という青年は、実は変幻自在の怪物「デカンダー」と戦う、サンダーという怪人だったのです。
命光一は、以前は公害で体を蝕まれ、世をはかなんでいた飯田光一という青年でした。「命を売ります」と触れ回っていた彼は、高瀬博士と出会い、サンダーの存在を知らされます。サンダーはガス状の宇宙生物で、地球上で活動するための肉体をさがしていたのです。光一は、サンダーに肉体を貸してくれるよう、高瀬博士に頼まれたのでした。
サンダーの宿敵デカンダーもまた、ガス状生物。生き物でも、無生物でも乗り移ることができ、サンダーや、秘密をしる関係者を襲います。
「どの星にもひとつずつ存在する」という大宇宙の歴史を書いた文字盤に、サンダーとデカンダーの関係は書いてある、とサンダーはいい、手塚治虫にそれを読み取ってほしい、と頼みます。
気体状の高等生物、というユニークな宇宙人による脅威を描いたSF作品です。
1972/10/8-1973/01/7 「週刊少年サンデー」(小学館) 連載