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ストーリー

この物語はインドの古い詩『ラーマーヤナ』という物語からアレンジされています。猿の神・ハヌマンとラーマが、悪魔に攫われた王女を助ける、という典型的な神話物語をマンガにしています。

「ラーマーヤナ」といえば、「マハーバーラタ」とともにインドの古典叙事詩として、とても有名ですので、歴史の授業などで名前を聞いた事がある方も多いでしょう。
「ラーマーヤナ」の本来のストーリーは、主人公であるラーマ王子の一生を描いた、とても長いものなのですが、この「ハヌマンの冒険」では、原典にも登場する猿のハヌマンを主人公にして、ラーマ・ハヌマンコンビと悪魔との戦いをストーリーの中心にすえており、短編作品としてまとめるために、他の余計な部分はバッサリと切り捨てられています。
この作品が描かれた背景としては、昭和47年より同じ「希望の友」にて連載中だった「ブッダ」があり、このような題材を取り上げるキッカケとなったことは間違いないでしょう。しかし、壮大な大河ドラマの「ブッダ」と違い、「ハヌマンの冒険」はどちらかというと「マグマ大使」や「サンダーマスク」といった、単純明快な巨大ヒーローものに近い作品で、もしかすると手塚治虫の頭の中には「受けるかも」という計算もあったのかもしれません。ハヌマンが魔王ラーバナの島へわたると、そこが古代インドにもかかわらず、近代的な巨大工場だったりと、いかにも手塚治虫らしい荒唐無稽なアレンジも楽しい娯楽作品です。

解説

1973/08 「希望の友」(潮出版社) 掲載

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