2021/05/26
先日、日本の"特撮"を特集する番組に参加させてもらいました。
特撮といえば有名なのが「ウルトラマンシリーズ」や「仮面ライダーシリーズ」、「スーパー戦隊シリーズ」などですね。ちなみに僕は「太陽戦隊サンバルカン」や「科学戦隊ダイナマン」を子どもの頃に見ていました!
そもそも特撮とは"特殊撮影技術"を略した用語。"現実の世界では撮影不可能な映像"を特殊な技術を用いることで撮影を行います。
人がヒーローに変身したり、戦闘機が縦横無尽に空を飛んだり、怪獣や怪人と必殺技で戦ったりと、リアルでは撮れないものに知恵と工夫で挑む特撮。ロマンがありますよね。
実はバラエティでも特撮の技術が使われていることがあります。
例えば...
ジャンプして瞬間移動。最近は滅多に見かけませんが往年のバラエティでよく目にしました。
あとはクロマキーと呼ばれる合成撮影技術。背景を変えたり、同一人物が同じ空間に存在するなど、今も多くの場面で使用されています。
人々を魅了し続ける特撮の世界。そんな特撮の歴史に偉大な1ページを刻んだのが...手塚治虫先生の「マグマ大使」です!
ロケット人間のマグマ大使と地球の侵略を企てる宇宙人ゴアの戦いを描いた作品。マモル少年と共に地球を守るマグマ大使の姿はまさにヒーロー!
「マグマ大使」は1966年にフジテレビで実写化され、特撮ドラマとして放送がスタート。放送開始日はあの「ウルトラマン」が放送される13日前で、「マグマ大使」は日本初となる"全カラーの特撮ドラマ"だったそう。
制作したのは特撮で有名な映像制作会社のピー・プロダクション。
手塚先生と旧知の仲だったピープロの社長、うしおそうじ(本名:鷺巣富雄)さんが手塚先生を説得し、マグマ大使の実写化が実現したとのこと。そのクオリティは素晴らしく、手塚先生も納得の出来だったそう。
せっかくなので特撮版の「マグマ大使」を見てみました。
原作よりもたくさんの怪獣が登場し、マグマ大使も見事に特撮化されています。今から50年以上前の作品ということを考えると単純に凄い!
宿敵のゴアは...
こちらも原作にすごく忠実に再現されていました。もともとのどこかのおじさんっぽいゴアの風貌と、なんともいえない表情が相まって原作よりも恐怖感がアップしている印象です。夢に出てきそうなインパクトがあります。
あとこれは特撮とはズレてしまいますが...、ドラマを見ていてビックリしたのは昭和という時代の破天荒さ。50年も前となると常識も大きく変わっているんだなと痛感しました。
マモルの父(岡田真澄)が会社のエレベーターから降りてくるこちらのシーン。
エレベーターの中でタバコを吸っている...!
時が過ぎれば色々変化はあると思いつつ、なかなか強烈なシーンでした。
凄いぜ、昭和!
特撮版「マグマ大使」の大きなポイントの一つがアニメと実写の融合です。
怪獣の吐く炎や宇宙船から出る光線などなど、様々な所でアニメーションが使用されています。元々アニメ制作も行なっていたピープロの強みを生かしたこの演出。現代の特撮を見慣れた僕が見てもワクワクしたので、当時の子どもたちはガッツリ心を掴まれたんじゃないでしょうか。
僕がとりわけ心を奪われたのが、THE特撮というべき部分の数々でした。
恐らくキグルミ(?)であろう怪獣の目玉はギョロギョロと動く仕様になっていたし、怪獣が山を歩くときの土砂崩れや、ミニチュアで作られた工場の爆破シーンなどなど、それだけを切り取って見ても唸ってしまう出来栄えです。
今はCG全盛の時代になり、迫力ある架空の映像をデジタルで作ることができますが、CGには表現できないアナログならではの魅力もあるような気がしました。
それにしても「マグマ大使」を見ていると特撮における"ミニチュア"の大切さに改めて気付かされます。
もっとミニチュアのことを知りたい...!
そんな風に思った僕はミニチュアについて色々と検索。面白そうな場所を発見しました。それが、昨年6月にオープンした東京・有明にある世界最大級のミニチュア施設「スモールワールズTOKYO」。館内には様々なミニチュアのエリアがあり、それぞれの世界を堪能出来るそうです。
そして僕の興味を一番引いたのが...最新鋭の360度カメラで自身を撮影し、自らがミニチュアの人形となって好きなエリアに置くことが出来るという、「ミニチュアの世界で暮らす権利」を買えるというもの。
どのくらい精巧に自分を再現されるかは分かりませんが、カメラで撮った自分が人形になるのだとしたら...その時の格好が反映されるはず...。
例えば、僕がマグマ大使の格好で撮影すればマグマ大使風の人形が出来る!?そして、それがミニチュアとして実際に展示されるということです。
これは面白そう!!!
やらない手はありません!
と、いうわけで...
お楽しみに!
1979年生まれ、岡山県出身。放送作家。
『サラリーマンNEO』、『となりのシムラ』、『落語 THE MOVIE』などの人気番組の他、テレビアニメ『貝社員』の脚本も担当。『特捜警察ジャンポリス』、『サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ』など、漫画を題材にした番組にも携わっている。
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