虫ん坊

コラム「手塚を知りたい放送作家」第46話:トキワ荘マンガミュージアムに行ってみた!

2023/03/14

chibori46_title.jpg

第46話:トキワ荘マンガミュージアムに行ってみた!



マンガの聖地、トキワ荘。

以前このコラムでも跡地を訪問しました。

第4話:トキワ荘跡地と知らないおじさん


そんなトキワ荘、ご存知の方も多いと思いますが2020年に復活しています!老朽化で解体されたのが1982年。約40年の時を経て当時のトキワ荘が再現され、現在はマンガミュージアムになっているんです。

4話にてトキワ荘跡地で偶然出会った森上さん。出会った時に「トキワ荘再現されるらしいですよ」なんてウキウキ話されていたのを思い出します。

完成当時はコロナ真っ只中で予約制という形でオープンしていたトキワ荘マンガミュージアム。

現在は予約者が優先ですが、入館者数に余裕があれば当日予約なしでも入れるみたいですよ。

そんな訳でやって来ました、トキワ荘マンガミュージアム。


chibori46_01.jpg
おぉ...完全に再現されている...。マンガで見たあのトキワ荘が目の前に...。

ここにあのレジェンドマンガ家先生たちが住んでいたのかぁ。感動です。

そしてトキワ荘の前には電話ボックスが。当時、先生方はこの電話ボックスから編集部と連絡をとっていたそう。きっとこのボックスの中でアツい会話が繰り広げられていたんだろうな〜。


chibori46_02.jpg
外観で既にテンション最高潮。建物の周りを歩いて色んな角度から舐め回すようにトキワ荘を楽しみます。するとある発見が...。


chibori46_03.jpg


あれ? 窓の格子が錆びている。出来て数年にも関わらず、建物に年季が入っていました。そう!なんとエイジング(経年劣化)加工が施されていたんです!先生方が実際に住んでいた当時をここまで忠実に再現するとは、ミュージアムの本気度が伺えます。

外だけで胸いっぱいになりそうな中、いよいよ中へ!

迎えてくれたのは職員の奈良さん。



chibori46_04.jpg

奈良さんの案内でミュージアムを見て回ることに。

ちなみに奈良さんはトキワ荘に住んでいた石ノ森章太郎先生と同じ宮城県出身。そんなご縁もあって推しは石ノ森先生だそうです。

早速マンガ家の先生方が住んでいた部屋が再現されているミュージアムの2階へ。

階段は一段一段踏むたびに「ギギギ」と音がします。何とこれも当時の階段を再現するためにあえて音の鳴る造りにしているんだとか。とんでもない再現度ですね。

階段を上がると真正面に見えるのが共同トイレ。そしてその隣が共同の炊事場です。当時は水回り系は近くに設置されていたんですかね。なかなか時代を感じる配置です。

そして炊事場はこんな感じ。



chibori46_05.jpg

イラストは部屋の左半分ですが、反対側も同じようにコンロが設置されていて、結構の人数が一緒に調理出来るようになっていました。きっとこの場所でテラさんが色んな料理を作ってたんでしょうね。

炊事場はごちゃごちゃしていて、様々なものが雑多に置かれています。

中にはこんなものも...


chibori46_06.jpg

カビの生えたパン!

もちろん実際のパンではなく、あくまで作り物。

てか、どんなとこまで再現してんすか!と思わずツッコんでしまいそうになりました。芸が細かすぎて楽しさしかありません。

そしてついにマンガ家先生の部屋へ!

手塚治虫先生、藤子不二雄Ⓐ先生が住んでいた14号室はトキワ荘の歴史やトキワ荘のあった椎名町について、そして当時の暮らしなどなど、様々な資料がまとめられた展示室になっていました。

当時のトキワ荘の家賃は月3千円ほどだそうです。額だけ見ても今とは全く違いますね〜。そのほかにも様々なモノの当時の値段がまとめられていてマンガ関係なく、「へ〜」を連発してました。

そして続いてやって来たのは鈴木伸一先生、森安なおや先生、よこたとくお先生が住んでいた20号室。この部屋は時期によって誰の住んでいた部屋だったか展示内容を変えるそう。ちなみに僕が行った時はよこたとくお先生が住んでいた部屋でした。



chibori46_07.jpg

それまでの展示室とは打って変わって生活感に溢れています。4畳半の部屋に様々なモノが置かれています。火鉢なんかも当時を彷彿とさせますね。

しかし、やはりその中で目を引くのは、マンガを描いていた机。畳の上に座りながらマンガを描くって姿勢的にはとんでもなく辛いだろうな〜。なんて想像してしまいました。僕は椅子に座って作業してますがそれでもキツいのに...。

マンガもデジタル作業化が進み便利になっている中だからこそ、昔の先生方の凄さや大変さを感じることが出来ました。

ちなみに廊下にはこんな張り紙も。


chibori46_08.jpg


廊下に物を置く人がいたんでしょうね。共同生活ならではの張り紙にクスっと笑ってしまいました。ちなみにこのトキワ荘を再現するにあたり、当時住んでいた先生方にも詳しく話を伺って参考にしたそうです。

そんな取材を受けた先生の一人がトキワ荘唯一の紅一点で少女マンガの先駆けと言われる水野英子先生。



chibori46_09.jpg

そんな水野先生の部屋も再現されていました。

よこた先生とは違い、生活感ゼロ!必要最低限のものしか...というか必要最低限のものもない!マンガを描く机のみです!

石ノ森先生、赤塚先生と合作マンガを描くために暮らした仮の住まいだったそうですが、本当にマンガを描くことしか出来ない部屋、という感じです。どれだけ作品に打ち込んでいたかが伝わって来ますね。

ちなみにミュージアムの1階(当時はマンガ家以外の人が住んでいた)は

マンガラウンジや企画展示コーナーになっていました。

現在開催されているのは「藤子不二雄Ⓐのまんが道展」。さらにトキワ荘を見て回るのが楽しくなる展示です。グッズも販売していたので思わず買ってしまいました。

こちらは今月の26日まで開催しているらしいのでまだギリギリ間に合います!是非是非足を運んでみて下さい。

そんなこんなで観覧も終了。当時の先生方の暮らしを肌で感じ取ることが出来た非常に貴重な体験でした。トキワ荘マンガミュージアム、想像以上の場所ですよ!

トキワ荘マンガミュージアムのすぐ近くに喫茶店があったので何となく入ってみると

トキワ荘関連のマンガグッズがわんさか取扱されていました。もちろん手塚先生の作品もズラリ!

そしてメニューを見てみるとなんとそこにはなんと、あのチューダーが!

チューダーはテラさんが発明したサイダーと焼酎を4:1の割合で混ぜた飲み物のこと。これは注文しない訳にはいきません!

初チューダーの味は...めちゃくちゃ美味しい!これはもう何杯でも飲めてしまいます!これを飲みながら先生たちが夢を語り合ったと思うと喜びもひとしおです。

トキワ荘マンガミュージアム、そしてトキワ荘の先生方に乾杯!



chibori46_10.jpg

今回、トキワ荘マンガミュージアムを訪問したからこそ思ったことがあります。

手塚先生たちはこの椎名町でどんなことを感じて暮らしていたのか...。

先生方の暮らした椎名町をMAXに感じてみたい!!ということで、次回のコラムでは椎名町に潜入し、地元に溶け込んでみたいと思います!お楽しみに〜!



藤原ちぼりchibori10_twicon.gif

1979年生まれ、岡山県出身。放送作家。

『サラリーマンNEO』、『となりのシムラ』、『落語 THE MOVIE』などの人気番組の他、テレビアニメ『貝社員』の脚本も担当。『特捜警察ジャンポリス』、『サンドウィッチマンの週刊ラジオジャンプ』など、漫画を題材にした番組にも携わっている。

バックナンバー

コラム「手塚を知りたい放送作家」プロローグ:嫁に謝る

コラム「手塚を知りたい放送作家」第1話:手塚るみ子さん

コラム「手塚を知りたい放送作家」第2話:ゴールデン街と静寂と

コラム「手塚を知りたい放送作家」第3話:振り返れば奴がいるとかいないとか

コラム「手塚を知りたい放送作家」第4話:トキワ荘跡地と知らないおじさん

コラム「手塚を知りたい放送作家」第5話:百鬼丸みたいになりたくて

コラム「手塚を知りたい放送作家」第6話:妻の支えってハンパない

コラム「手塚を知りたい放送作家」第7話:手塚グルメに舌鼓

コラム「手塚を知りたい放送作家」第8話:アトムってやっぱりすごい


コラム「手塚を知りたい放送作家」第9話:手塚にあった怖い話

コラム「手塚を知りたい放送作家」第10話:漫画家の先生にインタビュー...のはずだったんですが...


コラム「手塚を知りたい放送作家」第11話:渋谷で見つけたアトムの謎


コラム「手塚を知りたい放送作家」第12話:『マンガの描き方』を見て描いたマンガ

コラム「手塚を知りたい放送作家」第13話:痛みで学んだ手塚治虫


コラム「手塚を知りたい放送作家」第14話:第1回 手塚でバズってるツイートGP


コラム「手塚を知りたい放送作家」第15話:手塚先生の缶詰の聖地で缶詰してみた


コラム「手塚を知りたい放送作家」第16話:家から一歩も動かず手塚旅行に行ってみた

コラム「手塚を知りたい放送作家」第17話:STAY HOME


コラム「手塚を知りたい放送作家」第18話:子どもに手塚マンガを読ませてみたら......


コラム「手塚を知りたい放送作家」第19話:手塚を彩るミュージック


コラム「手塚を知りたい放送作家」第20話:ファミコンの『鉄腕アトム』をやってみた


コラム「手塚を知りたい放送作家」第21話:中野ブロードウェイで見つけた『鉄腕アトム』


コラム「手塚を知りたい放送作家」第22話:歴史マニアに聞いた手塚光盛

コラム「手塚を知りたい放送作家」第23話:ベレー帽をかぶってみた

コラム「手塚を知りたい放送作家」第24話:ブッダを読んで悟りを開こう!

コラム「手塚を知りたい放送作家」第25話:手塚治虫の逃亡劇のように

コラム「手塚を知りたい放送作家」第26話:手塚治虫の感染症マンガ特集


コラム「手塚を知りたい放送作家」第27話:「ガラスの城の記録」を自分なりに完結させてみた

コラム「手塚を知りたい放送作家」第28話:手塚でテレビの企画書を書いてみた


コラム「手塚を知りたい放送作家」第29話:特撮革命!マグマ大使

コラム「手塚を知りたい放送作家」第30話:続・マグマ大使!ミニチュアの世界で出会った最小の男

コラム「手塚を知りたい放送作家」第31話:『やけっぱちのマリア』を読んでジェンダーを考える

コラム「手塚を知りたい放送作家」第32話:手塚キャラでテレビスタッフオールスターを考えてみた

コラム「手塚を知りたい放送作家」第33話:催眠術で手塚先生になりました

コラム「手塚を知りたい放送作家」第34話:私はどついたれで痩せました

コラム「手塚を知りたい放送作家」第35話:手塚をテレビで流すまで①

コラム「手塚を知りたい放送作家」第36話:忍術を初めて使った日

コラム「手塚を知りたい放送作家」第37話:手塚をテレビでな流すまで②

コラム「手塚を知りたい放送作家」第38話:アトムの馬力を分析

コラム「手塚を知りたい放送作家」第39話:七色いんこになれるかな?

コラム「手塚を知りたい放送作家」第40話:海のトリトンのようにイルカに乗ってみたい!

コラム「手塚を知りたい放送作家」第41話:シュマリのボディを手に入れろ!

コラム「手塚を知りたい放送作家」第42話:シュマリのボディを手に入れろ!後編


コラム「手塚を知りたい放送作家」第43話:西武園ゆうえんちのレオランドに初潜入!

コラム「手塚を知りたい放送作家」第44話:神保町で手塚作品の書店を開店しました!

コラム「手塚を知りたい放送作家」第45話:ライバルを作ろう!


CATEGORY・TAG虫ん坊カテゴリ・タグCATEGORY・TAG虫ん坊カテゴリ・タグ