ひとりの男と、どんな人間にでも変身できる謎の女性I.L(アイエル)の目を通して、現代の病巣を、さまざまな角度から浮き彫りにした、大人のためのおとぎ話です。 映画監督の伊万里大作は、3年前までは一流の監督として名が知られていました。 しかし、映画に夢が持てなくなってしまったため、わざとめちゃくちゃな映画を作って映...
三年前の丹波内閣成立で憲法は改正され日本は核兵器を製造。戒厳令施行で国民は一切の自由を奪われた。反体制思想家の「先生」を尊敬する活動家で電気科出身の秀才岡重明は、特技を生かし首相の暗殺計画を実行するが。...
美しいものを妬む、人間の深い心の闇を鋭く描いたSF犯罪サスペンスです。黒人青年ジェームズ・ブロックは、刑務所で、謎の老人から生物の体を透明にする光線の秘密を聞き、出所後にその光線を浴びました。しかしそのF光線は不完全だったため、ブロックは半透明の不気味な体となってしまったのです。 以来、彼はアラバスターと名乗り、美...
1972年8月、沖縄瑞慶覧(ずけらん)の米軍キャンプで、米軍子弟の小学生たちを人質とした篭城事件が起きた。凶悪そのものの犯人は、米軍施設勤務の日本人労働者三人で、ベトナムへ従軍した経験も持っていた。...
村の駐在所の息子雄作少年は、浜辺で幼い女の子ネリと出会い仲良くなる。だが彼女には恐ろしい秘密があった。クモを「好き」と言えばクモが、トカゲを「好き」と言えばトカゲが、彼女と一体化し吸収されてしまうのだ。...
1970/10 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載江南地方に排ガス公害の現地調査に行った新聞記者は、地元民たちから何も問題はないと言われた。食堂のウェイトレスがひとりだけ情報提供を申し出ると、記者は彼女を宿泊中のホテルへ誘う。そこで彼女も彼も豹変した。...
1970/12 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載「笑われますぞ。だいいち五か月の胎児に声帯があると思いますか」医師は一笑に付した。それで気の迷いかと思った矢先、夫婦は再び聞いた、妻の胎内の子がしゃべる声を。その声はひどく大人びた言葉で、両親を脅し始める。...
大きなリボンがトレードマーク、小学三年生の可愛いパコちゃんは、普通の子とはちょっと違います。「怖い」ということをぜんぜん知らないのです。高い塀の上を歩いても、大きなトラックがそばを通っても怖いと思ったことがない。大きな犬も怖がらないから、とうとうその犬は降参して家来になっちゃった。「こけし探偵局」は、そんなパコちゃ...
1963/08 『別冊漫画サンデー』(実業之日本社) 掲載
ある最高に暑い朝は、三平にとっては最高にいかさない日だった。ボーナスは使いはたし、向かいのマンションに住む思い人にはどうやら男の訪問客があったようだ。出勤途中に犬にかまれるし、満員のバスで12回も他人に足を踏まれるしまつ。その後もたびたび不運・不幸が重な...
1958/09/15 「冒険王」 夏休み大増刊(秋田書店) 掲載戦争中、幽霊が出没するというジェット基地に、真相解明のため軍事探偵間(はざま)が派遣された。だが基地の隊員たちは、間の問いかけに口を閉ざす。隊長は彼の調査を押さえにかかり、記録書類を焼却しようとした。...
岩戸景気の総本山、高天原財団ビルで起きた女傑社長怪死の真相は? 『天の岩戸』など、洒落たムードの連作ミステリー。主役は二枚目刑事ゴリさん。七変化の魅力で活躍のミッちゃんは、彼に思いを寄せるバーの女の子。...
1953/01/15 「少年クラブ」 新年増刊号(講談社) 掲載誕生日のスピーチ中、衆人環視の中で王子が撃たれた。現場は教会の時計塔。疑わしいのは金持ちグロッキーだが、アリバイがあった。現地に滞在中のロック、大助の二少年が、全市民を証人に仕立てた大トリックを見破る。...
ナチス捕虜収容所配属将校のレーバー中尉は、戦犯として銃殺の刑場に縛られながら落ち着き払っていた。ユダヤ人の科学者ドクトル・フロッシュを殺して奪った「時間延長剤」の力でこの場を逃れられる自信があったからだ。...
海難事故で恋人則夫を失った娘は、その後幻覚を見るようになった。白い壁や舗道、シーツを見るたび、そこには網膜に焼きついた則夫の姿が浮かぶのだ。娘はその幻像に愛情を覚えて結婚をあきらめ〝彼〟と暮らし始める。...
ホラー映画のような大仰な始まり方もまた迫力がありますが、なぜか怪談というのはさりげなく語られれば語られるほど怖いものです。また、本や映画よりも、人の口から素朴に語られたもののほうが、怖さも倍増します。怪談は語りととても相性がいいのです。この作品の手本となった中国清代の怪談集『聊斎志異』、また、日本の『耳袋』なども聞...
豆ノ木中学のクラス委員健二が重傷を負わされた。犯人は校内の不良グループのボス三人の中のひとりか? 健二の妹美幸は、事件解決のため学生コロンボと呼ばれる名探偵、大食いの巨漢ずんべらこと図星べら坊を呼んだ。...
タクシー運転手ロックはハンドルを握れぬ恐怖症に陥った。ギャングに拳銃で脅され、夜道を猛スピードで飛ばして崖に激突したショックのためだ。だがギャングのボスは、震えるロックに再び同じ恐怖の疾走を強いる。...
最新鋭のロボットタンカー・おさかべ丸。最新鋭の電子頭脳“KO”が組み込まれ、船員がいなくても自動的に運行が可能、という最新鋭のその船の試乗式には、造船会社や石油会社の社長とその家族、また新聞記者など、要人が大勢乗り込みました。彼ら乗客と、船長の北岡、それにロボット技師の少年哲夫を乗せた船は、しかし、のっとりをたくら...
1970/04 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載会社社長が能力を買い、改めて社の頭脳に招こうと単身訪ねた男は、かつて彼が解雇した闘争的な組合委員長。だが社長はかつての闘士の無気力な姿に驚く。働いていない彼は文字どおりタコのように食いつないでいた。...
1970/08 『小説サンデー毎日』(毎日新聞社) 掲載
練馬で大震災が起こった。死者推定50,200人、新興住宅地が地下に没する大災害の原因はいったい、なんだったのか。人災とも、陰謀とも言われた真相は…。
震災の原因を調べていた刑事たちは、ハワイでサーフィン三昧の日々を送っていたある男を重要参考人としてしょっ引...
元スリ師・大枚田助五郎と段袋刑事のコンビが、難事件を解決するミステリー短編です。「刑事もどき」は「コミック&コミック」に掲載された作品です。「エムレット」は昭和48年10月3日号、「鹿の角」が昭和49年1月23日号にそれぞれ掲載されています。 解説にもあるとおり、「刑事もどき」主演の段袋刑事は、いわば不遇のスターで...
山間の小さな町、稲武市。南アルプスの東にあるこの町は、近年急速に発展した小さな地方都市でした。ある日、その町の「朝日新聞」以外の新聞が急に届かなくなってしまいました。テレビも、ラジオも映らず、電話も通じない中、不審に思った経理マンの白川は、いぶかしみながらも、いつもどおり会社に出勤します。会社に行っても、市外に住ん...
体の48箇所を魔物に奪われた百鬼丸が、魔物退治の旅を続ける怪奇マンガです。戦国武将に仕える醍醐景光は、天下を取るという野望をかなえるために、生まれて来るわが子の体を、48匹の魔物に与えてしまいました。そうして生まれた子供は、体の48ヵ所の部分が足りず、川に流され捨てられてしまいました。時は流れ、戦(いくさ)の世を旅...
主人公の少年、北村市郎ことイッチは、ある夜、奇妙な大勢の人影を目撃する。「こんな時間にデモ行進かな?」不思議に思ったイッチが近づいてみると、なんとその人影には実体がない! ユーレイだ!無我夢中で逃げる途中で知り合った本田記者に、イッチは目撃体験を語ります。「そういった話は記事にはならないよ」という本田記者はしかし、...
雨夜のタクシーの中で、お互いの恐ろしい罪を告白しあう乗客と運転手。二人の言葉は嘘か?真実か?日常に潜む恐怖を描いたサスペンスホラー短編です。闇夜を箱根越えする1台のタクシー。乗っているのは、ドライバーと客の2人。「バイパスの夜」は、ほとんどがこの2人の会話だけで進行する、サスペンス仕立ての短編作品です。返事すらしな...
スランプに悩む野球選手のもとに、科学者が現れて、ある薬を託した。スランプを脱することができるというその薬とは? SFタッチのミステリー短編です。かつてのヤクルトアトムズ(現スワローズ)や、現在でもおなじみの西武ライオンズに、マスコットとしてキャラクターが採用され、野球界との結び付きも意外と深い手塚治虫ですが、いわゆ...
小説家・美倉洋介がある日駅で見つけた少女・ばるぼら。彼女が美倉の家にいついてからというもの、美倉のインスピレーションが冴えわたり…。悪魔か、ミューズか。ふしぎな少女ばるぼらを巡る不可思議な物語。『ばるぼら』は、小学館『ビッグコミック』に1973年7月から翌74年5月まで連載された作品です。ばるぼら、という名前のフー...
オオカミに変身する少年・トッペイを主人公にした異色の怪奇作品です。ある日、トッペイと名のる少年が、アニメーション製作会社・虫プロにあらわれ、手塚治虫社長に頼みこんで入社することになりました。トッペイは、実はオオカミに変身するバンパイヤの一族で、行方不明の父を探すために上京してきたのでした。けれども、その秘密を悪人・...
悪魔の申し子・ロックが、奇獣ウェコを利用して、再び悪魔の計画を遂行するという怪奇犯罪ドラマです。死んだと思っていた悪魔の少年・間久部緑郎、通称ロックは、実は生きていました。そのロックが、台湾の奥地でウェコという動物を手に入れ、日本へ舞い戻ってきたのです。ウェコとは、動物の血を吸って生きるネコのような姿の動物で、自分...
クラスメイトの梅ン田は、どこか変なやつだ。いつもボーっとしていて、そのくせやけに大食らい。ある日、ひょんなことから梅ン田の秘密を知ってしまった僕は…。SF風味のホラー短編です。「宇宙人を殺したことがある」と言う少年は、中学の同級生梅ン田のことから語り始めた。そいつは放尿中に失神し百メートルを十秒で泳ぐヘンな奴。そう...
映画館の前で知り合った少女リカは理知的な娘だった。しかし、少年がリカの家を訪れるとリカそっくりのマリというまったく性格の違う娘が…。意外な真相に驚かされるミステリー短編です。...
1957/01 「少女」(光文社) 掲載華やかな仮装舞踏会に革命軍のかしらで盗賊の「ドナウの狐」が潜入した。出席者の少女リリーはドナウの狐の名で殺害予告される。だが警備隊長リードはリリーに、ドナウの狐こそ革命軍に身を投じた彼女の母だと告げた。...
1959/09 「ひとみ」付録「ひとみタイムズ」(秋田書店) 掲載
ある風の強い雨の日、暗い夜道を一人、少女が歩いています。道端で出会った女性は全身ずぶ濡れで、その足元にはなんと、骨が散らばって…
サスペンス要素たっぷりの短編、と見せかけて…?
4コマや8コマの名手でもあった手塚治虫は、一コママンガも、1ペー...
誰の心にもひそんでいる憎悪の気持ちを、幻影の馬に託して描いたスリラーマンガです。おとなしい内向的な中学生・男谷哲は、自分が思いを寄せる水島礼子先生に、暴力教師鬼頭が求婚している事を知り、鬼頭を激しく憎みました。するとどこかから巨大な馬が現れ、翌日、鬼頭先生は死んでしまいました。男谷哲には、その馬がボンバだと、すぐに...
天下を狙う領主・最上殿は、自分の影武者をしたてようと、領地の農民で自分によく似たしょんべを攫って、武士としての教育を施す。完璧に殿様になりきったしょんべは、自分の家族を殺し、生活を台無しにした殿に復讐をしようと思い立ち…。...
1971/07 「小説サンデー毎日」(毎日新聞社) 掲載夜行列車の寝台に入った手塚治虫は、上の段の新婚夫婦が交わす陰惨な会話と、新妻の泣き声を聞いた。だが覗いてみると誰もいない。幽霊と思った手塚は驚愕し最寄駅で下車。そしてその土地の宿で、再び二人の声を聞く…。...
幸せな新婚夫婦が偶然訪れた古風なお屋敷には、どこか影のある女性が一人で住んでいました。彼女とあった数日後から、夫婦の間に亀裂がはいり…。風サスペンス短編です。
1959/09/15 「X」 第3号(鈴木出版) 掲載事実は『記憶』より奇なり!?落盤事故によって父親を亡くした少年が、父親を助けたという男を問い詰める。男の話はやけにリアリティにかけていて…。実験的な手法を用いたサスペンス短編です。...
近未来、家族から見放された老人達が暮らす老人ホームで、殺人事件が起こった!犯人はいったい誰なのか。ミステリー短編です。「料理する女」は、サスペンスタッチの短編です。舞台はとある病院ですが、登場人物は老人ばかり。患者「B」氏の娘と、飯炊きのおばさん、医師以外は全て、老人という地味さ加減。彼らは痴呆を理由に、家族から追...
劇団星座の雄谷は混乱した。愛妻のやす江が生死の境をさまよったのち別人格となり、堀田美奈子と名乗り始めたのだ。〝美奈子〟の記憶は明瞭で、西北大在学中に、理事長退陣闘争の指導者の新門徹二と愛し合ったと言う。...
冬の温泉郷へ向かっていた手塚治虫は、鉄道事故と豪雪が重なったため、止むなくタクシーを下り、徒歩で近くの宿にたどり着く。手塚の住所を聞いた主人は自分も東京にいたと言って青山と多摩の墓地の住所を口にした。...
時は戦時下。誠二と元太郎は美少女由紀を争う絵描き。由紀は誠二を愛し、怒った元太郎は彼女を絞殺する。誠二は反軍的姿勢ゆえに特高警察に捕まり、両眼を潰されるが、なお絵を描き続ける。〝由紀〟の手助けを得て…。...
沂水(ぎすい/中国・山東省)の叩建は、戦争体験のため恐怖の感覚を喪失した若者。美女胡玉は不気味な妖術を用いて彼の勇気を試験した。これに合格した叩建は、胡玉の豪邸に招かれて彼女と愛し合いその復讐を手伝う。...
1982/11/25 「コミックモーニング」(講談社) 掲載負債者森下を山奥の郷里で捕まえた高利貸しは、三年前の貸金と利子の返済を迫った。森下は、通帳と印鑑のある、更に山奥の自宅へ彼を案内するが、深い竹薮を、揺らぐ吊り橋を、歩くうちに高利貸しは不安に襲われる。...
怪事件発生! 探偵ケン一少年は迅速に現場へ。そしてスピーディーな推理で物語は急展開。見開き2ページのラストのコマで見事に解決される。でも時にはお茶目にドジを踏んだり、ダジャレで遊んだりすることも。...
くも屋敷と呼ばれる家へやってきた数人の男女。彼らはそこで無数のくもが、芸術のような美しい巣を張っているのを見る。 その屋敷の主人・戸隠(とがくれ)は、戦時中にくもに命を救われたため、くもを愛していたが、10年前に突然行方不明となっており、以来、屋敷にはくもだけが住んでいたのである。 だが、その戸隠の失踪には理由があ...
アメリカへ留学していた日本人青年・壇タクヤは、親友のエディと妹・亜理沙の結婚を承諾しました。一見幸せそうに見えた親友夫婦でしたが、結婚式の日、タクヤはエディの身内という、アルバーニ家の一員に囲まれ、「決して一族を裏切らぬこと」という誓いをさせられます。軽い気持ちでうなずいてしまったタクヤでしたが、じつはアルバーニ家...
1969/06/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載取材のため、南紀州の小島の村に行った手塚治虫は、うろこが崎の伝説を聞く。昔、網元の嫁が、村の若い衆とできてしまい、怒った網元がふたりをうろこが崎の穴の中に閉じ込めた。何年か経って、その穴から人間の大きさの魚が2匹釣れた、という話である。そんな時、現代のうろこ...
1969/12/13 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載盛岡化学に勤める月間は、カメレオンのように変わり身の早い男だった。 役員に信頼されていた彼は、ある女から産業スパイを頼まれ、会社から機密書類を盗み出した。 その書類には、動物の知能を上げる新薬の化学方程式が書かれていた。 書類を渡すために、離れ小島に行った月...
1969/10/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載地方の映画館にフィルムを届けて回る男がいた。ある地方で、化け猫映画が妙に受ける所があった。そこでは猫が信仰されていたのだ。 男はその地方の農家の美しい娘を嫁にもらい、東京で暮らすが、娘は都会暮らしになじめず、ノイローゼ気味になり、東京が火の海になると言いだす...
1969/09/10 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載嵐の夜に、谷に男がやって来た。谷には父と息子と娘の一家3人が住んでいた。 一家はもう何代も谷から出た事が無かった。息子は、自分たちは宇宙移民の実験のためにここで暮らしている、と父から説明されていた。 谷の外から来た男は、その家の娘と恋愛関係に落ちるが、谷を追...
1970/02/14 「プレイコミック」(秋田書店) 掲載深夜放送のディスク・ジョッキー田所満男は、ある晩、局へ向かう途中、自分に声をかけてきたファンが、その瞬間、マンホールに落ちるのを目撃した。 しかし田所は、関わり合いになるのが面倒だったため、そのまま放送局へ行ってしまった。 その後、そのファンが死んだというニ...
1970/03/18 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第16話目として掲載された。2000年前のメキシコで、生けにえに選ばれた少女は、首を切りおとされる直前、神様に祈りをささげたところ、時空を超えて現代に、記憶喪失の娘として目を覚ました。 少女が流れ着いた島に訪れていた手塚治虫とオクチンは、少...
1969/12/17 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第10話目として掲載された。中学生のオクチンは、校内で「なんでもひきうけ屋」稼業に精を出していた。けんかの請負から宿題まで、請け負っては50円や100円をもらっている。オクチンには、30万円を貯める目標があるのだ。そこに奇妙な小男が現れて、...
1969/11/19 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第8話目として掲載された。 月光園という旅館に泊まり合わせた3人の客。岩風呂でくつろぐひと時に、かすかに聞こえる鈴の音を恐れて飛び出した。彼らはなぜ、鈴の音を怖がるのだろう? 三者三様、「鈴の音」にはじつは深い因縁があり…。 人間の「良心の...
1969/10/15 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第6話目として掲載された。黒人と白人の人口が半々になった近未来のニューヨークでは、ギャングの帝王・「双頭の蛇」が暗躍していた。土木労働組合の委員長・ギレットが惨殺され、刑事のバンキーは小さな薬局の主人・キケロを疑っていた。キケロこそは黒人を...
1969/09/10 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第3話目として掲載された。在日米軍の依頼で、極秘の研究に取り組んでいるR大学の科学者・佐藤栄作は、深夜の大学で岡田四郎という奇妙な学生と出会う。彼と同じく、深夜まで勉学に取り組んでいるらしいのだが、今どきの学生にも似合わない丸刈り、ふるめか...
1970/01/07 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第11話目として掲載された。長曽我部家の双子の妹姫・伏見姫は美しいが残忍な心の持ち主、一方の姉の巴姫は、醜いながら心優しい娘であった。土佐の豪族の息子・本條忠道をめぐる争いから、巴姫は実の夫に切り殺されてしまう。 さて、現代。その巴姫の怨念...
1969/08/27 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第2話目として掲載された。マンガ家・熊 隆一は5年前、奇妙な老婆に出会った。目の前にひらかれた道のどちらにすすむべきか思いあぐねていた隆一に、老婆は「もし今選んだ道に疑問をもったら、八角形の館においで。運命を変えることができるよ」と教えてく...
1969/09/17 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第4話目として掲載された。「ぼく」と友達の酒井一夫はお互いレーサーとしてよきライバルだった。同じ部屋に住むほどの仲が良い二人だったが、「ぼく」が恋人としてマネキン人形の「ユカリ」を部屋に持ち込んだことから、対立が始まる。酒井はやがて、「ユカ...
1969/08/10 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第1話目として掲載された。シカゴのスラム街で暮らすナンシー。その友達のジムは、トラックで事故に遭ってから、時折ひどい頭痛に襲われて倒れるようになった。ふと気が付くと、日本人のエリート青年・隆一と意識が入れ替わっている。隆一はやがてシカゴ大学...
1970/02/04 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第13話目として掲載された。富士山・御殿場のハイウエイの途中にある「ブルンネン」という喫茶店には、みどりという美少女がいた。P中学陸上部の猛烈なシゴキでランニング中に倒れたオクチンは、ブルンネンの主人に助けられ、みどりの「秘密」を知ってしま...
1969/12/03 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第9話目として掲載された。毎年全日本選手権の前に同じロッジに泊り、お互いにライバル心を燃やしながら猛特訓をする二人のスキーヤー、奥野隆一と佐々木。ゲレンデを越え、山奥の危険なコースを滑っていると、そこに不思議なトラックが突っ込んできた! な...
ロボット事業で財を築いた設計士の男と、その妻。順風満帆に見えた二人の間には実はある不信が…(「ハエたたき」)近未来、日本ではヒトのDNAの組み替え実験が行われ、世界の非難を浴びていた。そのラボで働く男にある日降りかかった災難とは(「P4の死角」)不信・不安・疑惑をテーマに描かれた、シニカルな結末の短編3部作です。...
手塚治虫が家の前でタバコを振舞いながら聞き取った怪談を集めた……というスタイルの怪談短編集です。 あるマンガ家から聞いた話——、第2次大戦中、間島と丸橋、ふたりの画学生は芸術と、ヒロイン・由紀を巡っての恋のライバルでもあった。日本が戦争にのめり込んでいくある日、戦意を高揚させる絵を描いてほしい、と言われた間島はそれ...