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ストーリー

主人公の少年、北村市郎ことイッチは、ある夜、奇妙な大勢の人影を目撃する。「こんな時間にデモ行進かな?」不思議に思ったイッチが近づいてみると、なんとその人影には実体がない! ユーレイだ!無我夢中で逃げる途中で知り合った本田記者に、イッチは目撃体験を語ります。「そういった話は記事にはならないよ」という本田記者はしかし、逆にイッチにこう問いかけました。「君は幽霊の実在を信じるかい?」人間や動物は死んだらどうなるんだろう? 亡くなったおじいちゃんや犬のポチには、もう永久に会えないのかしら。よく「あの世」というけれど、本当にそんなところはあるのかしら。もし、自分自身が死んだら、そのあとは…?「霊魂は否定しないよ」と言った本田記者はなんとその次の日に不慮の事故で亡くなり、主人公イッチもまた、この作品の半ばくらいで幽霊たちにとり殺されて死んでしまいます。死んで幽霊となったイッチがたどり着いた死後の世界では、世界を三分に分けた戦争が行われており、より良い生活を求める人々はレジスタンスを組んで、政府に反抗していたのです。必死に自分たちのより良い「生」(もう死んでいるのだから、こんな言い方は不適切ですが)を求めて戦う幽霊たち——死という重いテーマを扱ったこの作品で救われるところは、そんな幽霊たちのけなげな姿です。死んだ後も恋をしたり、命をかけて巨悪に立ち向かったり…死してなお、目的を見据えて希望を捨てずに果敢に戦ってゆくイッチや本田記者、ヒロインのくるみちゃんは、生きている私たち以上に生き生きとしているようです。幽霊なんて怖いからいないほうがいい、という向きも多いかとは思いますが、男の子らしくてかっこいいイッチと可憐なくるみちゃんなら、幽霊でも会ってみたいかも…? そんな幽霊たちが主人公のちょっと涼しくなる異色SF、この夏にいかがですか?

解説

1974/04-1975/03 「高1コース」(学習研究社) 連載

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  • 日本発狂

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