第二次世界大戦当時の日本とドイツを舞台に、アドルフという名前をもつ3人の男がたどった運命を描く長編マンガです。1936年、ベルリンオリンピックの取材でドイツにきていた峠草平は、そこで留学中の弟が殺されていることを知ります。やがて弟が殺された理由が、彼がアドルフ・ヒットラーの重大な秘密を文書にして日本へ送ったためであ...
実在の指揮者・バーンスタインによる「平和のためのコンサート」の模様をシリアスに描いた実録風短編です。
戦争で両親を失った二人の少年、マサやんとムギやんは大の親友。ところがひょんなことから二人は離れ離れになり、それぞれまったく正反対の人生を歩みだします。マサやんは正義に燃える新聞記者に、ムギやんは殺しも厭わないやくざ者に。二人を再び引き合わせるのは、不運にも一つの殺人事件でした。政治家・菅沼氏が何者かに事故に見せかけ...
1972年8月、沖縄瑞慶覧(ずけらん)の米軍キャンプで、米軍子弟の小学生たちを人質とした篭城事件が起きた。凶悪そのものの犯人は、米軍施設勤務の日本人労働者三人で、ベトナムへ従軍した経験も持っていた。...
終戦直後、田中カズオ(十三歳)、キミコ(十七歳)、テツ(六歳)は、浮浪児収容施設から脱走した。彼らは不思議な老人の導きで、四十年後の1985年へ行く。そして思いも寄らぬ人間に変貌した未来の自分たちと出会う。...
『海の姉弟』は、戦争がもたらした悲劇と、環境破壊への警告を大きなテーマとして力強く打ち出した短編作品です。比佐子と良平は、小さな漁村に2人きりで暮らす姉弟。この物語は、両親のいない2人が、生計をたてるためにオニヒトデを捕獲しているシーンからはじまります。海中の幻想的な風景や、ヒトデの捕獲という特殊な設定は、この作品...
東京で小学校の教頭をしている加納が出席する同窓会場の母校は、五年前に廃校となり建物は朽ちていた。それでも同窓会は開かれ、みな小学生当時と変わらぬ姿で現れる。加納ことカノン以外はあの空襲以前のままで…。...
1974/09/30 「少年キング」(少年画報社) 掲載第2次世界大戦末の日本で、漫画に打ち込む中学生だった手塚治虫自身の姿を描いた、自伝的作品です。手塚漫画の中には、「戦争体験」をテーマにした多くの作品があります。その代表的な作品は、第2次大戦下の日本とドイツを舞台にした『アドルフに告ぐ』ですが、今回ご紹介する短...
終戦直後、大寒鉄郎少年が盗んだイモを感激に涙して食べていた時代。彼は新聞社勤めの美人河原和子と知り合い、その推薦で自作のマンガが新聞掲載される。和子とファーストキスをした鉄郎は、彼女の家へ招かれるが…。...
1955/10 『漫画読売』 秋の朗笑号(読売新聞社) 掲載
A国とB国にはそれぞれ、別の平和の女神がついていました。両国の人間はそれぞれの平和を旗印に、激しくいがみ合っていました。さまざまな兵器が登場し、激烈な戦いを繰り広げ殺しあう人間をよそに、両国の動物たちは仲良くしています。それに気づいた人間たちはようや...
ある村が、ミグルシャ国の原子力潜水艦の海兵隊によって占領された。学校の先生から、3人の少年は、山向こうの飛行場に手紙を届けるように頼まれる。小学校を脱走した3人は、海兵隊の執拗な追撃をかわし山頂を越えようとするのだが、謀略放送に心を動かされ、死の恐怖に脅えるヨッチン、チンチクの二人と絶交し捨て去った一人の少年は、「...
ナチス捕虜収容所配属将校のレーバー中尉は、戦犯として銃殺の刑場に縛られながら落ち着き払っていた。ユダヤ人の科学者ドクトル・フロッシュを殺して奪った「時間延長剤」の力でこの場を逃れられる自信があったからだ。...
いつの時代でも、少女にとってはアイドルの世界は憧れの的。小さい頃の夢が「歌手になりたい」とか、「女優になりたい」だった、という女性はきっと、たくさんいると思います。 少女マンガにとっては芸能界という舞台はとても親和性が高いもののようで、たとえば「ガラスの仮面」などはその最たるものといえそうです。華やかな舞台、けなげ...
終戦を迎えたとはいえ、まだ戦争の記憶も新しかったであろう1954年の10月に発表されたこの作品には、戦時下にある未来の日本が描かれています。戦闘機に乗っていた兄の正太を亡くした一ノ谷良一は、自らも航空兵学校を卒業、空軍に入ります。兄を撃墜した優秀な敵機「アンタレス」を撃って兄の敵を討とうと志す良一は、丹下という隻腕...
空襲が激しさを増す第二時大戦末に、チョウのゼフィルスの採集に熱中する少年がいた。彼は採集中に農家から作物泥棒と間違われ、憤りを感じて真犯人を捕まえる。それは何故か彼の心を苛立たせる、よそ者の少年だった。...
かつて悪人だった男が、恐ろしい終末兵器の実験をやめさせるために命を賭ける、戦争を鋭く風刺したヒューマンSFです。コスモポリタン国の科学者・ナーゼンコップ博士は、15年の歳月をかけて新兵器・空気爆弾=空爆を完成させました。空爆とは、地上の空気が次々と連鎖反応を起こして爆発するという恐ろしい兵器です。コスモポリタン国は...
パイロットの息子・荒波ドン太郎は、列車での旅の途中、他の乗客や両親ともどもウラメシア国の軍部にとらわれてしまいました。スパイ組織「人間細菌団」の一味を探すために、列車の乗客をみな捕らえ、惨殺しようとするウラメシア軍。ドン太郎は間一髪、軍の拘束から逃れて母と一緒に逃亡することに。逃亡中に出会った人間細菌団の一員の男か...
この作品は、隠れた手塚治虫の自伝的作品です。 稀代のストーリー・テラー手塚治虫は、たくさんのフィクションを生み出す一方で、折に触れて自分の半生をマンガにしています。『紙の砦』や『ゴッドファーザーの息子』など、明らかに自伝とわかる作品もあれば、『モンモン山が泣いてるよ』のように、フィクションとない交ぜになったもの、ま...
1960/8/15 「中学一年コース 臨時増刊 第二8月号」(学習研究社)掲載
戦争中のある国の荒れ果てた教会に、ピアノとバイオリンが打ち捨ててありました。斥候にやって来た日本兵がピアノを見つけ、弾いているとそこに敵兵がやってきます。実は敵兵の青年も音楽学校を目指していたのに、徴兵で行けなくなってしまったバイオ...
『漫画読売』(読売新聞社)1956年3月5日 掲載
「ある人口が多すぎる国があった。人間がガムシャラに勇ましいほか何一つ取柄のないこの国の政府は、海外派兵を商売することを計画した」という書き出しで始まる風刺漫画。この国の男性はみな徴兵制のもと兵隊にとられ、「1級品」から「級外品」までに分けられて諸外国に貸し出され...
作品の上半分は宮沢賢治作『やまなし』のマンガ化(舞台劇風)。下半分は、戦時下に農村で同作品を上演する演出家後藤と息子たちの物語。敵機の機銃掃射で上演は延期され、時局に適せずとの当局通達により禁止となる。...
「山の彼方の空紅く」は、冒頭からいきなり民家に爆弾が飛び込んでくる場面が登場するショッキングな作品です。たった一つの家族が自衛隊を相手に、これまで大切に守ってきた山を守り抜こうと、小さな家に立てこもっています。山のふもとに作られた軍事基地のため、彼らは国に立ち退きを命じられているのでした。その日の朝は、ついに自衛隊...
昭和二十年、目に移植された人造角膜の力で人の心の真偽を見抜けるようになった幼いアー坊は、その能力を特高警察に利用され「複眼魔人」と呼ばれた。十年後、自らの力を呪い人間を憎む複眼魔人は人々を恐怖に陥れる。...
太平洋戦争末期、ベトナムで撃墜された雨月大将は、土地の恋人たちブルウ、ニヤンの仲人となるが、二人は人間ではなかった。ほどなくそこへ日本軍が押し寄せる。大将は二人の土地を戦場にはさせまいと自軍に刀を向けた。...
1945 習作
戦時下の日本、マンガのキャラクター達も一般市民として、銃後を守る生活を送っています。ある朝、フクチャンはアメリカに戦闘機で攻め入って、ニューヨークの街を爆撃する夢をみました。爆弾の雨の下には、アメリカン・コミックの人気キャラクターたちが…。
ラジオで正確な防空情報を聞きたいノンキナトウサン、救...
1969/10/01 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第5話目として掲載された。架空のある「未来」。航空部隊・ダイモン戦闘隊の三等空曹オクノ・リュウイチは敵基地につっこみ、司令塔を爆破、壮烈な戦死をとげた…ことになっていた。実際は目標間近に逃げ、無人島に不時着、生き延びたのである。ところが玉砕...
1969/09/10 「少年チャンピオン」(秋田書店)に「ザ・クレーター」の第3話目として掲載された。在日米軍の依頼で、極秘の研究に取り組んでいるR大学の科学者・佐藤栄作は、深夜の大学で岡田四郎という奇妙な学生と出会う。彼と同じく、深夜まで勉学に取り組んでいるらしいのだが、今どきの学生にも似合わない丸刈り、ふるめか...