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ストーリー・解説

1945 習作

 戦時下の日本、マンガのキャラクター達も一般市民として、銃後を守る生活を送っています。ある朝、フクチャンはアメリカに戦闘機で攻め入って、ニューヨークの街を爆撃する夢をみました。爆弾の雨の下には、アメリカン・コミックの人気キャラクターたちが…。
 ラジオで正確な防空情報を聞きたいノンキナトウサン、救護班で活躍するスタコラサッチャンとハナ子さんなどの、当時の人気マンガの主人公たちと並び、退避壕と間違えて堆肥に飛び込むヒゲオヤジや、非常食のおにぎりを作るヨッツン&ミッツンなど、手塚治虫オリジナルのキャラクターも顔を見せています。
 つらい戦時中の生活や注意事項(三角巾の結び方や、天井裏に落ちた焼夷弾を見つけるために天井の一角を開けておくなど)の啓蒙要素、機銃掃射にあえなく撃たれるトン吉くんの姿など、マンガのキャラクターや表現を使いながらも、16歳の手塚治虫が見た当時の日常のリアリティを今に伝える貴重な作品です。

 習作ではありますが、1995年8月3日、「手塚治虫過去と未来のイメージ展」の別冊図録として発行され、いまでは講談社刊「手塚治虫文庫全集 手塚治虫漫画全集未収録作品集 3」で現存する部分を読むことができます。


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