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虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

 ジャーン! やって来ましたタカラヅカ! 私がいま立っているのは手塚治虫記念館前です。今月と来月の2回にわたり虫さんぽスペシャルとして宝塚さんぽをお届けいたします!! 手塚先生が幼少期を過ごしたここ兵庫県宝塚市界隈は3年前の2011年にも歩いていますけど、今回はちょっぴり趣向を変えて手塚治虫記念館のディープな楽しみ方をご紹介いたします。もちろん前回紹介していない新情報もありますのでお見逃しなく!! うおおお〜〜〜〜っ!!



◎今年は宝塚がとにかく熱いらしい!

虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

宝塚市立手塚治虫記念館。開館時間 9:30-17:00、休館日 毎週水曜日(祝日と重なる日、春・夏休みの水曜日は開館)、12/29-12/31、2/21-2月末日(メンテナンス休館)、その他臨時休館あり。入館料 大人700円 中高生300円 小学生100円、問い合せ:0797-81-2970

 JR・阪急「宝塚」駅を降りて東へ。宝塚大劇場前を通る桜並木の遊歩道「花のみち」をそぞろ歩くこと約8分。やがて正面にドーム屋根と虹色に光る窓が特徴的なブロンズカラーの建物が見えてくる。宝塚市立手塚治虫記念館である!!
 この手塚治虫記念館が開館したのは1994年4月のこと。オープン当初はものすごい人気で、休日には入場規制が行われるほどだった。私・黒沢も当時は日曜の入館をあきらめ、大雨の平日にこそっと入館してようやく展示をゆっくりと見学できたのだった。


虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

正面玄関のファサードには、開館20周年記念の今年だけの飾り付けが! サファイアさんきれいですぅ///

 そして! 今年はそのオープンから20周年ということで再び手塚治虫記念館に注目が集まっている。さらに今年は宝塚歌劇も100周年、宝塚市制が60周年の年でもあるそうで、何だか宝塚がむちゃくちゃアツくなっているのであった。
 というわけで、わが虫さんぽ隊も記念館20周年をお祝いしようということで、3年ぶりに宝塚界隈と手塚治虫記念館を散歩することになったのだ!! うおおお〜〜〜っ、懐かしいぜ宝塚、会いたかったぜ記念館っっ!! いざ散歩に出発だーーーーーーーっ!!

 ちなみに前回記事はこちら↓↓
・虫さんぽ 第17回:【夏休み関西さんぽ・後編】兵庫県宝塚市:手塚治虫記念館周辺を歩く


◎手塚治虫記念館のディープな楽しみ方!

虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

手塚治虫記念館の外壁を飾るブロンズのレリーフ。それぞれのキャラクターの魅力をうまく生かして立体化している

 今回も散歩のスタートは前回と同じく手塚治虫記念館から! といっても一般的な館内紹介は前回やっちゃっているので、今回はやや趣向を変えて記念館をもう少しマニアックに楽しんでみようと思います。
 題して「隠れ手塚キャラを探せ!」
 手塚治虫記念館を訪れたことがある方ならご存知だと思いますが、記念館の周りや建物の中には手塚キャラがあちこちに隠れているんですね! 右を向いても左を見ても天井を見上げても(!)、そこかしこに手塚マンガと手塚アニメの人気キャラクターが隠れている。それを今回はつぶさに観察してみようというワケなのだ。
 過去に記念館に行かれたことのあるそこのアナタ! あなたはこれから紹介するキャラを全部チェックして来ましたか!?


◎入館前からゲームは始まっているっ!!

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正面玄関前の敷き石には人気キャラクターの手形と足形が!! 左から『バンパイヤ』のトッペイ(変身後)、お茶の水博士、アセチレン・ランプ。トッペイのシッポとお茶の水博士の鼻はいいとしても、ランプのローソクの炎までが刻印されているのはなぜなのか!? マンガだからそこまで深く考えてはいけないのだろうか!?

 ではいざ手塚治虫記念館へ入館しよう!! と、その前に! 建物の外側を歩いて外壁を見上げることをお忘れなく。タイル張りの外壁には手塚キャラの大きなブロンズ製レリーフが埋めこまれている。レリーフは全部で5枚。玄関に近い方からアトム、サファイア、ヒゲオヤジ、レオ、B・J、火の鳥の順に並んでいる。
 玄関前の敷き石ももちろんチェック。ここには前回紹介したように手塚キャラの手形・足形が刻印されている。そして玄関のファサードには開館20周年記念ということで期間限定でサファイアの顔がカラーで掲げられていた。


◎エントランスを入ったらとりあえず天井を見ろ!?

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エントランス天井のステンドグラス。人気キャラばかりだからみんなわかるよね!!

 エントランスを入ったら券売機でチケットを購入して入館する。シロウトはここですぐに展示室へと走って行きがちだけど焦ってはいけません。このエントランスホールだけでもいたるところに手塚キャラが隠れているのだ。


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そして足下には手塚先生のタイルによるモザイク画が!! 凝ってますなぁ。

 床の手塚先生の絵のタイル画や、天井のオールスターステンドグラスはすぐに目に入るけど、注目すべきは天井の隅! まず受付カウンターの真上では『リボンの騎士』のチンクがラッパを吹いている。
 その反対側の角では虫眼鏡を使って古文書らしきものを読んでいる2匹のヒョウタンツギと、「ケラケラ」と笑うブタナギの姿が見える。やや離れたところの天井には「オムカエデゴンス」が口ぐせのスパイダーもいるぞ!!


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天井の片隅で『三つ目がとおる』に出てきそうな古文書を虫眼鏡で読んでいるのは、大小2匹のヒョウタンツギたち。その横のブタナギというキャラクターは、まるで昆虫のサナギのように尻尾(腹)の先端で木の幹などにくっつき、なぜかいつもケラケラと大笑いしている

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こちらも正体不明の妖精(?)スパイダー。名前はかっこいいが「オムカエデゴンス」が口ぐせのオカシなやつだ


◎エントランスからトイレへ直行!?

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エントランスの天井で笛を吹いている『リボンの騎士』のチンク

 エントランスだけでもこんなに手塚キャラがいるとなると、さすがのぼくでも大事なポイントを見逃してしまいそうだ。そこで心強い案内人にご登場いただこう。手塚治虫記念館の石井泰一係長である。石井さん、よろしくお願いいたします!!
「黒沢さん、ようこそ手塚治虫記念館へ。うーん、隠れキャラですか。トイレのドアとタイルはご覧になりましたか?」
 あーっ、そういえば何か絵があったような気がしますけど、はっきりとは見てません。
「ではご案内いたしましょう」
 さっそく石井さんの案内でトイレへと向かう。記念館へ来ていきなりトイレへ向かう人も珍しいと思うけど、行ってみると……おー、あったあった。


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エントランスに立つアトムのフィギュア。その足もとを走っているのは『鉄腕アトム』に出てくる犬型のパトカーだ。サイレンは「ウー、ワンワン」と鳴る



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石井さんに教えていただいたトイレのドアのイラスト3種。それぞれに個性的ですね


「ドアのイラストは3種類あります。それぞれどんな手塚キャラクターがモチーフになっているか分かりますか?」
 これは手塚先生の元絵をそのまま使っているわけではなくて、手塚キャラからイメージを借りているオリジナルキャラなんですね。でもそれぞれ特徴があるから分かりますよ。頭に葉っぱのようなツノのある少女は『火の鳥 望郷篇』に出てきたコムでしょう。悪魔のような2本ヅノの少年は『吸血魔団』もしくは『38度線上の怪物』のヒロイン・モードさんですね。そしてウサギのキャラは『地底国の怪人』の耳男……ですか?
「おおむね正解です。ウサギ耳の少年は手塚マンガに数多く出てくるウサギキャラクターを総合してイメージした絵なんです。『W3ワンダースリー』のボッコとか、『双子の騎士』のパピとか、さきほどおっしゃった耳男などですね。
 なるほどー、奥が深いです。


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通路やトイレ付近に貼られている禁煙の注意パネルはアトムの絵柄だった。でもこのパネル、なぜかどれも床から170cm以上の高い場所に貼られているのだ。これってもしかして隠れキャラにするためにわざとやっているのだろうか? なーんて、まさかね(笑)



◎マニアックすぎて頭の中が急降下!?

 石井さん、タイル絵の方も見せていただけますか?
「タイル絵は全部で6種類です。こちらもけっこう難しいですよ」
 フフフ、虫さんぽの黒沢を甘く見ない方がいい。これは手塚先生の元絵をそのまま使っているようです。これならすぐに分かりますよ。まず『リボンの騎士』のチンクが2種類と『W3ワンダースリー』のプッコですね。
「『リボンの騎士』は「なかよし編」バージョンと言って欲しかったですね」
 えーっ、そこまで!! ではあとの3種類も特定してみましょう。こちらは少し難しいぞ。このアメーバ状のキャラは『火の鳥』のムーピーですか。座布団みたいなキャラが『ブッキラによろしく』のザザプトン先生。そしてこのカラスが何だったか……どこかで見たような記憶はあるんですが……こ……降参です。
「これは『マンションOBA』でカラスコンクールに出場していたカラスです」
 あーっ、そっかー!! さすがにこれは分かりません!!
「あっ、申し訳ありません、黒沢さん、私はここで失礼します。今日は土曜日でイベントがあって忙しいものですから! G階へ行ったら「幻の花」をお見逃しなく。それからお帰りの際には「花のみち」と「宝塚大橋」へも行ってみるといいですよ!」
 石井さん、『幻の花』って何ですか? 花のみちと宝塚大橋に何があるんですか? ああ……行ってしまった……。仕方がない、自分で探索しよう。石井さんありがとうございました!!


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こちらはトイレのタイル5種。ん? 6種じゃないの? スミマセン、1枚撮るの失敗しました!! お客さんが入って来ちゃったもので!! ということで画像は5種しかありませんが、左からチンク1、チンク2、プッコ、ザザブトン先生、『マンションOBA』のカラスでした!!



◎手塚キャラのフィギュアは何体いるのかな?

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アニメ工房奥の仕事場で仕事をする手塚先生のフィギュア。富士見台に仕事場があったころは、手塚先生は、実際にこのような中二階で仕事をされていた

 ということでここからはまたひとりで歩きます。館内のいたるところに手塚キャラの立体フィギュアが立っているのでひとつひとつじっくりと見ていこう。
 エントランスホールのアトム、サファイア、チンクに続いて1階展示室の奥には『ジャングル大帝』のレオ(大人バージョン)がいる。ブラック・ジャックはいないのかなと思ったら、こちらはG階に立っていた。G階にはさらにポーズの違うアトムとチンクも。そしてアニメ工房の奥では手塚先生の等身大(?)フィギュアが今まさに仕事中という感じで椅子に座り、こちらを振り返っている。



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G階に立つアトムとブラック・ジャック。ブラック・ジャックはかなり若いかも?



◎ジャングルカフェでライオンのブブがかくれんぼ!?

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おーっと、机の裏側にチラッと頭が見えているのは意地悪ライオンのブブじゃないか! こいつは気をつけないと危険だぜ!!

 見逃しがちな隠れキャラの宝庫が2階のジャングルカフェとミュージアムショップだ。『ジャングル大帝』の世界をイメージしたジャングルカフェにはオウムのココやシカのトミー、ずるがしこい黒ヒョウのトットもいるぞ。と、そのとき、机の影に隠れているライオンのブブを発見!! これこそまさに隠れキャラ!!


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ジャングルカフェの片隅にココがいた! おーっと、気をつけないとその後には黒ヒョウのトットがいるぞ!!



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ジャングルカフェ横の窓ガラスにはレオとライヤ、そして子どもたちの幸せそうな絵が描かれておりました。癒やされますねえ

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ミュージアムショップの全景。棚の上にひっそりと立つヒョウタンツギに目を止める人は誰もいない


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秋田書店の雑誌『ヤングチャンピオン』連載の『ヤングブラック・ジャック』を描く大熊ゆうご先生の直筆サイン色紙!! こんな素敵なイラストが間近で見られちゃうのも記念館ならではです!

 一方ミュージアムショップには『ヤングブラック・ジャック』のマンガ家・大熊ゆうご先生の直筆色紙が展示されていた。またこれはほとんど誰も気づかないだろうというのが、展示棚の上にさりげなく立っているヒョウタンツギだ。
 ぼくはここで記念館の絵柄が入った玉子煎餅を購入した。この玉子煎餅は宝塚名物の炭酸煎餅を製造販売している老舗・黄金家こがねやの謹製で、ここでしか買えない限定アイテムだ。絵柄の楽しさだけでなく味も保証付きだから誰にあげても喜ばれるおみやげです。


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棚の上のヒョウタンツギをアップでご覧ください。さらに後ろの窓には火の鳥のシルエットが!!

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お絵かきコーナーを見上げると、ミラーボールに手塚キャラが写っていた。このアングルで見た風景もある意味隠れキャラと言えるかも!?


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記念館限定絵柄入りの黄金家謹製「玉子煎餅」。1袋9枚入りで税込み411円。さっくりした食感とほのかな甘味がGOOD!!



◎ついに『幻の花』を発見!!

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エレベーターのドアには各階それぞれ違う絵が描かれている。どんな絵かは実際に行って確かめてみてください!

 それにしても石井さんが言っていたG階の『幻の花』とは何だろう。それを探るべくふたたびエレベーターでG階へと降りる。あっ、ちなみにエレベーターのドアにも各階ごとに違う手塚キャラのイラストが入っているのでお見逃しなく!!
 G階は、お客さんが自分で描いた絵をアニメにして動かしてくれる「アニメ工房」や、手塚先生が昆虫採集をしていた戦前の宝塚を再現したジオラマ「手塚治虫昆虫日記の宝塚」などが展示されている。けど『幻の花』なんていう展示はないなあ……。
 そう思ってふと壁面を見ると「のぞいてごらん! なかになにがみえるかな?」と書かれた小窓を発見。中をのぞくと小さなヒョウタンツギが3匹置いてある。下の小窓から手を入れると触れそうだ。
 ところが、ヒョウタンツギに触れようとすると手がスカッと宙を泳いだ。??? 目の前に見えているのにつかめないのだ。いったいなぜ!?


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アニメ工房の横の壁面にほとんど目立たずひっそりとある謎の小窓。それを覗きながら下の穴から手を入れるとヒョウタンツギが触れる……と思ったら触れない!? 見えてるのに触れない。不思議!!



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記念館限定の手塚キャラ入りプリクラ。コスプレアイテム貸し出しの案内ポップにはスパイダーのユニークな手描きイラストが描かれていた



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アニメ工房のパネルには、こちらも恐らくスタッフが描いたと思われる手描きのピノコのイラストがあった。素朴でいいね!

 そうか、わかったぞ! これが『幻の花』だ!! このときぼくは手塚先生のエッセイの一文を思い出していた。それは前々回の大阪さんぽ前編で紹介した四ツ橋の電気科学館について書かれたエッセイである。その部分を引用しよう。
「いまでも忘れないのは凹面鏡のトリック装置で『まぼろしの花』という展示。正面から花が見えるのに、手を伸ばしてもそこに実体がなくつかめない」(講談社版手塚治虫漫画全集別巻13『手塚治虫エッセイ集6』「懐かしのプラネタリウム」より。※初出は1985年刊「月刊うちゅう」)

 四ツ橋の電気科学館跡地を歩いた前々回の虫さんぽはこちら↓
・虫さんぽ 第35回:大阪さんぽ(前編)手塚少年に芽生えた科学する心を訪ね歩く!!

 手塚先生は後年、この展示のトリックをそのまま短編マンガのトリックとして引用している。1963年に『週刊少年サンデー』の読み切り作品として発表された『ビルの中の目』がそれである。


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見えているのに触れない。この不思議な仕掛けはかつて手塚先生が通い詰めた大阪の電気科学館にあった『幻の花』という展示を元ネタにしている。画像は電気科学館が開館された当時の貴重なパンフレットである。これを見ると『幻の花』の展示は電気科学館4階の照明に関する展示のひとつとしてあったようだ



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『幻の花』のトリックをヒントに手塚先生が描いたミステリー短編『ビルの中の目』。物語は新聞売りの少年が行方不明になっている科学者の死体を目撃したところから始まる。しかしその場所に行ってみても死体などはなかった。少年はそれを人に話すがまったく信用してもらえない。だがやがて少年はふとしたヒントからその謎を解くのだった!! 講談社版手塚治虫漫画全集では第79巻『SFミックス』第2巻に収録されている



◎宝塚大橋と花のみちにあったものとは……!?

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タイル画は全5種類。鮮やかなカラーの素敵なタイルだ。これで何年も色あせないなんて現代技術はすごいですね

 いやー、手塚治虫記念館は何度来ても新しい発見がありますね。では次の目的地へ……とその前に、忘れてました。石井さんがもうひとつ言っていたことがあったのだった。「花のみち」と「宝塚大橋」に何かがある?
 花のみちというのは宝塚大劇場の前を通る遊歩道で、今朝、記念館へ来るのに通った道である。一方宝塚大橋は宝塚南口駅から手塚記念館へ来る際に渡る大きな橋だ。ともかく行ってみよう。
 記念館を出て目の前の交差点を南へ歩くと100mほどで見えてくるのが宝塚大橋だ。
 その宝塚大橋を渡りかけてすぐにぼくは石井さんの言った意味を理解した。
 なんと舗道の足もとに手塚キャラの絵柄が入った大きなカラータイルが埋めこまれていたのだ。タイルは記念館側から対岸まで等間隔に設置されていて絵柄は全部で5種類あった。記念館側から順に火の鳥、ブラック・ジャック、リボンの騎士、ジャングル大帝、鉄腕アトムと並んでいる。その後、花のみちにも同じタイルが設置されているのを確認。うああ、さっき通ったのに何で気づかなかったんだ!?
 後で調べたところ、このタイルは今年3月に手塚記念館の開館20周年を記念して宝塚市が設置したもので、サイズは45cm×45cm。滑りにくい表面加工をほどこしたセラミック製だという。3月末に行われた完成披露式には宝塚市の4代目観光大使サファイア・上願由佳じょうがんゆかさんも出席されたそうである。会いたかった!!


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阪急線「宝塚南口」駅と手塚治虫記念館とを結ぶ宝塚大橋。今年2014年3月、ここに5枚の手塚キャラクタータイルが設置された。同じものが花のみちにも設置されている



◎店先から煎餅を焼くいい香りが……!!

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宝塚駅近くの武庫川に架けられている宝来橋。S字カーブを描いた特徴的な橋だ。竣工は平成5年。デザインしたのはアートな都市景観を数多く創造したフランスの女性彫刻家マルタ・パン氏である

 さて今回、宝塚さんぽ前編の仕上げとして向かうのは、先ほど記念館で紹介した玉子煎餅の製造元である「炭酸煎餅本家 黄金家」だ。事前に取材のお願いをしたところ「店頭で炭酸煎餅を焼いていますので間近に見られますよ」と快諾してくださった。
 手塚記念館からいったん宝塚駅方面へともどり、宝塚駅の南側に架かるS字カーブを描いた変形橋・宝来橋を渡る。すると交差点の右手角に見えてくるベージュ色の建物が黄金家だ。出迎えてくださったのは黄金家 代表取締役の白本功美子さんと店主の的場喜志きよしさんである。


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その宝来橋の南詰めに建つ「炭酸煎餅本家黄金家」。営業時間9:30-18:30、定休日:水曜日、問い合せ:0797-86-2962

 うかがったとき、的場さんは炭酸煎餅を製造する機械の前で忙しく仕事をされていた。ゆっくりと回転するオーブンから煎餅が次つぎと焼き上がる。それを的場さんは6枚ずつつながった状態で取り出し、焼け具合をチェックしては冷ましてベルトコンベアーに乗せるのだ。
 コンベアーで運ばれた煎餅は下に落ちるときに2枚ずつに分離し、さらにV字型の溝にはまって1枚ずつバラバラになり、下の箱の中に貯まってゆく。
 うまく考えられた装置だけど作業中は片時も手が離せない。
 なのでまずは白本さんにお話をうかがった。


◎黄金家さんから炭酸煎餅の秘密を聞く!!

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黄金家代表取締役の白本功美子さん。先代の父の後を継いでお店を切り盛りされている

 はじめまして白本さん、こちらの炭酸煎餅にはどんな歴史があるんですか?
「うちは先々代の主人が明治30年に創業いたしました。何か宝塚名物を作りたいということで試行錯誤をし、この地に湧き出ている天然の炭酸泉を使ったお菓子を考案したんです。それが炭酸煎餅です」
 今も温泉を使っているんですか?
「今は源泉が湧かなくなってしまったので炭酸泉に近い水を使用しています。ただの水ではこのサクッとした食感ときれいなキツネ色が出ないんですよ」
 ここで煎餅焼きマシンの作業を的場さんから白本さんに交代。今度は的場さんにお話をうかがった。
 的場さん、源泉はどこにあったんですか?
「うちのすぐ裏手です。今は記念碑が建っていますよ」
 そこへ案内していただけますか?
「いいですよ。こちらです」
 えーっ、まさにお店のすぐ横なんですね!



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虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!


店先に設置された炭酸煎餅製造マシン。昔ながらの製法で、薄くてパリパリの炭酸煎餅がていねいに作られています



◎記念館の玉子煎餅は記念館でしか買えません!!

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職人の的場喜志さん。先代の弟にあたり、今は先代の伝統の技をひとりで受けついでおられるのだとか!

 ところで的場さん、手塚治虫記念館で玉子煎餅を販売することになったのはどういう経緯からだったんでしょう?
「6〜7年前に手塚プロさんからお話があったんです。うちの煎餅がおいしいからぜひ記念館でキャラクターの絵を入れて販売したいということで」
 絵柄はどうされたんですか?
「手塚プロの方で用意していただきました」
 こちらのお店では手塚キャラの玉子煎餅は販売されていないんですね。
「はい。こちらでも売っていいということだったんですが、記念館のおみやげだから記念館限定の方がいいだろうということで、うちではオリジナルの宝来橋の絵柄の玉子煎餅を販売しています。どちらも味は一緒です」
 記念館と宝来橋ですか! 両方買うと、宝塚名所がそろっておみやげとしての価値も高まりますね。白本さん、的場さん、本日はどうもありがとうございました!!
 ということで前編はここまで! 後編では素敵なゲストにお越しいただき、その方と一緒にとっておきの手塚スポットを歩きます!! ではまた来月、虫さんぽでご一緒いたしましょう!! うおおお〜〜〜〜〜っ!!


虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

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虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!


左から宝来橋の絵の入った玉子煎餅(9枚入り372円)、炭酸煎餅(15枚入り372円)、クリーム炭酸煎餅(8枚入り372円)。クリーム炭酸煎餅はレモン、ストロベリー、チョコレート、抹茶の4種類のフレーバーがある



虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!

虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!


黄金家さんのお店のすぐ横、宝来橋のたもとにかつては炭酸泉の源泉が湧いていた。的場さんにその場所を示す石碑を教えていただいた。右は戦前の宝来橋を撮影した写真絵はがき。この絵はがきの中にも、的場さんが示したまさにその同じ場所に「天然たんさん水 この下あり」という石碑が立っているのが見える



虫ん坊 2014年11月号:虫さんぽ 第37回:宝塚さんぽ(前編)手塚治虫記念館で隠れキャラを探そう!!


(今回の虫さんぽ、3時間15分、3625歩)

取材協力/宝塚市立手塚治虫記念館、炭酸煎餅本家 黄金家(順不同、敬称略)


黒沢哲哉
 1957年東京生まれ。マンガ原作家、フリーライター。手塚マンガとの出合いは『鉄腕アトム』。以来40数年にわたり昭和のマンガと駄菓子屋おもちゃを収集。昭和レトロ関連の単行本や記事等を多数手がける。手塚治虫ファンクラブ(第1期)会員番号364番


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