手塚治虫について 手塚治虫について

手塚治虫のメッセージ

手塚治虫のメッセージ 未来 「しあわせな未来」のその果てに

コンピュータの利用度がますます増大して、人間は生産や頭脳労働から解放される、というより、追放されるか、もしくはコンピュータに管理される奴隷のような存在になるかもしれない。そうなれば、ロボットは人間、つまりあなた自身のことになるかもしれませんよ。

(アンドロイド・『鉄腕アトムの未来学』週刊読売掲載エッセイより)

家庭の仕事は何でもこなせる便利なロボットが普及し、ママは家事から解放されました。
そしていつしか子育てもロボット任せになってしまいます。
子どもたちが両親ではなくロボットに育てられる。
そんな未来は果たしてバラ色の未来でしょうか?
人は人と触れ合うことではじめて心を育むことが出来る。
だとすれば、インターネット授業が主流になって子どもたちは学校へ行く必要がなくなる、という話題がもはや「未来の話」ではなくなりつつある現代は、「とても危険な世界」になりつつあるのかもしれません。

手塚治虫のメッセージ 未来 さらなる未来へと向けて

滅びて消え去っても、なおも新しい生命が自然に向かっていどむ姿に敬意を表したい。

(『ジャングル大帝と私』より)

地球を遠く離れ、未知と惑星に取り残されてしまった主人公と女性型植物人間。
ふたりはすべての未来を失ってしまったのでしょうか?
いいえ、ふたりは絶望を超えて、その先にある未来に目を向けます。
それは「誰かが用意しておいてくれた未来」ではなく、「一から自分の力で築き上げて行く未来」です。
これは別にSFマンガだけの話ではなく、私たちひとりひとりの物語でもあります。
「将来に夢なんか持てない」とタメ息をつくのは簡単だけど、いちばんつまらない。
どうせなら「自分の未来は自分で作り上げて行くんだ」と決意した方がいい。
たったそれだけで毎日がきっと生き生きと輝いてきます。

手塚治虫のメッセージ 未来 昔、21世紀は憧れの未来だった

科学の進歩は大いに喜ばしいことにちがいありません。
それによって多くの人の夢がかない、人間は月世界にも 降り立つことができましたし、しかも、これは宇宙への第一歩にすぎません。
まだまだ宇宙は広いのです。
しかし一方で、科学の進歩によって多くの生命、人命が失われたことも忘れるわけにはいきません。

(『ガラスの地球を救え』より)

いつか人間は宇宙へと進出して行くのだと数々のSFが草創期からそう語っていました。
そしていま本当に宇宙ステーションの建造が進んでいます。
だからあと30年もすれば人が宇宙で暮らしはじめるようになるでしょう。それは人類にとって素晴らしい未来ですね。
可能性がそれこそ宇宙規模でひろがって行くのですから。
宇宙に進出することで、地球から枯渇しようとしている資源の問題も増え続ける人口の問題も解決するかもしれません。
——けれど、同じ夢を描いてかつて未開の土地や大陸へと進出して行った歴史を人類は持っています。
そしてそれが先住民族の命や文化を駆逐したのです。
もしかしたらバラ色の未来は新たな民族紛争を生むためのプロローグでしかないのかもしれない。
そうならないために、科学の進歩に負けない心の進歩が、いま最も強く求められているのです。