2019/07/25
原宿の竹下通りを抜けてほどなくして見えてくるTOKYO CULTUART by BEAMSにて、手塚治虫生誕90周年を記念して開催中のトリビュートショー「アナザーサイドオブテヅカ-オレたちの黒いテヅカ-」。
マンガの神様と呼ばれ、もはや世界の偉人にも数えられる手塚治虫の作品を、現代に生きるアーティスト5人が、それぞれのオリジナリティ溢れる作風でトリビュートした作品群を一挙に見ることができる現在開催中のイベントである。
会場では「アラバスター」や「ばるぼら」「七色いんこ」など普段なかなか商品化されにくい手塚作品オリジナルのグッズと各アーティスト作品のグッズも販売され、手塚マニア、各アーティストのファンにとっても貴重な機会となっている。
そのアーティストたちの筆頭であり今回のショーのキュレーターでもある、POPでエロチックな作品で知られる謎の覆面画家Rockin'Jelly Bean氏(以下、RJB)と、今回のショーの仕掛け人である手塚プロダクションのあらきゆうこ(以下、ゆうこ)の二人に、ことの成り立ちと制作秘話を聞いた。
覆面画家、Rockin'Jelly Bean氏と、本日ちょっとメイクのノリが良くないあらきゆうこ。
なんとも怪しいRockin'Jelly Bean氏の事務所でおこなった、
本来の意味とは少し異なる「覆面座談会」でのお話。
(聞き手:手塚プロダクションスタッフ)
★Rockin'Jelly Bean
(ロッキン・ジェリービーン)
1990年より活動する覆面画家。
音楽と密接な関係にある彼のアート・スタイルは日本のインディー GARAGE PUNKシーンにてフライヤー、ジャケットなどをキャリアの原点としている。
さらに活動は国内外、インディー、メジャーの枠を越え拡張し、現代美術の世界まで及ぶ。96年の渡米をきっかけにLOW BLOW ARTシーンでの活躍の場を見いだした彼はCOOP、KOZIKなどと共にグループ展に参加。それと同時にブランド「EROSTY POP!」を設立。7年間のロサンゼルスでの活動ののち、'05年からは活動の拠点を日本に移し、近年は原宿にショップ「EROSTIKA」をプロデュースする側ら様々な分野でCOOLなアートワークを提供している。
★あらきゆうこ
(「アナザーサイドオブテヅカ」プロデューサー)
手塚プロダクション勤務 11年目。
商品化、広告使用のライセンス業務を担当。
好きな手塚マンガは
赤の他人/安達が原/生けにえ/怪談雪隠館/ガラスの脳/帰還者/蛸の足/猫の血/ボンバ!/料理する女/ロバンナよ
自身が至極真っ当なので、異常性が高く倒錯的な内容の、ドキドキしたり後味の悪い短編が好み。
そしてつくづく手塚治虫先生は唯一無二の奇人的天才だなぁと読後に思いを馳せるのが好き。
―――お二人は友人としても数年来のお付き合いとのことですが、どういったきっかけで今回のトリビュートショーが行われることになったのでしょうか?
RJB こちらにいる手塚プロダクションのゆうこさんに脅されて。
ゆうこ (笑)
RJB 気がついたらこんな状況に......。
ゆうこ 違いますよ! 本当のことを言えば、2013年に遡ります。覚えてないでしょう?
RJB 覚えてるよ。
ゆうこ 私がとあるパーティに行ってバンドが演奏を始めた時に、Jackie & the Cedricsというバンドで音楽活動もやっているジェリービーンさんがゲストで登場したんです。私はそのずっと前からジェリービーンさんのファンだったので、その時勇気を振り絞ってお声掛けしたのが知り合ったきっかけです。
――― ゆうこさんは以前からのファンだったんですね。
ゆうこ 作品はすごく好きでした。最初は外国人の方が描かれていると思っていたのにこれを日本人が描いてるんだ! というところに衝撃を受けてファンになりました。
RJB ゆうこさんが手塚プロにいると聞いて、手塚ファンだった僕は、それは是非いつか面白いことしたいねと話していて。それからタイミングをうかがっていると、ゆうこさんに「手塚作品の中でもダークな作品に焦点を絞ってみたら面白いんじゃないか」という言葉を頂いて、ちょうど手塚先生の生誕90周年のタイミングでやりましょう! となりました。
―――ジェリービーンさんはどんなモチベーションだったのでしょうか?
RJB 子どもの頃から憧れて真似して絵を描いていた、あの手塚作品を大手を振って描けるんだ! それならいっぱい描きたいなぁ! と思いましたね。
――― ジェリービーンさんの手塚作品との出会いはいつごろですか?
RJB いやそれはもう世代的に、物心ついた時には自然とテレビでもマンガでも。
――― 世代的、というと......失礼ですが年齢はご公表されているんですか?
RJB そうですね。5万......何千歳だっけな?
――― 一同(笑)
ゆうこ その設定初めて聞いた。(笑) 世代じゃないんじゃない?
RJB いや、だって手塚先生は長いことやってるから。たしか小学生の頃、「ワンサくん」がやっていたり、「バンダーブック」なんかの24時間テレビのアニメを観たり、いわゆる最初のアニメブームの世代ですかね。「ドン・ドラキュラ」も読んでたな。「三つ目がとおる」も連載してたんだけど、子どもだったから三つ目になったときの写楽くんが怖くってね。他にも「どろろ」や「火の鳥」を親に買ってもらって、あれ何編だったっけ?彫刻彫ったりするやつ。
――― 鳳凰編ですね。
RJB 鳳凰編だ、鳳凰編! 茜丸と我王が彫刻対決する話! あれを読んで、アーティストとは大変な仕事だ......と思いながら、その頃から自分は絵を描く仕事をするんだと夢見て手塚作品を読み、キャラクターの模写をしていました。
――― いわゆる代表作品、と呼ばれるような手塚作品には子どもの頃から親しんでいたというRJBさんですが、今回そういった作品ではなくファンの間で「黒手塚」と呼ばれる青年マンガに焦点を当てることにした理由は?
ゆうこ ジェリービーンさんとなにかできるチャンスをもらえるのであれば、彼の画風も知っていたので、アトムやブラック・ジャックよりももっとディープな作品に焦点を当てた方が今までにない面白いものができるんじゃないかなって。それをジェリービーンさんに伝えると「それいいねえ!」って。
RJB 言ったっけなあ?
ゆうこ 言ったわ!
――― 企画を聞いてどう思いました?
RJB わりと自分のスタイルもアンダーグラウンドですし、ファンの方もそういうものが好きだし、面白そうだな、と。それで何点か作品を描こうとなった時に、自分が描ける限界を考えると、まず展示する場所が埋まらない。それにこんなチャンス自分だけでするのはもったいないと、「オレにも手塚治虫描かせろー」って絵描きはいっぱいいるんじゃないかということで、同じ世代のアーティストたちも誘って今回のトリビュートショーの開催に至りました。
――― 今回参加して頂いた他の4人のアーティストの方々とは元々交流があったんでしょうか?
RJB ありました。なんせMIIDAくんなんて絵描きの先輩でもあり、地元の先輩。ビー部の先輩。
ゆうこ ビーブ?
RJB ラグビー部。
ゆうこ ビー部って言うんだ。(笑) というかラグビー部なの!?
RJB 9年間ラグビーだよ。
ゆうこ ええ!? 二人ともラグビーっぽくないよね?
RJB いやいや、MIIDAくんなんてずっとレギュラーで......そんなことはどうでもいいんだ。ともかく、彼には仕事からプライベートから、先輩として沢山のことを教わりましたね。領収書の書き方とかも! それで、昔から先輩の描く動物のラインや女の人のフォルムの感じとかが手塚っぽかったもので、それで今回お誘いしたら、二つ返事で引き受けてくれました。ナンペイ氏も同じ世代なので間違いなく好きだろうと相談してOKをもらい、SONYは4人の中では一番最近知り合ったんだけど、手塚治虫についての話をすごく聞いていたので、ぜひこの機会に一緒にやりたいと。寺田さんはすでに手塚るみ子さんの「キチムシ」というイベントに出展しているのを知っていたので、そんなに興味ないかなとも思っていたのですが、別の展覧会での帰りにラーメン食べながら話してた時に「面白そうじゃないかー!」と言ってもらったので、すかさず「じゃあぜひ一緒に!」とお願いして最後に決まった、という流れですね。
ゆうこ 私もたまたまナンペイさん以外とは元から知り合いだったので、なるほどそれは面白いものができそうだなと思って嬉しかったです。
――― 「トリビュートショー」という形式にした理由は?
ゆうこ 今回ジェリービーンさんとなにかができるかもしれない、となった時に色々と考えました。商品化はすごく現実的なんです。ジェリービーンさんのグッズが売っているショップもあるし、手塚プロにも販売先がある。だからといって、通常通り絵を描いてもらって、商品化して、はい終わり、とはしたくなかった。せっかくの機会なのに、もったいないなって。
――― ショーをプロデュースしてみて、楽しかったですか?
ゆうこ めちゃめちゃ楽しかったです!
RJB (笑)
ゆうこ (この座談会をしている)今も開催中ですけど、すでに終わるのが淋しい!
RJB 開催するまでずっとドキドキしてたもんな~。
ゆうこ 寝ても覚めてもこのことばかり考えていました。
RJB 友人のお見舞いに「そーだ、手塚治虫のマンガを買っていくか!」と思い書店に寄ったんです。すると、自分が最近の事情を知らないこともあるんだけど、手塚治虫のマンガが無いんだよね。当然あると思っていた、我々が目にしていた手塚マンガが、「火の鳥」さえも取り寄せになる、と店員さんに言われて。そういう状況で、周りの若い子に読んだことがある手塚治虫のマンガを尋ねると、「ああ、アニメは知ってるけど、マンガは読んだことないっス」「学級文庫に火の鳥ありました」と聞いて、これはちょっと良くないなと思って。「手塚治虫ってアトムの人でしょ?」だけじゃなくて、こんな悪いテーマのマンガもある、こんなアーティスティックでサイケデリックなマンガもある、そういったことをわかって欲しくて、そのきっかけになるのが今回のショーの目的ですね。
――― 誰がどの作品をトリビュートする、という作品選びはどのように決まっていったのか、制作の過程でのお話をお聞かせください。
RJB 基本的にはそれぞれにお任せで。元になる手塚作品もたまたまかぶらなかった。
ゆうこ 「アラバスター」は寺田さんとSONYさんでかぶったけれど、それぞれの表現の仕方が全然違うので、逆にSNSで「同じ作品でも違う表現をしているのが面白かった」という声もありました。ただ枚数でのやり取りはあったみたいですよ。「お前が3枚描くなら、俺は4枚だ!」みたいな。(笑)
RJB 寺田さんのアトムなんかは、実は元々ショーに出す予定ではなくて、普段から落書きを描いて、俺のところにメールで送ってくるんですよ。「暇だからアトム描いたよーん」ぐらいのノリで。暇っていうのは失礼だけど(笑) それが毎日のように送られてくる。それで「これ良いじゃないすか!」と言って「ああ、そうだねえ」と。
ゆうこ あがってくる作品を観る度に感動しました! 会社としては「これは......大丈夫かしら?」というような過激な作品もありましたが、この企画を起ち上げて、ジェリービーンさんに声をかけた時点で覚悟はしていたので。
RJB (笑)
ゆうこ 通常通りの監修やリクエストは今回一切しなかったです。
RJB 本当にゆうこさんがいたからこの企画ができた部分がたくさんあると思う。おかげで絵描きとしてすごく良い経験させてもらったと思っています。
――― ジェリービーンさん自身の作品選びや制作過程はいかがでしたか?
RJB まず描こうと決めていたのはメルモだね。メルモちゃんは勝手にジェリービーンっぽいなあと自分で思っていて、昔から描きたかった作品でもあったのですぐに決めてた。あとは「きりひと讃歌」の軟体の女性、麗花。あれも子どもの時読んで色んな意味でショックだったのでねー、印象的だったので描きたかった。その二つは先に決まっていた。
ゆうこ でも決まっていたその二つから作画に着手したわけじゃなかったですよね?
RJB なぜかというと、やっぱり描きだしたらノッてこないとまずいから。逆に「アポロの歌」は今回のために初めて読んだんだけど。読んでみると、登場する女性、渡ひろみは完全に大人の時のメルモちゃんじゃない! 内容的にも恋愛の話で、そこに性教育的な部分があったり、途中変な方向に行ったり、追い掛け回されて、チューするの? しないの? とか揉めたり、急に陸上選手になったり。かと思えば女王シグマが急に出てきて、「私の目の前で子どもを作りなさい!」と言い出したり、無茶苦茶な話じゃないですか。(笑) 多分手塚先生も連載持ちすぎで展開に煮詰まってたのだろうか? とか、色々想像しながら読むととても面白く、じゃあまずそれを描こう、と。最初からずっと描きたかったメルモちゃんを描いてしまうと、自分の気持ちが強すぎて、「これじゃない!」「こうじゃないんだ!」となる可能性がある。前には進めないけれど日にちはどんどん過ぎてゆく! というやつが一番危ないので。
ゆうこ まずは「アポロの歌」で自分を高めてからってことですね。
RJB そうそう。それで次に「地球を呑む」も、今回初めてきちんと読んで。あの手塚先生が描く下半身の大きい女性と、春川ナミオ先生(豊満な女性に虐げられる男性をモチーフとしたイラストなどで評価されるイラストレーター)のスタイルを一緒に混ぜてやりたいな、と思っていたところでちょうど春川先生の展覧会があったんですよね。それで、これで行こうと。で、テンションを高めていってメルモちゃんに行ったんですよ。
ゆうこ そうだったんだ。
RJB 一番最後に描いたのが「きりひと讃歌」だったんだけど、あと3、4日で描かなきゃいけないって時に、進行が遅れていて、しかもその間に展覧会でパリに行かなきゃいけなくって。パリでたまたま「ムーランルージュ」というショーを観に行ったんです。ダンサーや手品師、ジャグラーなんかが出てくるんですが、その合間に軟体の女性が出てきて、あのポーズをやってるんですよ! おお! 俺が帰って描くやつじゃないか! って。
ゆうこ へえ!
RJB これはなにかの思し召しなのか、もしくはあまりパリで羽を伸ばすなよ! という戒めなのかって。(笑)
ゆうこ そういう風に常に意識してると関連した情報に出会っちゃうって言いますもんね。
RJB いやぁ......先生でしょ。(上を指さして)
――― 一同(笑)
――― そもそもエロチックな作品を描くようになったきっかけはなんなんでしょうか?
RJB 子どもの時から、こっそり、親に内緒で描いてたんです......。
――― 一同(笑)
ゆうこ なに描いてたの?
RJB エロマンガなんだけど顔を当時のアイドル風にとか、ラムちゃんを裸にしてみたりとか。
――― 一同(笑)
ゆうこ 筋金入りのエロなんだね。
RJB 小学校の時に、親父がね、週刊誌を毎週買ってくんだけど。最後のページがヌードになってて、それをさり気なく借りて、部屋ですごい鉛筆とがらせて模写してたの。
――― (笑) ただ見て楽しむんじゃなく模写してたんですね。
RJB そう考えると描きたかったんだろうね。顔をキョンキョンにしたり、三原じゅん子にしたり。よくコラージュしてた。それからしばらくそのことは忘れてたんです。そして二十歳ぐらいの時に絵のモチーフを探していて、一回なにかで女の人を描いたら、すごい好評で。すると、ある先輩が「エロはええぞ」って言うんだよね。「エロはいいぜ~景気に関係なく無くならないしね~エロを商売にしたら強いよ~」と力説されたんです。そこから少しずつ評価が上がっていき、自分としては、こっそり描いていたものが「え? これって人前に出していいの?」って。かわいい子を描いて、お金ももらえる。モチベーションは高いし、絶対飽きないことだから、じゃあこれで頑張って一番になろうと思ったんです。
――― そんな方とのコラボって会社としては危険じゃないですか。よく踏み切りましたね。
ゆうこ 周りの皆さんにもそう言われました。ただ、手塚プロダクションで商品化や広告の版権の仕事をしている中で、「元気で明るくやさしいアトム」や「強くたくましいレオ」というのは、人気も高くてよくとり上げて頂くし、それはそれで嘘じゃなく本当なんだけど、手塚先生のマンガを読み込んでいったら、清廉潔白なものばかりではないし、悪意や性に焦点を当てたものも多いわけだから、そこをフィーチャーしたって罰は当たらないだろうと思っています。確かにリスキーではあったけれども、ジェリービーンさんや他のアーティストから手塚治虫へのリスペクトを聞いていたから、絶対にこの人たちは悪いようにはしないと思っていました。あえて皆が手を付けないところに斬り込んで行ってもらうのは、やっぱり愛が無いと危険な話であって、彼らの想いを知っていたから、きっと良いものになるという確信もありましたしね。
――― 実際に開催してみて来場者の生の声はいかがですか?
ゆうこ めちゃめちゃ良いですね。例えば、これは意外な声でしたが、私たちは最初手塚を知らない世代へのアプローチを意識して企画していたんだけれども、ふたを開けると、昔からのファンの方の反響がすごかった。それはなぜかというと、やっぱりアーティストの手塚愛が彼らを唸らせたということだと思うんです。
RJB 逆に否定的な意見は無かった?
ゆうこ 開催前にはありました。「黒手塚って簡単に言ってくれるな」とか。でも始まったら「展示がとても良かった」とか「グッズの○○が品薄だから早く行った方が良いよ」なんて意見があったりしました。
RJB 確かに公式に「黒手塚」と言うことには自分も抵抗があった。ただ、ショーの説明とかしているうちに「いわゆる......」みたいな感じで甘えちゃった。オフィシャルにするつもりはなかったんだけどね。でも、もとはと言えば、ゆうこさんが黒手塚って言い出したんだからな!
ゆうこ ひとのせいにするな! いや、最初は私もすごく引っかかってはいたんですよ。白だと思われている作品だって黒じゃないか! とか、ファンの間でも議論されるような話ですから。でも、一般的に伝わりやすいかなって。
RJB 後あのサブタイトルに関しては、タイトルで結構MIIDA先輩なんかとこの方が良い、いやこっちの方が良くないか? なんて言い合っていたときに、寺田氏に相談してみたところ「オレたちの黒いテヅカ」はどーよ! 「それいただきます!」みたいな感じで決まった。
――― 一同(笑)
――― 初日のレセプションパーティは盛況でしたね。
ゆうこ いつもの手塚作品関連のイベントとは少し違ったタイプのお客様が多かったですね。
RJB 少しっていうか、だいぶ違うだろうね。
ゆうこ おかしな人が多かったですね。
RJB あなただって、ザ・おかしなおばちゃんやないか!
ゆうこ (マスクを指さし)あなたに言われたくない!
RJB これはちゃうやん! これは、「おかしいですよ~」ってやってるわけ!
ゆうこ まあ実際、個性的な方が多かったです。(笑)
――― 今回は販売されているグッズも大好評とのことですが。
ゆうこ EROSTIKAというジェリービーンさんの商品を置いている原宿のショップがありまして、オーナーのWild Oxさんに商品を作ってもらって、今回のアーティストの作品グッズと手塚原作オリジナルグッズを販売しています。原作グッズは普段はあまり商品化されないタイトルのものが多くて好評を頂いていますし、図録も読みごたえがあって良いと評判です。
詳しいグッズ情報はコチラ
RJB このトリビュートショー、もし手塚治虫さんが生きていたら......できたのかなぁ。
ゆうこ どうだろう......でも、先生は新しいもの好きだからね。私はなにかやる時に、手塚先生喜ぶかなぁっていつも考えるんだけど。
RJB もちろんそうやろうねえ。
ゆうこ でも今回はきっと、先生が見たら、「ああ、こうなりましたか」って言って喜んでくれたと思います。
RJB 俺の描いたゼフィルスのお尻を見て、「ほうほうほう......いや、私ならもっとこう描きますねえ!!」とか言うんじゃないかな。言ってくれたら嬉しいなぁ。なによりも自分は、自分の手塚愛を人に見てもらえたということが嬉しい。多分他の4人もそうじゃないかなぁ。絵描きとして。なぜかというと手塚治虫は自分の原点である、自分が絵を描き始めた最初の教科書だったからね。それをこういった形でできたのは、もう......親にも見てもらいたいね。(笑)
ゆうこ 印象的だったのは、1枚作品ができあがる度にジェリービーンが「もう描きたくない!」って言うんです。まだあと何枚も描いてもらう予定なのに。だからよっぽど毎回全力投球して精根尽き果ててたんだろうなあって。
RJB こんなチャンスなかなか無いからね。今の自分の100%でやったんだと思うよ。色んな手法使って。
――― 手塚作品の未来についてどう思われますか?
RJB SNSにも書いたんですけど、ホテルの引き出しに聖書入ってるじゃないですか。あれを日本は「火の鳥」にすればいいのではないかと。
――― (笑)
RJB 2回目に泊まったらまた違う巻が読める、みたいな感じで我が国のバイブルにすれば良いと思うんです。日本人の倫理観ですよ。読もうと思った時にすぐ読める環境にして欲しい。学級文庫でも良いですし、図書館でももちろん構わない。キオスクにもあって、ヴィレバンにも必ず全集があるような。なにかのタイミングで読んでみようって思った時にすぐ読めるように、作家として特別にして欲しいですね。
ゆうこ やっぱり読んでもらってナンボなんだけど、どうしても亡くなってから長い時間が経っている。オリジナルはもちろん大事だけれど、今の人にリーチするような動きは継続して行くべきだと思っています。
RJB そうやね。やっぱり今の時代にマッチした見せ方というのがね、会社の仕事ですもんね! (笑)
ゆうこ わかってます!
RJB 今の人たちに見せることができる媒体で作品の良さを伝えてゆくというのが、作品を知っている我々に残された使命なんじゃないですかね。
「アナザーサイドオブテヅカ」
ANOTHER SIDE OF TEZUKA -俺たちの黒いテヅカ-
2019.7/12 [fri] - 31[wed]
11:00 - 20:00 (First & Last Day - 18:00)
at TOKYO CULTUART by BEAMS (Harajuku BEAMS 3F)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-24-7 3F
入場無料
Rockin'Jelly Bean
詳細や最新情報はこちら
https://www.facebook.com/tezuka90rjb/