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ストーリー

手塚治虫のライフワーク『火の鳥』の第12部で、実質的な最終話となった作品です。
西暦663年、白村江(はくすきのえ、現・韓国中世部の川=錦江のこと)の戦いで唐・新羅連合軍に惨敗した倭・百済軍は敗走を重ねていました。
百済王一族の兵士・ハリマは、唐軍に捕らえられ、生きながらに顔の皮をはがれ、狼の皮を被せられてしまいました。
狼の顔を持ったハリマは、不思議な老婆に助けられ、老婆の予言を信じて倭国へと渡りました。
倭というのは7世紀以前の日本の呼び名のことです。その倭国でハリマは、狗族という先住者たちと出会いました。
狗族は、かつては人間から産土神として崇められていましたが、仏教の台頭によって魔物とされ、人里を追われて山奥にひっそりと暮らしていたのです。
その狗族の族長ルベツの信頼を得たハリマは、一族のために力を貸すことを誓いました。
そのハリマは、狼の皮を被せられて以来、悪夢に悩まされていました。
そして次第に、自分以外のもうひとりの自分の存在を確信していきます。ハリマの精神は、21世紀に生きるシャドーのエージェント・板東スグルの精神でもあったのです。
21世紀の日本では、火の鳥を神と崇拝する宗教団体光が地上を支配し、地上から追われたシャドーたちとの抗争がつづいていました。そしてそれは、まるで仏教と産土神たちとの争いのようでもあったのです。

解説

第11部「異形編」から5年後、今度は掲載誌を小説雑誌である「野性時代」に移して再開されたたのが、この「太陽編」です。 7世紀の日本と、21世紀の未来とを対比して描きながら、さらにそこに産土神と仏教の神の戦いを重ねあわせるという、三重構造の物語で、シリーズ最長の長編となっています。 手塚治虫はこの「太陽編」に関して、次のような言葉を残しています。 「信仰というものは人間がつくったものであって、宇宙の原理とか言ったものではなく、時代とともにどんどん新しい文化として取り入れられていき、そこで必ず古い宗教、文化との葛藤が生まれ、それによってまた新しい世界が生まれてくる。その繰り返しなんだということを描きたかったのです」 『火の鳥』は、手塚治虫の死によって、この「太陽編」が漫画での最終話となってしまいましたが、手塚治虫は、最晩年に、マンガとは別に、ミュージカル用の原案として「大地編」というシノプシスを途中まで書き残しています。 この「大地編」は、1938年の日中戦争の勝利に湧く中国の上海を舞台にしたお話で、これがいずれ『火の鳥』の一編として描かれるはずのものだったのではないかとも言われています。 また、そのミュージカル用の「大地編」は一旦破棄し内容を未来に移し、手塚が新たに別の火の鳥を書き起こしました。この作品は手塚が亡くなる前日に公演されました。西暦2000年の大晦日から2001年の始まりにかけての物語です。これが作品としての最終作です。 火の鳥という作品は手塚治虫の死亡時刻を「現代」と設定し、過去、未来、過去、未来と現代(手塚の死亡時刻)に近づく設定で描かれていました。 また、単行本の順番を入れ替えると作品が完結するようにもなっていますので、この「太陽編」を読んだ後も安心せずに、単行本の順番を入れ替えて読んでみて下さい。単行本の順番を入れ替える時は「未来編」が実質的な最終話です。

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  • 火の鳥 1
  • 火の鳥 2
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  • 火の鳥 少女クラブ版

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