突然ですが問題です。
こういった出題される謎を解きながら物語を進めて行くのが今大流行中の謎解きゲーム。
友達同士チームになって制限時間内に謎を解くスリリングな展開に大興奮です。
そして今回、なんと手塚治虫の「火の鳥 太陽編」がこの謎解きゲームとなってオンラインイベントが開催されます!
その名も、
ということで、手塚作品コラボ第3弾として「火の鳥 太陽編」の謎解きゲームを制作した「よだかのレコード」の横森さんにその魅力をとことん聞いてきちゃいました!
さあみんな、こぞって参加しよ~!!!
(※冒頭の謎解きの答えは最後にあります)
実際のゲームプレイについての記事はコチラ
横森創(よこもり そう)
株式会社stamps代表また同社の運営する謎解きイベントレーベル「よだかのレコード」代表プロデューサー。日常生活では味わえない「熱狂」を提供する。「よだかのレコード」での手塚マンガコラボイベントは「ブラック・ジャック」「三つ目がとおる」に続き3度目となる。
―――よろしくお願いします。「ブラック・ジャック」「三つ目がとおる」とコラボイベントを成功させてきたよだかのレコードさんですが、今回「火の鳥 太陽編」を題材に選んだ理由はなんなんでしょうか?
よだかのレコード・横森さん(以下横森):元々「火の鳥」は僕自身が好きな作品で、本当は大きな会場でリアルの「火の鳥」のイベントをやらせて頂きたいというお話をしていたんですが、コロナ禍で延期になってしまったんですね。それからよだかのレコードではオンラインでの謎解きイベントを「テレ公演」という名前で始めて、それを家で遊べる謎解きゲームとしてたくさんの人に遊んでもらえました。その中で初のコラボレーションのテレ公演としてやっぱり手塚作品でやりたい! となったんです。それが実現することになったので、延期になった「火の鳥」をぜひともやりたいなということで実現したという運びですね。その時はまだ「太陽編」とは決まっていませんでした。
―――「火の鳥」は手塚治虫のライフワークとも言える代表作ですが、「太陽編」は「火の鳥」の中では手塚治虫が最後に描いた「火の鳥」シリーズ作品です。一般的に認知度の高い「未来編」や「鳳凰編」ではなく「太陽編」を選んだのが面白かったですね。
横森:「鳳凰編」と迷ったんですよ。「火の鳥」シリーズ自体が謎に包まれた存在を追うストーリーなんですが、「太陽編」は、過去と未来を往復するストーリーだということもあって謎解きゲームのシナリオに落とし込みやすいのでは、と思いましたね。
―――「太陽編」では過去の物語の主人公ハリマも未来の物語の主人公スグルもオオカミの面を付けさせられているという「枷」のような部分がありますね。この部分が謎解きと相性が良かったんでしょうか?
横森:それもすごくありますね。今回の謎解きも海底のラーゲル(収容所)で面を被せられているところから始まります。またバベルの塔なども謎解きには良い設定ですね。今回はとにかく「火の鳥」でやりたい! というのがあって、その中で吟味して太陽編を選びましたが、ファンの方からの声でも「謎解きならやっぱり太陽編だよね!」というものが非常に多かったんです。
―――今までの手塚作品コラボイベントの評判はいかがですか?
横森:すごくいいです! 実はよだかのレコードでは毎年手塚作品とのコラボをやれればと思っているんですが、「ブラック・ジャック」のイベントがよだかのレコードのイベントで一番好きという方が多かったですし、個人的にはその次にやった「三つ目がとおる」は「ブラック・ジャック」を超える謎解きゲームとなった自信があります。手塚コラボは謎解き業界の中でも定着したイベントになったなと自負しています。
―――ずばり今回の見どころは?
横森:謎解きゲームとしては「テレ公演」と銘打ってよだかのレコードではオンラインで3公演今までにやってきましたが、今回の「火の鳥」ではその3公演の良いとこどりで作ったバラエティパックのようになっています。さらに今回は自分自身が台詞をしゃべるという試みがあります。
―――台詞をしゃべる?
横森:3人一組で進行するんですが、それぞれが「記憶の欠片」という台本のようなものを持っているんです。プレーヤー1には1の台詞のみが、プレーヤー2には2の台詞のみが書いてある。このように演劇のような形で自分の手元にしか無い台詞で物語を進めてゆくんです。それぞれが登場人物になりきって進んでゆき、背景も場面に合わせて変わってゆくという新たな試みに挑戦しています。謎解き業界でもあまり無いレアなパターンのイベントになります。
―――今回は使用している楽曲についてもこだわっているとか?
横森:今回はバンドDIR EN GREYのShinyaさんのソロプロジェクト・SERAPHの楽曲を使用させて頂きました。Shinyaさんご自身が謎解き好きで上級者の方でして、個人的にも普段から仲良くして頂いているんです。僕もライブに行くたびに神秘的で感動させられているんですが、そのライブでラストにやる一番盛り上がる最高の曲がありまして、「火の鳥」という最高のマンガには最高の曲を、ということで使用させて頂くことになりました。
―――なんでもShinyaさんご自身も「火の鳥」好きだとか?
横森:初めて読んだ「火の鳥」シリーズが太陽編だそうで、ご相談した時に「太陽編が一番好きなんで嬉しいです」と仰っていました。
―――横森さんもかつては漫画家を目指していたと伺いましたが手塚マンガとの出会いは?
横森:僕は小学校の時には出会って、「火の鳥」はもう5回以上は最初から最後まで読んでいますね。実は「太陽編」を初めて読んだ時は小学生でよく意味が分からなかったんです。今改めて読み直すともちろんわかるんですが、当時は壮大過ぎてどうなってるんだ! と思っていました。歳を重ねるごとにまた新たな面白さが発見できましたね。
―――次にコラボしたい手塚マンガ候補もあるんでしょうか?
横森:やっぱり一番好きなのは小学校で出会ってしまった「火の鳥」と「ブッダ」なんです。なので「ブッダ」もいつか謎解きゲームにしたいと思っています。謎解きとしてどこを切り取るかがまだわかりませんが。
―――「ブッダ」の謎解き!? ......たしかに難しい。四門出遊のところとか? ですかねえ。
横森:悟りを開いて「脱出する必要など......無い」とか(笑)
―――そんな横森さんが謎解きを制作することになったきっかけはなんなんでしょう?
横森:とにかくなにかで成功したい! という時期ってみんなあるじゃないですか? そんな時にマンガを描いたり音楽をやったりという中のひとつが謎解きゲームだった。当時は1番がバンド、2番がマンガ、謎解きは4番か5番ぐらいだったんです(笑)
―――それで成功したんだからすごいですよ。
横森:謎解き業界って、すごく勉強が出来る人が作っているイメージがあるんです。僕は学歴が無い人間だったので最初は自分には謎解きは作れないのかなと思っていたんですが、僕でもできるということがわかってハマっていきましたね。
―――今でこそ大人気の謎解きゲームですが、どのような歴史で人気になっていったんでしょうか?
横森:謎解きゲームとは少し違うんですが、クイズやゲーム「レイトン教授」シリーズのような「脳トレ」と呼ばれるものは4年に1度ブームが来ると言われているんですね。そして2008年にSCRAPさんが始めた「リアル脱出ゲーム」の流行の波がすごく大きくて、そこから「自分で謎解きを作ってみたい」という人が増えたんですね。そこからはどんどん大きくなっていますね。
―――SCRAPさんとはやはりライバル関係なんでしょうか?(笑)
横森:僕はライバルとは思っていなくて、僕自身「リアル脱出ゲーム」を楽しんでいましたし、去年SCRAPさんと一緒に本も出させて頂きました。頼れる先輩だと思っています。
―――物語性の強い独自の謎解きで有名なよだかのレコードさんですが、ストーリー制作のために横森さんが普段心がけていることなどあるんでしょうか?
横森:謎解きゲーム以外のものに率先的に参加しますね。ドラマ制作やYOUTUBE制作、ボードゲームやロッククライミングなど、全然知らない分野のものに参加してみると、僕の常識ではないことがそれぞれの分野での常識だったりする。それを噛み砕いて、謎解きゲームにうまく利用できないかと考えるわけです。
―――なるほど~勉強になります。
横森:僕は10年間バンドもやっていたんですが、当時はすべて独学でした。基本的なことが理解できるまで3年ぐらいかかったんですね。後から思うと詳しい先輩や学校で教わる時間の10倍ぐらいかかった。それ以来わからないことや知りたいことはすぐに誰かに伝えて教えてもらって、それを活かす方が良いと思っています。「火の鳥」イベントでも教えてもらって活かされている部分がたくさんありますよ。
―――イベント業界はコロナ禍で強いられた変化も色々あるかと思いますがいかがでしたか?
横森:準備していたコラボイベントがすべて中止になりました。
―――えー! それは切ない!
横森:そこで僕らは緊急事態宣言が出ることになった翌日に緊急ミーティングを開いて、その2日後にはオンライン公演を発表しました。
―――迅速な対応!
横森:今までと全然違う遊び方をする時間が来たな、と。そこからはこの遊び方を洗練させることに尽力しました。
―――すぐに方向転換してオンラインに舵を切ったわけですね。まさに先見の明ですね。
横森:いやあ、怖くて(笑)
―――今後の謎解きゲーム業界はどうなっていくと思いますか?
横森:遊び方がかなり変わってきていると感じています。10年前は友達と行って、何が起こるかわからない、最後までクリアできるかどうかわからないイベントを楽しんでいましたが、今はある物語を最後まで体験できる、なんだったらクリア後のグッズ購入や記念撮影を楽しみにしているという方が増えている気がしますね。これからは「謎解きゲームを基にした別の遊び」になって行けば良いなと思っています。今回のテレ公演も謎解きゲーム施設に来たいけどコロナで行けない人にも店舗と同じような感覚を味わってもらいたいと思って作り始めた企画を進化させた最終版のようなものです。これはこれで確立して、今後は他にも例えば「何千人が一緒に遊べる」とか、今回のように家にキットが届くということを利用すればTV番組の「格付けチェック」のようなバラエティ体験も自宅で出来るんじゃないかとか。
―――面白そう~! 夢は膨らみますね!
横森:来年がちょうど10周年なので大きなイベントができればと思っています。オンラインかリアルかわかりませんがなにかしらお祭りのようなものができればと思っています。世間の状況を考慮しつつ、コロナ禍ならコロナ禍の今でしかできないことを。
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