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単行本ケン一名探偵より

ロックがいろいろと屈折し、さまざまな人間性のダークサイドを演じることで息の長い役者生命を獲得したのに対し、ケン一少年は手塚漫画における永遠の少年として手塚治虫に愛され続けました。何しろ手塚マンガが本格的に始動したのは手塚治虫がケン一君と出会ったからこそなのですから。『新寶島』を含む初期作品のほとんどに、主人公として登場した彼は、手塚マンガの最初の大スターでした。真っ直ぐな目で世界をみつめ、常に思いやりといたわりの心を忘れない、そんな彼は「少年時代そのもの」とも言えそうな潔癖さと純粋さを体現していました。のちにマンガの世界は「単純な正義感では語れない現実」に目を向け始めます。主人公もアトムのように純粋な正義感を持っているけれど、同時に人間社会のアウトサイダーであり続けなければならない二面性を持つようになりました。手塚治虫自身「無個性なケン一は主人公の座を降りざるを得なかったのです」と語っています。人が大人になると、子供の頃の無垢な正義感に恥ずかしささえ感じるようになるのと同じように、マンガの世界もケン一を忘れて大人になろうとしました。しかし、どんなに成長して大人の顔をしていても、心の中には「少年時代」がずっと生き続けているのと同じようにケン一もまた手塚マンガの中に時折現われ「正義の子」を真っ直ぐに演じ続けるのです。


主な出演作品

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