子役スタートというのは中々大スターにはなれない、というのが芸能界の常識です。愛らしい子供というキャラクターで愛された子役スターは、成長しても同じイメージを観る者に与えなければならない宿命を負ってしまうせいです。それは手塚マンガの中でも同じで愛らしい正義の子を演じていたケン一くんやアトムはつねに同じ役柄に縛られ続けました。けれどロックは違います。彼は単純な正義の子ではありませんでした。彼は子役の時からずっと「正義が勝利すれば明るい未来がやってくる」というイメージを信じていなかったのです。「この世は常に矛盾に満ち、正義が破れ、悪が勝利しても世界は泣かない。春になれば花を咲かせ、夏には明るい太陽が降り注ぐのだ」と、ロックはそんな現実をみつめている少年でした。シャーロック・ホームズから名前をもらっているだけあって、彼はたぶんに知的な少年だったわけです。だから成長しても彼は愛らしさを売り物にしなくても良かったわけです。端整な顔立ちの下に邪悪な悪魔の顔を隠している。そんな悪役像を彼は作り上げて行きます。手塚マンガの魅力はこういう屈折した少年スターをも物語の中に取り込んで、作品に深みと哲学を盛り込んでしまえるところにあります。他に「間久部緑郎」という名前でも活躍しました。
1949年少年探偵ロック・ホーム
1950年漫画大學 (ベッシー)
1950年鳩時計事件
1951年新世界ルルー (漫画家)
1951年来るべき世界 (新聞記者)
1951年サボテン君
1951年新編月世界紳士 (私立探偵壇原英次郎)
1951年化石島 (新聞記者,インディアン)
1952年火山島少年
1952年ロック冒険記
1953年13の秘密
1953年太平洋Xポイント
1953年まぼろしの円盤
1954年地球の悪魔(地球1954)
1954年フォード32年型
1954年鉄腕アトム /ZZZ総統 (ロベール)
1955年大洪水時代 (パイロット)
1956年鉄腕アトム /アルプスの決闘
1957年ピンクの天使
1957年旋風Z (高木ハジメ)
カラーイラスト
1957年地球大戦 (ウラメシアの兵士)
1958年双子の騎士 (タキシードの紳士)
1958年未来をのぞく3人
1958年孔雀貝(原題:みどりの真珠) (日本青年)
1959年ジェットキング (良ちゃん)
1959年鉄腕アトム /イワンのばか
1959年ベニスの商人 (バッサニオ)
1959年刹那 (タクシーの運転手)
1960年鉄腕アトム /ウランちゃん (ロボッティングの観客)
1961年鉄腕アトム /植物人間
1961年ふしぎな少年 (FBI)
1962年死戯山縁起絵巻
1963年鉄腕アトム /白い惑星 (光一)
1965年鉄腕アトム /ひょうたんなまず危機一発 (正義の味方?)
1966年フライングベン
1966年バンパイヤ (間久部緑郎)
1968年鉄腕アトム /火星から帰ってきた男 (お茶の水博士の葬儀参列者)
1968年ブルンガ1世 (ガノモス)
1969年大暴走 (山下護)
1970年がちゃぼい一代記
1970年アラバスター (FBI)
1971年ふしぎなメルモ(ママァちゃん) /「バレリーナの巻」 (審査員)
1972年ダスト8(ダスト18) (阿沙みどりの弟)
1973年ブラック・ジャック /医者はどこだ (不良アクド)
1973年ブラック・ジャック /人間鳥 (人力飛行コンクール観客)
1974年ブラック・ジャック /ナダレ (大江戸博士)
1974年ブラック・ジャック /指
1975年ブラック・ジャック /ブラック・クイーン (クイーンの恋人)
1975年ブラック・ジャック /地下水道 (BB)
1975年原人イシの物語 (トーマス・ウォータマン)
1975年ビス・ビス・ビス星ものがたり
1976年ウオビット (ロックベルト男爵)
1978年ブラック・ジャック /終電車 (このみの夫)
1978年ブラック・ジャック /黒潮号メモ (帆村六久)
1978年ブラック・ジャック /刻印 (間久部)
1979年NEC広告
1979年手塚治虫アメリカ漫画を語る
1979年インセクター (ブラッドアロー石油の会長の息子)
1981年七色いんこ /12人の怒れる男