アドルフに告ぐ

1983-85年

第二次世界大戦を背景にした「アドルフ」という名を持つ3人の男たちの運命が交錯する物語。神戸の空襲の描写には、手塚自身の体験が反映されています。

マンガ「アドルフに告ぐ」より

マンガ「アドルフに告ぐ」より

マンガ「アドルフに告ぐ」より

【解説】

第二次世界大戦前後の時代を背景に、ヨーロッパと日本にまたがって描かれた手塚治虫後期の大作。

1933年、ドイツでアドルフ・ヒトラー率いるナチ党が政権を獲得。

ナチ党は第三帝国(神聖ローマ帝国、ドイツ帝国に次ぐ「第三の国」の意味)を自称してまたたく間に独裁体制を敷いていった。

この物語はそのヒトラーの祖父がユダヤ人だったという極秘文書をめぐって、ヒトラーと同じ名前を持つユダヤ人とドイツ人のふたりのアドルフがたどった波乱の人生を描いている。

 

戦時中の神戸の空襲の描写には手塚が体験した大阪大空襲のイメージが色濃く反映されており、手塚自身が生きた時代の歴史物語にもなっている。

1983年から85年にかけて雑誌『週刊文春』に連載された。