1980年
ぼくは日本人というのは戦闘的な人間じゃないような気がするんですね。戦闘的にさせたのは各時代の政府だったり何かで、日本人というのは、はっきりいうと最低必要量さえあれば、おとなしく生きてる人間じゃないかと思うんです。
それはまあ別としても、日本という島は大陸にも近いし、海流的にも外からどんどん来てまた行くような、ひじょうに環境のいい所にある島ですから、本来からいうと、待ってても物は入ってくるし、それが出て行くこともできますしね。住みやすいんです。四季もあるし、物も豊富だということになると、戦争なんかする必要はないわけです。
それを戦争しなきゃならない、あるいはひじょうに好戦的な民族と見られるようになったきっかけは、文明がたて続けに輸入されたり、あるいは作られた国家意識みたいなものが、無理やりに戦争に追いこんでいったような気がするんですよね。そういうことを考えると、日本人ほど平和を説くには好都合な民族はいないような気がするし、あるいは人間というものをもう一度考え直す一つの実験台として、日本人というのは使いやすいんじゃないかと思う。それだけにまた付和雷同的だしね。