1954年
【解説】
1954年10月号の『冒険王』別冊付録として描かれた読み切り作品。
舞台は近未来の日本。日本が所属するアジア連合軍と欧州連合軍は戦争状態にあった。戦死した兄の後を追って戦闘機パイロットになった一ノ谷良一(いちのやりょういち)。彼はある日空中戦で敵機と相撃ちになり、2機とも無人島に不時着してしまう。絶海の孤島で生き残るためには敵同士のふたりが力を合わせるしかなかった。最初はいがみ合っていたふたりだったが、やがて少しずつ心を通わせ始める。しかしそのころ欧州連合軍は、最終兵器LP爆弾を日本へ投下する作戦を着々と進めていた。
1980年代に流行した架空戦記小説を先取りしたような作品であるが、空襲で地下壕へ避難する場面などに手塚自身の戦争体験が色濃く反映している。