ゼフィルス

1971年

太平洋戦争末期、少年は蝶を追い野山を歩くうち、山奥でひっそりと暮らす姉弟と知り合う。戦争の現実から逃れようと昆虫採集に熱中する少年の姿に手塚自身が重なります。

マンガ「ゼフィルス」より

マンガ「ゼフィルス」より

マンガ「ゼフィルス」より

【解説】

太平洋戦争末期、中学生の「ぼく」は戦争の現実から逃避するように教練をさぼっては昆虫採集に熱中していた。

捕虫網を手に野山を歩くうち「ぼく」は山奥の小屋でひっそりと暮らす姉弟と知り合う。

しかしそのふたりの正体は……。

 

日本人同士でさえ誰も信じられなくなっていた戦時下の状況が、平和で穏やかな昆虫世界との対比の中で少しずつ浮き彫りになってゆく。

昆虫採集に熱中する「ぼく」の姿に手塚治虫自身の姿が重なる、戦時下の田舎を舞台とした短編である。