1975年
【解説】
1975年1月、『紙の砦』第2部として『週刊少年キング』に発表された読み切り作品。やっと戦争が終わったものの、今度は絶望的な食料危機の時代が訪れ、大寒鉄郎の生きるための闘いがまた始まった。
大寒は畑から芋を盗み、進駐軍兵士のために似顔絵を描いては小遣い代わりの菓子をもらう。何とかしてその日を生きなければならない人々にとっては行き倒れの死体さえも目に入らない。随所にギャグを交えて軽妙なタッチで描かれてはいるが、実際にこの時代を生きた人間でなければ描けないリアリティが随所に盛り込まれている。当初手塚はこれを『紙の砦』3部作とする構想だったが、第3部は描かれなかった。