手塚治虫の代表作、『ブッダ』が初めてミュージカルになります!
制作は『火の鳥』『アトム』と手塚作品のミュージカル化に取り組んできたわらび座。スタッフ陣も演出・栗山民也さん、脚本・齋藤雅文さん、作曲・甲斐正人さんと『火の鳥』や『アトム』でもお馴染みの方々です。
そして、主演・ブッダを演じるのは『火の鳥』でも茜丸を熱演したわらび座の戎本みろさん。その他実力派のキャスト陣も出席しての制作発表記者会見の模様をレポートします!!
ミュージカル『ブッダ』は、『火の鳥』『アトム』に続く手塚治虫シリーズの第3弾として制作されます。
今年5月7日から12日の東京・シアター1010での公演を皮切りに、大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!にて5月17日から19日、キャストを一部変更して、6月15日から8月15日まで秋田・わらび劇場での公演を予定しております。
記者会見ではスタッフ・キャストの皆さんからそれぞれコメントがありました。
私が手塚治虫の『ブッダ』を演出するのは、実は2回めになります。前回は、1998年の新国立劇場の開場記念公演で、中劇場を使って『音楽劇 ブッダ』という形でやったのですが、劇場のお披露目の意味もあり、また予算も潤沢にありましたので、あの広い中劇場をめいっぱい使った大スペクタクル劇をさせて頂きました。
今回は東京・大阪、秋田と巡回後、おそらく全国公演も予定されておりますので、そのようなスペクタクルとは打って変わって、アジアの演劇からインスピレーションを得て、例えば能の舞台のような、三間四方がすべてというような、ミニマムな場所で宇宙のすべてを表現する、一枚のカーペットから宇宙を生み出す、というような趣向で、具体的な舞台装置のアイディアを考えています。
演劇は今の時代に響かなければなりません。今はとかく大きな声や身振りが時代を支配をしていると思いますが、この作品から、小さな声、人間のなんでもない、小さな身のこなしこそが本当に大切なんだ、ということが分かり合える作品になったらいいな、と思います。
劇中のブッダの言葉に、この世界に不必要な生命など一つもない、というものがあります。この言葉が、もっともっと、今の世の中に響くような作品になればと思っています。
『火の鳥』に次いで手がける手塚作品となります。この作品は、古代インドを舞台にしているわけですが、描くものやモチーフは当然、現代の日本に通じるものです。
これは手塚先生の作品ではないのですが、前作『おもひでぽろぽろ』が震災直後、福島第一原発が爆発するかもしれない、というような中、秋田で稽古初めをしました。そういうことが私だけではなく、わらび座に関わってくださった方すべてに影響を与えるような中で、作品を作っていきました。
本作は当然その延長として、現在の人々に、どうやって生きてゆくか、力を与えるような作品を描いていきたいと思って取り組んでいます。
原作が大変な長編ですが、そのエッセンスをなるべくコンパクトにまとめ、できるだけ多くのエピソードを盛り込んで行きたいです。
もちろん歌も踊りもたくさん登場すると思いますが、日本語のエンターテイメントとして、美しく楽しいミュージカルになれば良いな、と思っております。もちろん、笑いもたくさん入れて行きたいです。そもそもブッダとか修行者のような、一生懸命な人って、実は突っ込みどころ満載じゃないですか。そういうところも引っ張って行きたいです。
この一週間ほどは秋田で脚本の齋藤さんと一緒に過ごしていましたが、本当に素晴らしい脚本を仕上げて頂きました。本当にありがとうございました。この席をお借りして、まず齋藤さんにお礼を申し上げたいと思います。
今回の音楽の視点ですが、ミュージカルというフィールド、その様式を使いながら、インドの音楽を中に入れてゆく、インドの音楽を日本人が作るという、ミュージカルの土台である西洋と、インドと、日本のミックスからどういうものが出来上がってくるのか、という期待があります。
今回、2つの挑戦をしようと思っています。一つは古代インドの楽器で、ムリダンガムというものがありますが、それを劇団のメンバーが演奏します。
それと、バイオリンの先祖のようなサーランギーという弦楽器がありますが、それもできれば演奏したいと思っています。生の楽器を使ってゆく、というところが今回の重要な興味の一つとなります。あと一つは、シッダールタが少年期を過ごしたネパールの人々に音楽を演奏していただきそれを録音して舞台で使ってゆく、という試みも予定しています。それによって、この舞台にインド的な風が吹いてくるように工夫をこらしたいと思っています。
この作品は、栗山先生、齋藤さん、私の三人による作品としては3本めになりますが、その三本の頂点になるであろうと思っています。たいへんオリジナリティあふれる作品になると思います。
1970年代に西の果て、イギリスから登場し、私達を驚かせたミュージカルの傑作に、『ジーザス・クライスト・スーパースター』という作品がありましたが、今度は東の果ての秋田から、『スーパー・ヒューマニスト・ブッダ』とも言うべき新しいミュージカルが生まれます。ご期待ください。
去年の9月にブッダの役のお話がありまして、その時から、ブッダと共に歩く、長い旅が始まったなあ、という想いでいます。その旅の過程で、私も他の作品にも出演しながら、いろいろなことを考えてきたのですが、ブッダは、特別な人でありながら、実は、特別な人ではなかったのではないか、と今は思っています。
人間の歴史を辿ってみても、また現代においてさえ、ブッダのように今の時代の矛盾や苦悩、人々の痛みを背負って、それを少しでも解決しよう、立ち向かってゆこうとした人は無数にいたのではないかと思っています。手塚治虫先生もまた、そんな人達のお一人だったのではないか、とも思っています。
私は、手塚治虫先生の作品では、『火の鳥』の茜丸を演じたのですが、その際に、手塚先生のエッセイ『ガラスの地球を救え』をずっと柱にして来ました。今回、『ブッダ』に出演するということで、改めて再読をさせて頂きましたが、手塚先生の思いや、現代社会への警告を私達がしっかり引き継いで、舞台に立って、生き抜いて行かなければならないな、と思いました。
ブッダの魂、手塚先生の魂、大きな問題を抱えている現代に立ち向かっている人々と志を一つにして、この壮大な作品に向き合って行きたいと思っております。そして、そんなブッダにいったいどんなツッコミが、齋藤先生から用意されているのかも、楽しみにしています。
役の重みは確かに重責ですが、それを一人で抱え込むのではなく、出演者の皆様、スタッフの皆様とともに明るく乗り切って、未来を届けるような作品にしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。
日本の、日本人による、日本人のための、たくさんのオリジナルの作品を作り出しているわらび座の皆さんとともに舞台に立てることをとても嬉しく思っております。
今まで、私は西洋の作品に出ることが多かったのですが、なぜ今まで、アジアに眼を向けなかったのだろう、と後悔するほど素晴らしい劇団と仕事が出来るのが嬉しいです。なにより秋田はあきたこまちが美味しいだろうな、とか、お酒もさぞかし美味しいだろう、とか、稽古場の隣に温泉がある、と耳にしまして(笑)、そんなことばかりに心が傾いておりますが、演出は栗山先生が手がけられるということですので、これは大成功間違いなし、と思います。楽しんでわらび座の皆さんといっしょに作品を作って行きたいと思います。よろしくお願いいたします。
手塚作品に出させていただくと伺った時に、宝塚歌劇団出身の私はとてもご縁を感じました。宝塚大劇場の眼と鼻の先に、手塚治虫記念館が立っているんですよね。いつもファンの方であふれているので、14年もいながら、実は今まで一度も足を運んだことは無いのですが……。また、聞くところによると、手塚治虫先生の初恋の人が、宝塚歌劇の方だった、というお話もあるそうで、今回、私がこの作品に出させていただくことに本当にご縁を感じています。
女盗賊、ということで、かなり暴れまわるような役と聞いております。甲斐先生の歌もかなり難しいということですので、頑張りたいと思います。
今井さんと同じで、私も今は温泉に興味津々で、また、皆さん合宿のようにお稽古をするということでそちらのほうが楽しみで、心が傾いておりますけれども、初めてのキャストの皆さん、スタッフの皆さんも多いので、たくさんコミュニケーションを取りながら、素晴らしい舞台を作っていけたらいいな、と思っています。
僕は、手塚治虫さん原作の作品は『火の鳥』『アトム』と続いて、この『ブッダ』が3作目となります。毎回、とても素敵な作品に出演させていただいて、幸せな気持ちなのですが、今回の『ブッダ』も、手塚治虫さんが伝えたかった意志や言葉を、齋藤さんの脚本、甲斐さんの音楽、そして栗山さんの演出に乗せて、今現代に生きている僕達が全身全霊を掛けて伝えていく番だ、と思って稽古に臨みたいと思っています。初共演の方が多くいらっしゃいますので、稽古場が楽しみです。
こちらの稽古場は寒い冬ですが、ストーブで温めて、美味しいお米とお酒、それに温泉で歓迎する準備は万端に整っていますので、ぜひ楽しみにしていただいて(笑)、極寒の秋田の稽古場ですが、灼熱のインドのようなアツい稽古をして、そしてアツい初日を迎えたいと思っています!
こういう素晴らしい作品に出させていただき、本当に光栄に思っております。私事ですが、3年ほど前、新宿で怪しい占い師に占ってもらった際に、「あなたの前世はブッダの時代に生きていたネズミだ」と言われたことがありまして(笑)、僕は勝手にブッダに親近感を抱いています。
原作マンガをすべて読ませていただいて、本当に素晴らしい作品で、一日で読み通してしまいました。原作にプラス・アルファして、舞台がもっと素晴らしい作品になるように、微力ながら力を尽くしたいと思っております。
わらび座の拠点は東北の秋田です。雪深いところですが、熱帯のインドの物語が、その雪深い秋田の冬で始まる、というのは、なんだか興味深い作品になると思います。
この作品は私どもにご縁があり、手塚治虫先生の作品としては『火の鳥』『アトム』につづく3作品目となります。この作品を実現するにあたり、手塚プロダクションには並ならぬご協力をいただきました。
また、『火の鳥』の時から東宝芸能にはキャストの面でご協力をいただいております。
そして、スタッフの栗山先生、齋藤先生、甲斐先生はこれまでも手塚作品に関わっていただいた方々です。最後の仕上げ、というわけではありませんが、この3作めを協業できるということは、とても心強く思っております。先日、台本の8校目が出来上がった、ということですが、それこそ劇中のミゲーラやタッタのようなうちの制作スタッフに拉致されて(笑)、東北の山奥で監禁状態で5日間、最後の詰めをやられて絞り出して頂いた作品ということですから、観客の皆様にも期待していただいて良いものになっていると思います。
2年前にああいう震災があった東北の地から発信される作品となります。我々も強い思いを持っております。ぜひ良い作品につくりあげていきたいと思っております。
また、とりわけ若い方々に作品を見ていただきたいという思いがありますので、この作品も学校公演などを予定しています。ご支援をよろしくお願いいたします。
わらび座とは、手塚治虫が生前、とても親しくしておりまして、わらび座の機関紙か何かの企画で、主宰の原太郎氏と対談をさせていただいたことがありました。その時に、ぜひ最初に演って貰いたいのは『火の鳥』だ、という話がでていました。それが実現した『火の鳥』も素晴らしい公演でしたし、その次の『アトム』は、海外での公演も行われました。そして次は『ブッダ』が、素晴らしいスタッフ・キャストを迎えて制作されることになります。手塚治虫がここに生きていたら、本当に大喜びしたんじゃないかな、と思います。
皆さん、手塚治虫のことはよくご存知だと思いますが、彼のほとんどの作品は、命の尊さと、平和の大切さを訴えています。手塚治虫は1928年生まれですから、17歳で終戦を迎えたわけです。戦争中、手塚は本当に被災を受けた現場にいたわけです。ばたばたと人が亡くなっていたり、町や草木が焼き払われ、牛や馬も死んでいるようなところを目の当たりにしたわけです。
ですから、終戦を迎えた時に、手塚治虫は医者の道を諦めて、大好きなマンガで子どもたちに、命の大切さや戦争の悲惨さを訴えようと、必死になってマンガを描き続けました。
『ブッダ』の依頼を受けた時には、編集者から『火の鳥』のような話を描いてほしい、と言われ、思いついたそうです。
実在の人物・ブッダに取材した作品ですが、実は大半がフィクションなんです。登場人物も大半が架空の人物です。しかし、手塚ならではのブッダを描き、それを通じて命の大切さを訴えました。
人々のこころが荒んでいる現代だからこそ、わらび座の素晴らしい舞台でこのメッセージを訴えていただきたいと思います。
ミュージカル『ブッダ』の東京・大阪公演は5月! 2月9日からチケットが発売となります!