1994年4月25日にオープンした宝塚市立手塚治虫記念館がいよいよ今月、開館から20周年を迎えます!
虫ん坊では、20周年をお祝いするいろいろなイベントを予定している宝塚市立手塚治虫記念館のこれまでのあゆみを振り返ります!
初代館長からのコメントもありますよ!!
20年間に記念館では、60回の企画展を開催して来ました。手塚治虫作品にフォーカスをあてたスタンダードなものから、「エヴァンゲリオン展」のような予想外のテーマまで、さまざまな種類の企画展がありました。
虫ん坊では、全60回の展示の中から、独断と偏見で選んだ企画展・8つを当時の写真とともにご紹介します。
1994年〜1998年
■ まずは記念すべき第1回 手塚治虫と雑誌連載展(1994年開催)
■ 不思議体験に「参加」が出来る企画展 第23回 手塚治虫の奇妙でふしぎな妖怪ワールド(2001年開催)
虫ん坊・2001年8月号でも紹介しました。
http://www.tezukaosamu.net/jp/dir/mushi/200108/event_t.html
虫ん坊2007年1月号でも紹介しました。
http://tezukaosamu.net/jp/dir/mushi/200701/topix01.html
2009年〜2014年3月25日
現在は宝塚市副市長を務めていらっしゃる、記念館初代館長、山下稔さんにインタビューしました!
——記念館20周年に寄せて、お祝いの言葉をお願いいたします。
山下副市長(以下、山下):
あっという間の20年でした。今も多くの人に愛され、海外からのお客様も迎える記念館となりました。手塚治虫は宝塚の誇りです。多くのファンとともに手塚治虫の偉業を称えていきたいですね。
——手塚治虫記念館についての思い出のエピソード、または印象深い出来事などがあれば、教えてください。
山下:
開館1年を待たず、入館者50万人を迎えようとセレモニーの準備を始めた1995年1月17日、阪神淡路大震災が発生した時のことですね。
すぐに、自宅から記念館に駆けつけました。周囲の建物の多くは倒壊し、目の前の阪急電車も脱線して傾いていました。建物の被害は軽微ではありましたが、館内は展示物の大半が転倒し、貴重な作品資料の損壊が心配でした。
まずは閉館とし、復旧作業を開始しました。その間、全国のファンからお問い合わせと励ましの言葉を多くいただきました。
同年の3月1日には、被災された人への励ましと、ひと時の安らぎになればとの思いで、無料開放で再開館しました。
昔懐かしいアトムの紙お面をつくり、裏にはその時のメッセージ「負けるな阪神大震災 10万馬力でがんばろう」と、アトムのテーマソングを印刷し、来館者にプレゼントしました。
多くの人が喜んでくださり、その後まもなく50万人目をお迎えできました。
——記念館の誘致に実際にかかわられてから館長に就任されるまでで、ご苦労されたエピソードなどはありますか?
山下:
当時はおそらく、自治体が個人の漫画家の記念館を開設するのは日本では初めてだったのではないでしょうか。まだまだ漫画やアニメーションといったサブカルチャーやマイナーなテーマに行政がかかわることに理解賛同を得ていくのはとても大変でした。「手塚治虫は漫画家を超えた昭和の思想家であり、その原点は、多感な少年時代を20年過ごされた宝塚の自然と文化がある中で少年の非凡な才能が育まれた」との思いを、説明を重ねて理解を広げていきました。
——設立からかかわられたお立場として、「これは絶対入れてほしい!」と力を入れた設備は? また今の記念館は、思い描いた姿から見てどれぐらい「実現」していますか?
山下:
従来の個人記念館のように遺品や作品の資料展示にとどまらないような記念館にしたい、というビジョンがありました。また、見るだけでなく触れることができる、そして体験できる記念館を思い描いて構想を固めていきました。
概ね当初の思想は実現できたと思っています。
——記念館で一番気に入っているところはどこですか? お勧めのコーナー、設備を教えてください。
山下:
エントランスフロアですね。床は治虫氏の似顔絵をタイルで仕上げ、天井は手塚キャラクターでお迎えするステンドグラスがあしらわれています。正面は『火の鳥』の作品中に現れるデザインを使った展示ケースで、その中には、ペンネームとなったオサムシを紹介。入館した途端、手塚治虫の世界へ誘う期待とワクワク感が高まるコーナーですよ!
——壁画なども含め、隅々まで手塚キャラクター満載の記念館ですが、実は穴場で目立たないけれど個人的には気に入っている、と思われているコーナーや場所はありますか?
山下:
少し離れて記念館を見ると正面屋上部に丸いドームが乗っていますね。2階企画展ゾーンの自然採光部でもあるのですが、地球を表現したオブジェになっているんです。「ガラスの地球を救え」のメッセージを表現しており、氏の生涯の作品思想の原点だと思っていいます。来場される際には、改めて遠景から見て、また館内2階から見上げてほしいですね。
あと、蛇足ですが、洗面所の壁面タイルにも隠れたキャラクターがありますよ!
——一番好きな手塚作品は? 印象深いシーンも合わせて教えてください。
山下:
個人的には、「ブラック・ジャック」や「ブッダ」が面白いし、心に響く作品として印象深いですね。併せて、宝塚も舞台になった作品は今も懐かしく思います。「アドルフに告ぐ」や、マイナーですが「紙の砦」「どついたれ」などがそうです。皆さん、未読であれば一度読んでみてください。
——今後の手塚治虫記念館に、どのようなことを期待していますか?
山下:
ご紹介したい魅力と素材は、まだまだいっぱいあります。マニアックにならなくても、気軽に楽しめる「手塚治虫の世界」を体感していただくよう工夫し取り組んでいきたいと思っています!
山下副市長、ありがとうございました!
20周年を記念した、いろいろなイベントも予定されています! ここに掲載した以外にも、まだまだ進行中の企画もあるとか!? 情報はニュースコーナーで随時アップしていきますので、ご期待ください!
■当日来館してお祝いに参加しよう! 「ありがとう20周年」セレモニー
宝塚市観光大使サファイア、アトムも登場する20周年セレモニーが開催予定! みんなで一緒にお祝いしましょう!
■「ありがとう20周年」入館無料デー!
4月25日(金)当日のすべての入館者を対象に、入館料が無料に!
■足元サインが新たに設置!
記念館までの道のりの途中にキャラクターのプレートが登場! 3月28日に設置されました。
タイルはいくつかあるので、ぜひ探してみてください。
■手塚治虫記念館開館20周年記念トークショー 冨田勲の音楽宇宙〜ジャングル大帝から初音ミクまで〜
ジャングル大帝をはじめ、数多くの手塚アニメで音楽を担当した冨田勲氏を招き、手塚作品との出会いや思い出、シンセサイザーによる作曲をはじめたエピソード、ボーカロイド「初音ミク」とのコラボレーションなど、進化し広がり続ける冨田氏の音楽の世界について伺います。また、1975年、ムソルグスキーの「展覧会の絵」をもとに当時最新のシンセサイザーで制作したアルバムが、2014年3月に再発されたことを記念し、冨田氏が音楽を手掛けた手塚治虫の実験アニメ「展覧会の絵」(1966年)を上映します。
日時:2014年5月31日(土) 14時開演
会場:宝塚市立宝塚文化創造館 宝塚市武庫川町6番12号(手塚治虫記念館から徒歩2分)
申し込み:4月1日から、電話またはファクスで手塚治虫記念館
(TEL0797−81−2970 FAX0797−81−3660)へ。
定員:150名
■周辺施設も合わせて訪れましょう! 〈宝塚花のみち〉3館回遊キャンペーン!
2014年は宝塚市制施行60周年、宝塚歌劇100周年にもあたり、なんとトリプル周年となります。また、公益財団 宝塚市文化財団設立20周年ということで、「花のみち」周辺の3つの施設の入館料が半額になるキャンペーンを実施します。
対象施設:宝塚歌劇の殿堂(4月4日オープン) / すみれミュージアム / 宝塚市立手塚治虫記念館
利用方法:3館のうち2館目以降に入館する際、1館目の入館半券(またはそれに代わるもの)を提示すると、ご本人1名・1回限り、入館料が正規料金の半額となります。
実施期間:2014年4月7日(月)〜2015年3月31日(火)