1969年
【解説】
猫神を信仰する村の娘と結婚した男。ふたりが東京で生活を始めて間もなく、猫のような性質を持ったその妻がいきなり東京を離れたいと騒ぎ出した。
この作品が発表された1969年は核問題に関する話題が多い年だった。4月には1954年の水爆実験で死の灰を浴びた第五福竜丸の保存運動が起こっている。また6月には日本初の原子力船むつが進水。しかし進水直後からトラブルが続きこちらも反対運動が激しくなってゆく。こうした出来事が続いたからか、手塚の作品にはこの後しばらく核戦争の恐怖を描いた短編が続くことになる。