1945年
終戦からわずか数日後に描かれ始めた『恐怖菌』は、手塚が医学部入学直後に描いた未完作品。終戦後の活気あふれる学生たちの姿も描かれています。
マンガ「恐怖菌」より
1944年8月、手塚は当時入所していた修練所で、腕に感染した水虫が悪化してあやうく命を落しかけた。
それをきっかけに医者の道を志した手塚は、1945年7月1日、軍医を養成するために創設された大阪大学医学専門部に入学する。
このマンガはその翌月、戦争が終わった直後の8月21日から描き始められた作品だったが、プロローグのみで中断しそのまま未完となった。
ある日、底抜大学の大学病院に奇妙な患者が運び込まれる。
患者は手足が肥大化し、逆に頭部が縮んで最後は死にいたるという奇病であった。
翼教授はこの病気を“恐怖病”と名付けて原因究明を始めるが……。
マンガには阪大の学生をモデルにしたと思われるバンカラな学生たちが登場。
学生たちが寮歌を朗々と歌いながら校内を闊歩するシーンは戦争が終わった喜びをそのまま描いているようである。
「昆虫研究をしたかったのに医者になった」
収録日:1973/10/9
収録場所:大阪府立北野高等学校(北野高校創立100周年記念での講演)