ゴッドファーザーの息子

1973年


マンガ「ゴッドファーザーの息子」より


マンガ「ゴッドファーザーの息子」より

マンガ「ゴッドファーザーの息子」より

【解説】
 1973年に雑誌『別冊少年ジャンプ』に発表された読み切り作品。物語の舞台は太平洋戦争の開戦も近い関西のとある旧制中学校。マンガを描くのが大好きな少年・手塚は、ある日応援団長で学校のボスである明石と知り合う。いつもの硬派な明石ならマンガを描くような軟弱者には鉄拳制裁を加えるのが常なのだが、手塚のマンガを気に入った明石は、むしろ彼のマンガ製作を全力で応援するようになる。作中には手塚治虫が中学時代に描いた『ロストワールド<私家版>』などの絵の一部がそのまま登場する。
 雑誌掲載時は「漫画家自伝シリーズ」という連作企画のひとつとして描かれた作品だったが、手塚治虫が自分自身の戦争時代の体験を元にマンガを描いたのはこれが初めてであり、この作品が『紙の砦』や『モンモン山が泣いてるよ』など、後の半自伝的作品群につながるひとつのきっかけとなったことは確かだろう。