軍事教官の日本刀

1945年頃

マンガ「ゴッドファーザーの息子」原画より

マンガ「ゴッドファーザーの息子」原画より

 戦争末期の医者志望者というのは大半がそうだったと思います(編集部注:心ならずも医者になった人間が多かったということ)。軍医が相当数養成されなければならない時代でしたから。戦争がなければ初めからマンガに進んでいたはずです。何しろ、マンガなど描いていれば日本刀で斬られるような時代ですからね。ほんとうですよ。私が教師の似顔絵を描いていましたら、軍事教官に職員室に連れて行かれまして、ギラリと抜くんです。鼻先に突きつけて「斬るぞ」というんですよ。その教官の刀は竹光だと聞いていたので安心していましたら、あとで本物だとわかった(笑)。

講談社版手塚治虫漫画全集『手塚治虫対談集 1』「磯村尚徳──鉄腕オサムの家庭教育」より
(初出:1977年『おかあさんの勉強室』所載)