2017年の夏に初めて開催された『ブラック・ジャック』初の謎解きゲーム、『脱走者緊急手術~Emergency Operation on Escape~』。再演も果たした人気イベントの新作が早くも登場!!
今度は『三つ目がとおる』を題材とし、写楽クン、和登サンと協力しながら、島で行われている儀式の謎に挑みます! 前回同様、謎解きバラエティレーベル「よだかのレコード」が制作を手掛け、ナレーションは神聖かまってちゃん / バンドじゃないもん!で活躍されているみさこさんが担当しています。
虫ん坊では、早速、みさこさんにインタビューを行い、今回の経緯と感想、謎解きの極意、また、手塚マンガについてなどいろいろ語っていただきました! 更に、謎解き本編のテストプレイの模様も一部ご紹介します!
プロフィール
バンド「神聖かまってちゃん」のメンバーとしても活動する中、2011年に自身を中心に「バンドじゃないもん!」を結成。現在は6人組アイドルグループとして活動中。
担当楽器はドラム。バンもん!ではリーダーを務め、担当カラーはピンクなドラ娘♡
千葉県出身、ほっぺのほくろがチャームポイントのバンもん!リーダー! 2グループを兼任し精力的に活動中。
―――まずは、三つ目がとおる×ドラマチック謎解きゲームのナレーションを担当することになったきっかけを教えてください!
みさこさん(以下、みさこ)
以前からよだかのレコードさんの謎解きゲームにはプライベートでよく参加していて、「ナレーションをやってみませんか」というお声掛けはずっといただいていたんです。ただ、スケジュールがなかなか合わなくて。今回のタイミングでついにお受けすることができました。
あとは、私が『三つ目がとおる』が好きだという話をしていたのもあったんだと思います。好きな作品のナレーションをさせていただけるならと気合を入れてやらせていただきました。
―――そうだったんですね。みさこさんはナレーションをするのは初めてでしたか?
みさこ
はい、初めてでした。いままでに、バンドじゃないもん!で主題歌を担当させていただいたアニメーションのキャラクターに声を当てたことはありました。メンバー全員モブ的な役で。その時はラフのアニメーション絵がついていて、動きもなんとなく把握ができるなかで声を当てたのですが、今回録らせていただく環境は、まだ絵もなにもない状態なので、どれぐらいのテンポ感でセリフを言えばいいのかわからなくて。
脚本を読ませていただきながら、「ここにかけて、テンションをあげてほしい」とか、「もっと棒読みな感じにしてほしい」などスタッフさんに指導をしていただきながら録りました。
―――すごく緊張感があるナレーションだったので、映像が用意されていて、画面をみながら録っているのかなと思っていました。
みさこ
あとから完成版をみて、「すごく合ってる!」と思って、感動しました(笑)。逆に素材がない状態だったからこそ、シーンやキャラクターを想像力で補いながら、心を込められた部分もありましたね。
―――謎解きゲームは以前からお好きだったんですか?
みさこ
もともと、興味があったのですが、なかなか行く機会がなかったんです。そこへ、本当に偶然よだかのレコードの中の人を学生時代の友人がやっているのが分かって、誘ってもらって妹と参加したのが最初でした。確か、よだかのレコードさんが作ったオリジナルストーリーのものだったと思います。
―――はじめて参加されてどうでしたか。
みさこ
物語の中に入り込んで、謎を解く感じがすごく楽しかったです。ただ、最初はうまくいかないじゃないですか。どれだけスピーディに謎を解いていけるか、知識も経験も備わっていなかったので全然解けなくて、気付いたら終わっていました(笑)。次は絶対クリアしたいなって思いながら、何回もお邪魔させてもらいつつ、他のイベントにもいろいろ参加するようになりました。
よだかのレコードさんの謎解きが面白いと思うのは、ノーマルクリアとハードクリアが用意されていたりなど、きちんと、難易度によって、達成感が得られるところや、作品に登場するモチーフの使い方がすごく上手なところです。
―――それは前回の『ブラック・ジャック』の謎解きゲーム、「脱走者緊急手術」のときに体感しました。医者という設定がうまく謎に組み込まれていて、すべてのキーワードが全部ゲームクリアの鍵を握っているように思えました。
みさこ
わかります。今回のタイトルにある「儀式残りし」という言い回しにもなにかあるんじゃないかって勘ぐりたくなりますよね (笑)。
『三つ目がとおる』の要素をどう絡ませてくるのか。どういう謎がでてくるのかは私もまだ知らないので、いまから楽しみです!
―――過去の経験から、みさこさんなりのクリアのコツなどありましたら是非教えていただきたいです。
みさこ
ガンガンヒントをもらうことですね。初回でクリアを目指していくのだとしたら、そうでもしないと難しいと思うので。あとは、チーム制だった場合は役割分担も重要です。役割をバッと決めて、ひとりで解けないときは遠慮せずみんなで一緒に解く!
―――ちなみにチーム制のときはいつもどんな役まわりをされているんですか。
みさこ
実際にキャラクターのいる場所にいって謎を解いたりヒントをもらわなきゃいけない場合に、「私が行ってきます」って言って、積極的に外へ絡みに行く役割が多いです。ゲーム中は、行動派なタイプが得意かも知れません。
あとは、どれだけ頭を柔らかくして考えられるかが大切です! 特によだかのレコードさんの謎解きは難易度が高いと言われているので。
―――『三つ目がとおる』がお好きということですが、いつごろ出会ったのでしょうか。
みさこ
『三つ目がとおる』はアニメーションから入ったんですけど、幼少期に観たときの記憶がトラウマのような形でずっと残っていたんですよね。
普段は安心感しかない泣き虫の写楽クンなのに、バンソウコウがとれるとガラリと変わって、言い方はあれですが非道なキャラになるじゃないですか! 本当だったら悪役じゃないかってぐらいの変わりようが怖かったんですよね。だから、子供心にバンソウコウが取れてほしくなくて、「写楽クン変わってほしくない! 怖い写楽クンにならないで!」って思いながら毎回観ていました(笑)。
―――子供の頃は怖いイメージが強かったんですね。
みさこ
そうですね。でも、ただ怖いだけの作品だったら、絶対ハマらないんですよ、子供って。
大人になってからあらためて原作やアニメを振り返ってみたら、絵柄もだいぶポップで、写楽クンもショタ的な愛らしさがあって、和登サンもきれいだし頼りになるし、写楽くんの暴走を「はやく止めてあげてー!」って思っちゃう(笑)。そういう、子供心に怖いなって思う部分とキャッチーな要素が絶妙に合わさっているのが魅力的だから怖くても見続けられたんだと思います。
―――私も大人になってから、三つ目バージョンの写楽クンのほうが好きになりました。
みさこ
ちょっとサイコパスなところすらも、格好良く思えてしまうという(笑)。
普段は逆なのに、和登サンと写楽クンの精神的な立場が変わるじゃないですか。その関係性にも萌えますね。
―――『三つ目がとおる』で好きなエピソードはありますか。
みさこ
好きなのはポキ族のポゴが登場した回。基本的にダークな世界観だからこそ不意打ちでポゴのようなかわいいヒロインが登場するとキュンとしちゃいます。和登サンはほとんど登場しない回なんだけど、逆に存在が際立って愛しい気持ちになるし、恋するポゴがかわいいって思える。
今回の謎解きのPVにも登場していたイースター島のエピソードもすごく印象に残っていて。それまでイースター島についてまったく知らなかったけど、謎が気になって、ネットで調べたりしました。
―――古代遺跡など、ミステリーっぽいものが昔から好きだったのでしょうか。
みさこ
世界の不思議、好きなんですよね。テレビで「世界ふしぎ発見」がやっていたら何とは言わず必ず観ていました。
ミステリーじゃないかもしれないけど、オススメされて面白かったのが江戸川乱歩さんの『人間椅子』。結局、最後まで謎が解けず、いろんな可能性を残してどれが正解なのか分からないまま終わるんですよ。謎解きイベントは明確な答えがあるから面白いけど、「結局どうなったんだろう」ってみんなで話したくなるような作品も好きですね。
―――他に手塚治虫作品をオススメするとしたらどれを選びますか?
みさこ
『ユニコ』も子供の頃に影響を受けた作品なので、是非オールカラー版で読んで欲しいです。世界観的にはファンタジーなんだけど、実際描かれているのは人間の本質的なことだから、すごくリアルで考えさせられる。とてもサンリオさんが発行していた雑誌「リリカ」に載っていたとは思えません(笑)。大人になってから気付いた風刺的なところとか、子供の頃とはまた違った良さを味わえて、2度楽しめるのが本当にすごい。
あとは、私、『メトロポリス』も好きで。1巻で完結だけど、『鉄腕アトム』で描きたかった要素も描いていたりするので。
―――『メトロポリス』は意外ですね! いつごろ読まれたんですか。
みさこ
アニメ版も原作も持っているんですけど、原作は大学生のときに軽音楽部の部室に置いてあって。それが最初だったと思います。
手塚作品好きの友達もいて、そのときに再度いろいろ読み返しました。『アドルフに告ぐ』もその友達の家で読んだのが最初です。
文学部だったんですけど、大学にオタクが多かったんですよ。毎年、卒論で「新世紀エヴァンゲリオン」について書いて卒業していく人がひとりはいるっていうくらい(笑)。
―――楽しそうですね(笑)。『メトロポリス』のどういったところが面白いと感じましたか?
みさこ
単純にすごく切なくなって涙が出そうになるんです。アニメ版より原作の方が淡々していて風刺的な要素が強いですよね。“ロボットとの共存”というメッセージ性もあって、最後もミッチイがいなくなって、結局共存は無理だったというところで終わる。取り残された人間が悲しくて切ないというか……。でも感情に訴えかけてくるお話の作りはしていなくて、起きたことだけをマンガで見せるから読み手の想像の余地が広い。そこにグッときたのかも。
―――みさこさんは昔からマンガがお好きだったんですか?
みさこ
そうですね。家に、ひどい量の本があります。実家の私の部屋がもう倉庫になってる……。「死ぬ前に整理しなきゃな」って(笑)。元文学部なのに、当時も活字よりマンガのほうをたくさん読んでいたと思います。
―――相当読み込んでいそうですね。どういったジャンルのマンガがお好きだったりします?
みさこ
結構ジャンル問わずで、大人向けの恋愛ものとかも読むし、ホラー系も読むし、普通に「このマンガがすごい!」にチャートインするようなものも読みます。トラウマが残るような作品を、気になって読んでみたりとか。
手塚作品以外だと、『宮本から君へ』(新井秀樹著)や『四丁目の夕日』(山野一著)のような作品も好きで。
なんでしょうね……。トラウマを感じながら生きていきたいのかな。
―――(笑)。
みさこ
自分の表現にも活きていると思うんですけど、忘れられない記憶の中でも、“恐怖”ってずっと心に強く刻まれるじゃないですか。“恐怖”を与えられる人って、尊敬するんですよね。
面白いことがなにもなくてただ怖いだけだったらつまらないし、そこはバランスだと思うんですけど。
親がよく観ていた『笑ゥせぇるすまん』(藤子不二雄A著)も怖かった記憶が残っている作品で、大人になってから観たら、「あれ、めっちゃおもしろい!」って思えて。なんでかって言うとたぶん、考えつくされた“恐怖”だからでしょうね。ほかのところにも抜かりがないし、どうやって怖くするか、きちんと計算して研究もされている。
昔からずっと、面白い作品の中で出てくるトラウマレベルに怖いものとか、悲しい表現が好きだったんだと思います。
―――バンド「神聖かまってちゃん」とアイドルグループ「バンドじゃないもん!」というまったくベクトルが違うジャンルで活動されていますが、大変じゃないですか?
みさこ
忙しいといえば忙しいけど、そこまで大変とは思っていなくて。掛け持ちでバンドをやっているような感覚なんです。どちらも同じくらいエネルギーは使っているけど、例えば、カレーを作るとして、かまってちゃんだったら、私はそのカレーにいちばん合うお肉を用意する立ち位置で、バンドじゃないもん!だったら、私がコックさんサイドになってどんなカレーを作るか考える立ち位置という違いはありますね。バンドじゃないもん!はプロデューサーを持たないアイドルでもあるので。
―――両方の活動を通して、得られているものってありますか。
みさこ
私個人としては、かまってちゃんだけ活動していたときよりもすごくバランスが取れている気がします。ひとつの世界だけのルールで生きていると、どうしてもどれが正しいのか選ぶ判断力が落ちて、自分の意見が分からなくなるというか。もうひとつ世界が広がって、まったく違うルールがある方が逆に自分を持つことができているんだと思います。
あたりまえだけど、人生を謳歌したいので、いろんなものに触れて興味あることを増やせたらなと思うし、どれがなにに繋がるか分からないですからね。
高校の友達が声を掛けてくれたことがきっかけで謎解きに興味をもって、今回のナレーションのお仕事に繋がったわけですから!
―――ナレーションも新しい挑戦だったわけですが、今後またトライしてみたいことなどがあれば教えてください。
みさこ
たくさんあるんですけど、特にやりたいのがキャラクターソングの歌詞を書くことですね。
もともとキャラクターソングがすごく好きで。作品を読み込んだ上で、そのキャラクターの人生背景とか作中のキーワードを盛り込みつつ、キャラクターに言って欲しい言葉や歌ってくださる方が歌いやすい言い回しも考えたりして、もう、ありとあらゆることを配慮した歌詞を書きたい(笑)!
バンドじゃないもん!は二次元的にキャラクターが立っている子ばかりで、バンドじゃないもん!というひとつのストーリーを踏まえて意識して歌詞を書くことが多かったし、その経験も活かせるし特化できる自信もあります。
“みさこ”という名前のイメージが邪魔だったら、作詞用の名前を作ってもいいくらいやりたいんですよ(笑)。
―――改名してでもやりたいという(笑)。並々ならぬ情熱を感じました。
みさこ
これから出会う新しい作品もそうですけど、古い作品でも突然実写化なりアニメ化したりするから、そういう機会に是非携わってみたいですね。
―――ツアー直前のお忙しいスケジュールのなか、ありがとうございました!
さて、いったいどんな謎が待ち構えているのか――
虫ん坊スタッフが無謀にもテストプレイに潜入!
制作を手掛けた「よだかのレコード」代表、横森創さんのお話を交えながらその一部をご紹介します。
まだ、テストプレイの段階でネタバレに繋がる内容はご紹介できないのが大変心苦しいのですが、今回も想像の斜め上を行く展開やギミックが盛りだくさん。ゲームのなかに『三つ目がとおる』の奇想天外な世界観があますところなく散りばめられています。あと、三つ目の写楽がイケメン。ここ重要です。
Attention
☞目的は、乗っていた船が難破してたどり着いた島の儀式の謎を解き、写楽クン&和登サンと共に無事脱出すること。
☞制限時間は60分(ルール説明を含めると120分程度)
☞1公演最大30人/1チーム最大5人、パーテーションで区切った個室でのプレイとなる
※レポートで掲載している写真は、本公演前に行われたテストプレイ時のものとなり、実際の公演とは異なる場合があります
前回の『ブラック・ジャック』とのコラボのときは“手術をする謎解きゲーム”というテーマで作ったんですけど、『三つ目がとおる』の場合は、三つ目の新しい長編物語を1本読み終わったようなゲームになるようにしたいと思い、三つ目らしい設定を意識して制作しました。
もともと、原住民が住んでいる謎の島を舞台にしようという構想はあって、最初は原住民の女の子と一緒に行動して謎を解決していくストーリーになる予定だったんです。その場合、謎解きとしては面白いものが出来るかも知れないけど、『三つ目がとおる』である必要はないなって気付いて。本編を読み返すと三つ目の写楽がほとんどの事件を解明してくれるんですよね。なので、途中から、写楽のように自分たちが解明していく内容に変更して再構築しました。
最終的に、全体の構想が出来上がるまで2ヶ月ほど掛かりましたが、やはり、『三つ目がとおる』は謎解きに合いますね。制作を始めると『ブラック・ジャック』より作りやすかったかも知れません(笑)。
僕が『三つ目がとおる』を読んで面白いと思ったのが、三つ目の写楽がガラクタを組み合わせていろんなモノを作りだしちゃうところ。
その要素を取り入れたくて、一見使い方のよくわからないような道具を駆使して謎を解いたり、さまざまな部品を使って、まったく別のものを作り上げたりとアイテムにこだわった謎がたくさん出てきます。
あとは、三つ目になった写楽の“悪魔のプリンス”という悪い部分も出したかったんですよね。
三つ目になる前の写楽のときは和登サンが中心のストーリーで、写楽が三つ目になったあとは写楽に振り回される展開が待ち受けています(笑)。
もうひとつ、全員に謎を解く面白さが行きわたるようにする点にもこだわりました。
謎解きゲームって、偏りがあると「この謎がやりたかった」とか「あの謎が面白そうだった」という意見がどうしても出て来てしまったりするんです。ただただめんどうな部分だけやっていた、なんてことのないよう、なるべく作業のレベルに差がなく全員が体験してもらえるようなゲーム内容を目指しました。
問題数についても、単純に人数分用意するのではなく、少ないチームが不利にならないように程よく用意しています。
初心者の方にも楽しんでいただけますが、なかなか挑戦しがいのある難易度となっています。みんなが知っている『ブラック・ジャック』に対し、『三つ目がとおる』って僕のなかではより熱狂的なファンが多いイメージなんですよ。
作品を知らないでプレイしにくる方にも楽しんでもらって、原作も読んでいただけると嬉しいですね。
また、物販にはステッカーと缶バッジのほか、おみやげ用の謎解きゲームをご用意しています。写楽のおそろしい実験を止めることが出来たらクリアという内容なんですけど、とても楽しいものに仕上がっていて本当にオススメなので、ぜひ、併せてプレイしていただきたいです。
三つ目がとおる×ドラマチック謎解きゲーム
『儀式残りし謎の島』
開催期間:8月25日(土) ~ 10月28日(日)
金・土・日・祝日開催
金曜は1日1公演、他は1日3公演
公演時間:120分(ルール説明なども含め)