今年は手塚治虫の生誕日である11月3日から開催された『手塚治虫文化祭 〜キチムシ'16〜』。
会場内はもちろん、SNSでも作家さんとお客さんが一緒になって盛り上がり、連日大盛況のうちに1週間の会期を終えました。
虫ん坊では、昨年に引き続き、アフターレポートをお届け!
開催初日の内覧会の様子や取材日に在廊されていた出展作家さんからのコメントなどをご紹介致します。
元祖コスプレイヤーの一本木蛮さん。サファイアの鮮やかな衣装がお似合いです!
島本和彦さんと一本木蛮さんのコラボ作品群。
色違いのベレー帽をかぶった開田裕治さんと開田あやさん。『鉄腕アトム』の地上最大のロボットと魔神ガロンのイラストを前に。
それぞれマグカップとハンドタオル、イラスト集として販売されました。
DEVILROBOTSさんによる手塚キャラのだるま!
同デザインの缶バッジ。
TOUMAさんによるトリトン、百鬼丸、ヒゲオヤジのフィギュア!
後ろにあるハンドメイドの収納箱にもこだわりを感じます。
寺田克也さんによる『プライム・ローズ』。
リミテッドエディションの複製原画。
凛々しい表情と細部までの描き込みに魅せられます。
きはらようすけさんの昨年に続く「アトムウー」のカラフルなグッズたち。あみぐるみのアトムウーが登場するアニメーションの第二話も公開!
限定で作られたアトムウーのヒョウタンツギウクレレ。
裏側にも大きなアトムウーのイラストが。
会場ギリギリまで展示作業をおこなう参加クリエイター陣。
とりマリ(とり・みきさん&ヤマザキマリさん)による『ペックスばんざい』のTシャツと古代ローマ風マンガ神像のTシャツ。
直筆サイン入りで複製原画も少量販売されました。
モンキー・パンチさんによる『リボンの騎士』の便箋とポストカード。
西野直樹さんによる百鬼丸のきもの柄をアレンジしたオリジナル生地からのアパレルグッズたち。
手作りパッチワークTシャツの新作、ヒゲオヤジはひげの部分がひらひらする作りになっています。
山田雨月さんの『どろろ』。繊細でありながら、インパクトのある美しいイラストが全面にプリントされたワンピースとTシャツ。
青木俊直さんのアトム子ちゃんグッズたち。手作りのコースターにはポストカード3種類がついてきます。
吉祥寺の街を背景にしたカレンダーは今年も販売。
桐木憲一さんによる『トイレのピエタ』Tシャツ。展示したシャツの淡い色の付いた部分は当日の朝に加工したそうです。
『I.L』のセンスあふれるイラストはポストカードに。
上條淳士さんによる『月下美人に咲く奇子』と和登さん。
シンプルながら、息をのむような線画。
準備の合間をぬって、「今回の作品のテーマやコンセプト」、「もし、手塚先生に会えるとしたら?」 という質問に簡単に答えていただきました!
twitter:@asadercover
「今回の自分の作品は “with family”というテーマで統一しました。
『もう会えなくても、あの日の心がいつも側にある』という意味で、どのキャラにもタトゥーのモチーフを絡ませています。
ジャングル大帝の腕に、“son(息子)”というタトゥーがあったり、ユニコのTシャツには、ユニコのお母さんがユニコに語りかけているセリフをローマ字表記でプリントしたり、アトムは、“Dr+DAD”という自分を生んでくれたドクター、お父さんへの気持ちを身体に刻んでいたり……。
家族みんなで着てもらえたらと思って、赤ちゃん用のロンパースから大人用のXLサイズのTシャツまでバリエーションを作ってみました。」
「実は今回、一番最初に描いた手塚キャラはどろろだったんです。ラフまでは描いたんですけど(笑)。トリビュートって、自分に引き寄せてからの落とし所が肝だと思うんですが、手塚先生のキャラはそのさじ加減が本当にムズカシくて。
ブラック・ジャックも描いてはみたんですけど、自分の中でなにかしっくりこなくて、今回は見送りました。」
「いま手塚先生と話が出来るなら、伺いたい事は沢山あるけど…、マンガの表現をとんでもない次元に導いていただいた感謝の気持ちを伝えたいです。
手塚先生の生涯の戦いがあってこそ、いまの僕らのマンガ表現があるわけですから。」
「キャラクターについては単に好きだからという理由で選びました(笑)。
『火の鳥』太陽編に出てくるルベツは、もともとアイヌ民族に憧れがあって、ルベツのいる“狗族”のアイヌ民族的なモチーフを強調するデザインにしました。
アトムに関しては、切ない話なんですけど「イワンのばかの巻」という作品が大好きで、そこに登場するロシアのロボット、イワンにインスピレーションを受けて、ロシアの絵本っぽくしてみました。
ロビタのTシャツは、もともとロビタって家政婦ロボットでしょ? そこで、ドラマ『家政婦はみた!』風にふすまからのぞいているポーズにしてみたり(笑)。
『鳥人大系』は作中のグロテスクなキャラクターたちが好きなんですけど、その中でもこのドゥブルゥドのもつ独特な“きもちわるさ”を自分なりに解釈してデザインに落とし込んでみました。」
「手塚先生とは直接お話してみたかったですねえ。あと、先生が描いている風景とかね。観たかったなあ。」
twitter:@himewolf
「完全に動物単独で、例えば絵馬とかキーホルダーとか自分が欲しいものを作りました。手塚先生は、動物キャラが多く魅力的。子どもの頃から本当に大好きで立派にケモナーに育ちました(笑)。こんな動物キャラのグッズが欲しいなと思いつつ描きはじめたら止まらなくなって、やりすぎちゃいました(笑)。これでも足りないくらいだったんですよ。
一番好きな作品は『バンパイヤ』です。もう、大好きですね。幼稚園か小学生くらいに初めて読んで、それが性癖のめざめでしたから。
『七色いんこ』も好きなんですけど、特に彼(玉サブロー)ってけなげでかわいいじゃないですか。絶対にめげない姿がいい(笑)。」
「先生に会えたら、創作のインスピレーションをありがとうございますと伝えたいですね。いろいろなジャンルの、もとのもとを作られた方でしょう。
いま、若い人に動物絵がすごく人気なんですけど、私たちが描いて来た作品で育ち動物絵を描きはじめた人も多くいらっしゃるみたいで嬉しいのですが(児童媒体で20年以上描いてますので)出どころが知られていないというか、手塚治虫先生が動物キャラを魅力的に描くことは多くの人が知っていても、時系列的な部分は認識してない人も多いんですよね。私たちの先駆には手塚先生がいるんだよということを伝えていきたいですね。」
twitter:@denno_daiku
「最初にキチムシのお話をいただいたときに頭に浮かんだ手塚キャラが火の鳥だったんです。火の鳥は独特のフォルムが印象的なのでそれを自分のなかで表現したいという思いがありました。ラインとシルエットに特徴を出してデザインしました。
シャミー1000に関しては、私の作風に合うのではということで手塚るみ子さんから作品をご紹介いただきました。原作の扉絵のイラストを見たときにこのポーズにひとめぼれしまして(笑)。この作品は原作に忠実に艶っぽく作ろうと思いました。
ボッコ隊長はかわいいキャラクターとして表現できたらと制作しました。立体のフィギュアとして成立するように作中に出てくる反陽子爆弾を台座にして存在感をだしてみました。」
「火の鳥の塗装に関しては知人の協力を仰ぎまして、基本はウレタンクリアという艶のある塗装をしています。販売用の火の鳥は知人の車の板金屋さんに塗ってもらい。展示用のカスタム塗装の火の鳥は「ペインターネット」のイトウさん、「BLACKRABBiT」の岩さんにそれぞれ魅力ある塗装をお願いしました。」
「手塚先生には、本当に感謝の言葉を伝えたいです。アニメーションから入った世代なんですけど、昔から手塚作品のマンガは読んでいましたし、いろいろなインスピレーションを受けさせていただいています。声を掛けることができるとしたら、ありがとうございます。もう、それだけですね。」
twitter:@ReikaYoshimoto&@_emilioemily_
エ☆ミリー吉元さん
「手塚先生による作品の数々は、拝読するたび新たな発見がありますが、その感覚を、見る角度によって色が七色に変わる真珠に例えて表現したいと思いました。」
吉元れい花さん
「牡蠣屋さんによく足を運んでね。大変だったね。」
エ☆ミリーさん
「牡蠣の具は樹脂でできているんですけど、外側は実物の殻なので菌がまったくいないくらいめちゃくちゃ消毒しています。」
れい花さん
「学生時代、初めて『火の鳥』全巻を読んだ時の衝撃と感動、るみ子さまから、キチムシでのお話しを頂いた時に、よみがえったのが、この記憶でした。
『火の鳥』を刺繍で縫い描かせていただこう、そう決心してからの数か月、制作が思い通りに進まず、迷いや悩むこともあったけれど深い深いところではずっと幸せな気持ちに包まれていたように思います。
そして、夢のような毎日でした。」
エ☆ミリーさん
「もし手塚治虫先生にお会い出来るならば、感謝の思いをお伝えする、まずはこれ以外考えつきません…! 父(漫画家バロン吉元)からも、手塚先生との非常にユニークな思い出を聞く機会が度々あり、その都度とても羨ましい気持ちになります。」
れい花さん
「マンガの神様、手塚治虫先生の世界に、大好きな刺繍で再会させていただく事ができました。
この貴重な体験を忘れることなく、これからも一針の歩みを大切に、縫い続けていきたいと思います。
手塚先生、ありがとうございました!
そして、このような素晴らしい機会を与えて頂きましたるみ子さま、ありがとうございました!」
初日は祝日ともあって、20〜30分待ちの行列ができるなど大賑わいでした。そしてギャラリー閉館後は手塚治虫のお誕生日ということもあり、大きなバースディケーキを囲んでのレセプションが行われました。
こちらのケーキは、吉祥寺で人気の高い洋菓子店「アテスウェイ」の特注品。
前回の虫ん坊でも話題にのぼった田中圭一さんが、開催2日目昼下がりに、
突如来襲!!
一本木蛮さんに撃退されるというアトラクションがありました。
田中さんが販売用に持参したサイン入りTシャツ。まだ、晒されて展示されて間もないころ。
5日には、このような仕上がりにwww
11月3日の初日から、最終日の9日まで、お客様をはじめ、他の漫画家の先生や様々なアーティストの方たちも来場されたり、突如キチムシバンドによる手塚アニメ主題歌の演奏がはじまったりと、まるでキチムシといういきもののような、日々変化して目が離せないイベントでした。
お祭りの後は名残り惜しくなるものですが、来年、2017年も11月2日(木)、吉祥寺リベストギャラリー創にて開催が決定しています!
今年、足を運べなかったかたも会場に訪れたかたも是非、恒例行事として参加されてみてはいかがでしょうか!