最近よく聞くキーワード、「CSR」。東日本大震災以降、特に注目が集まっています。ところで、CSRってなんだろう? 今月は夏休み特別企画として、アトムや手塚キャラが活躍しているさまざまなCSR活動から、社会貢献型クレジットカード『アトムカード』と、「Camp Fire」というサイトで実施中のフェアトレード商品開発企画について、ご紹介したいと思います!
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アトムの社会貢献の取り組みといえば、まずは株式会社セディナが発行する『アトムカード』について改めて振り返りたいと思います。
今年で10周年を迎える『アトムカード』は三井住友フィナンシャルグループであるセディナが発行している社会貢献型のクレジットカードです。カードにはアトムのオリジナルデザインが印刷されていて、手塚ファンには嬉しいアイテムです!
アトムカードのご担当で株式会社セディナのカード提携営業三部・主査 野口繁久さんにお話を聞いてみました。
なお、虫ん坊では2012年7月号と、2011年7月号でも詳しく紹介しています!
——最近、CSR活動、という言葉をよく聞きますが、一口に言ってどのようなものでしょうか。
野口繁久さん(以下野口):
一口で言うと企業が社会に対して果たすべき責任。という意味です。企業も社会の一員として、地域活動や社会に良い影響を与えなくてはいけない、という考え方ですね。
セディナでも、会社全体でCSRについて積極的な取組みをしています。一例として東京では荒川クリーンエイド・福岡ではラブアースクリーンアップなど、各事業所のある地域の環境美化活動などを行っています。その名の通り、荒川の河川敷や福岡市内の公園でゴミを拾う活動ですね。また、エコキャップ運動(ペットボトルの蓋を分けて回収することで資金を集め、発展途上国の子供たちのためのワクチン代として寄付する運動)等をを行なっています。
そして、セディナのクレジットカード事業を活かしたCSRの形としては「社会貢献型カード」があります。その一つがアトムカードですね。
——アトムカードの他にも、社会貢献型カードの取り扱いはありますか?
野口:
今まで様々な社会貢献型カードの発行を行っておりますが、これまでの寄付金額累計が一番多いのは1991年セディナの前身の旧OMCカードから登場した『地球にやさしいカード』です。公益財団法人 緑の地球防衛基金と提携し、環境保全活動への寄付金として、収益の一部を寄付しています。その他、いろいろなタイプのカードがあります。(詳しくはこちら)
アトムカードのコンセプトは子どもたちの未来のための募金、ということで、前年度の全国児童養護施設協議会を初め、これまでも震災遺児支援や、交通遺児支援に関する基金に寄付をしてきました。
——アトムカードが誕生したのはいつですか?
野口:
手塚プロダクションさんとのお取引自体は、 1999年、ファンクラブの会費の支払いや手塚治虫ショップでの支払いなどができるクレジットカードからスタートしました。
その頃、社内でも社会は近年どんどん豊かになっていっているが、子どもたちはどうなのだろう? という議論がありまして、若い世代に対して、わたしたちにできることは無いだろうか、といろいろとアイディアを探っていました。手塚プロダクションさんとのお取引の中で、『鉄腕アトム』といえば子どもたちを守る象徴的なキャラクターではないか、ということで、アトムの誕生年にあたる2003年に、アトムのオリジナルデザインが印刷された『アトムカード』が誕生しました。
——今はどれぐらいの会員さんがいらっしゃるのでしょうか。
野口:
アトムカードは、現在約8,000名の会員がいらっしゃいます。家族カードが発行できるカードは多数ありますが、その中でも特に家族カード保有率が高く、家族みなさんで利用されているのが特徴です。年齢層は40〜50代が多く、特に女性に人気ですね。
アトムのオリジナルデザインがかわいいだけでなく、使うだけで社会貢献ができ、ダイエー・マルエツ等でのお買い物が月に数回割引になる「ご優待デー」が、人気の秘密だと思います。
——利用者は増えていますか?
野口:
利用会員様は増えていますが、全体会員数でみると正直なところ横ばいが続いています。発行当時は、ダイエー店舗などでも入会募集をしたりしましたし、手塚治虫ショップからも入会される方がいらっしゃいましたが、募集環境の変化もあって今は募集できる場所が限られています。
——どのような仕組みで支援をしていますか?
野口:
会員の方はクレジットカードとしてご利用いただくだけで、お買い物金額の0.3%が自動的に寄付金になります。会員の方に負担はなく、通常のクレジットカードの利用と変わりません。寄付金は運営側の収益から出る仕組みです。
——入会したい場合は、どうすればいいですか?
野口:
現在はWEBを中心にした入会を受け付けていますよ!
——貢献活動については、会員の方はどうやって知ったら良いですか?
野口:
毎月発行している請求明細書に、その年の寄付先や寄付額、活動内容を記載しています。
セディナホームページでは会員でない方でも、プレスリリースで確認することができます。
(2012年の活動報告)
——今後、アトムカードをどんなふうにしたい、と思いますか?
野口:
今までは、会員の募集なども受身の姿勢でしたが、今年はいろいろな試みをしようと思っています。まず、7月23日から、入会された方にもれなくアトムカードオリジナルのメガネ・スマホ拭き(トレシー)がもらえるキャンペーンを行います。
まだまだ、アトムカードの存在をご存知ない方も多くいらっしゃると思いますので、まずは知ってもらい、わたしたちの趣旨に賛同をしていただきたいと考えています。
また、アトムカードも現在では支援規模の関係で国内の施設や団体への支援が中心ですが、規模が大きくなれば、海外への支援も考えて行きたいです。構想はいろいろありますが、まずはこのアトムカードを、会社のCSRの中心活動に育てて行きたいですね!
——ありがとうございました!
もう一つ、手塚プロダクションでは現在、手塚キャラクターと海外協力NGO団体・シャプラニールがプロデュースするフェアトレード製品とのコラボレーション商品を開発しています。
ちょうど第1回の商品サンプルが出来上がり、打ち合わせで来社されていた特定非営利活動法人シャプラニール 平澤志保さん・京井杏奈さんにインタビューしました。
虫ん坊のバックナンバーでも、シャプラニールさんへのインタビューがあります!
虫ん坊2004年5月・「アトム通貨 スタートより1ヶ月」
——シャプラニールについて、教えてください。
京井杏奈さん(以下京井):
シャプラニールは、南アジアを中心に社会や開発、他の援助機関などから取り残されてしまっている人々、たとえば働く子どもたち、障害者、先住民族、災害の多い地域などに住む人々を支援し、彼らのの生活上の問題解決に向けた活動をしている海外協力NGOです。1972年に発足しました。発足当時はバングラデシュで活動していましたが、現在では、バングラデシュ、ネパール、インド、日本国内では福島県いわき市で支援活動を行なっています。
フェアトレードはその活動の一環で、私たちはクラフトリンクと名付けています。ネパール・バングラデシュの2カ国で生産していますが、現地の女性たちが手作りした商品を日本で販売し、公正な賃金をお支払いすることで、彼女たちの生活の向上を目指しています。
——「シャプラニール」ってどういう意味なのでしょう?
京井:
バングラデシュとインドの一部地域で使われているベンガル語で「睡蓮の家」という意味があります。睡蓮はバングラデシュの国花でもあるんですよ! バングラデシュ・ネパールの現地にも事務所があって、現地のスタッフと日本人のスタッフが協力して活動を進めています。日本からはスタッフがだいたい2年から4年の任期で赴任しています。
——クラフトリンクについて詳しく教えて下さい。
平澤志保さん(以下平澤):
クラフトリンクはシャプラニール設立の2年後、1974年から始まった活動です。洪水に見舞われた農村の復興の一環で、外で働いて収入を得る機会が限られる女性を対象にした活動(農村開発活動)としてはじまりました。伝統的なジュート(黄麻)を使った民具づくりからはじまり、今では衣類や雑貨など約200点を扱っています。毎年20点から40点の新商品を開発しています。
現在は、私たちが直接生産者に発注をしているわけではなく、間に現地のパートナー団体がネパールに4団体、バングラデシュに6団体がいて、そちらがそれぞれ、各国の生産者とコミュニケーションを取っています。
バングラデシュの団体「ジュートワークス」ですと、4000人ぐらいの生産者がいるんですよ! 彼らは私達を含め、世界各国の団体からの発注を受けて、生産者に仕事を分配しています。
手塚プロダクションとシャプラニールは、もともと、アトム通貨プロジェクトからのお付き合い。3年ほど前から「なにか一緒にできたら良いですね」というお話はあったものの、通常の商品のような発注・流通方法だと現地の生産体制とバランスがとりづらい、などの課題がありました。「CAMPFIRE」のようなネット上のユーザーの有志で商品開発資金を集めるような方法なら、予め発注数も決まっているし、納期に余裕もあるということで、まずはこちらで開発してみよう、ということになりました。
今回の開発商品はジュートバッグやメモ帳など、手作りの質感が生かされた商品5点の開発が予定されています。今回選ばれたデザインテーマは「Message from Tezuka Osamu」。手塚治虫の作品に込められたメッセージをキャラクターと一緒に表したシリーズです。
手塚プロダクション・クリエイティブ部がキャラクターではなく、作品のテーマやメッセージに着目して開発したこのデザイン、通常の商品ではなく、なにか、メッセージ性の高い商品に使用してもらいたい、という願いがありました。
——通常の商品はどれぐらいの時間で、いくつぐらい作っているのでしょうか?
平澤:
人気のある商品で言いますと、たとえばジュートサンダルなどは、一年に1000コから2000コくらいを発注しています。納期の3ヶ月前ぐらいに発注をしますが、送料もかかるため、発注は一年に2回ほどです。そういった商品を全国の300店舗ぐらいのお店に卸売しています。私達が直接販売するお店としては、「クラフトリンク」という楽天市場のWEBサイトでインターネット通販をしています。また、年2回発行するカタログでの通販も行っています。
——今回の商品ではまさにピッタリマッチしますね!
平澤:
そうなんです! 元のデザインから、ハンドメイド商品に合うように、線の感じをあえてラフに直していただいたりもしているんですよ! ジュートバッグに載せた時にも、しっくり来ていますよね。
今のところ、「CAMPFIRE」のパトロンの方々には、レオのデザインを選ばれている方が多いですね。
——通常、手塚キャラ商品だと、ダントツで人気があるのはアトムなんですよ。
京井:
やはり、色味やキャラクターが商品とマッチしているからでしょうね。緑色が生成りのジュートの色と似合っていますよね。
——現地の方々は、手塚キャラについてはなにかおっしゃっていますか?
平澤:
作っている方々はやっぱり、自分たちの伝統柄だけではなく、新しいデザインにも挑戦したい、と考えているようです。日本で誰もが知っている手塚治虫さんのキャラクターをのせた商品を自分たちがつくることを、皆とても誇りに思っています。ただ、やっぱり文化的なギャップは少しはあるようで、今回の開発グッズの中でも特にハンドメイド感が高い木彫りのハンコを彫っていただいている方の中には、レオをウサギだと思っていた! とおっしゃっていた方もいました(笑)。
京井:
現地の方々も、日本のキャラクターグッズを作って、それが日本で販売されていくことにやりがいを感じてくださっているようです。こういうきっかけでも、ささやかな文化交流として手塚作品の認知のお手伝いをできることは嬉しいですし、一方で手塚治虫さんのファンの方に、これを機に私たちの活動を知ってもらえるいいチャンスだと思っています。
——今後、シャプラニールとして手塚プロダクションとどのようなことをしていきたいですか?
平澤:
私たちは、ただ売れるから、ということで安易にキャラクターコラボをしようとは思っていません。手塚プロダクションさんとは、私たちの考え方も理解していただき、またなによりも理念が一致したので、ご一緒することができたんだ、と思います。
実は「CAMPFIRE」は期間中に一定額の資金が集まらないと、プロジェクト自体が不成立となってしまうんです。せっかくのプロジェクトなので、まずは成功させたいですね。
京井:
このプロジェクトが成功するかどうかは、たくさんの皆さんにまずは参加していただく事にかかっています。みなさんもぜひ、この記事を読んで気になったら、参加をご検討下さい。未成年でクレジットカードを持っていない、という方でも、ぜひご両親にお願いしてみて下さい。その際に、バングラデシュやネパールで、支援を必要としている人々について、またフェアトレードという活動について、家族で話してくださったら、すごく嬉しいです。
ご興味を持たれた方は、まずは以下URLにアクセスしてみて下さい!
http://camp-fire.jp/projects/view/687