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虫ん坊 2011年7月号 特集2:『アトム基金』ってなんだ!?

虫ん坊 2011年7月号 特集2:『アトム基金』ってなんだ!?

 株式会社セディナが発行するカードのひとつに、「アトムカード」という社会貢献型のクレジットカードがあります。
 2003年に登場したこのアトムカードは、“子供たちの夢を形にする”“子供たちの未来づくりに何らかの役に立ちたい”という手塚治虫の想いが込められており、カード会員さまの負担なく、利用した金額の0.3%が寄付される仕組みになっています。つまり、入会して普通に使っているだけで、社会福祉に役立つ寄付が出来るカードなのです。
 寄付先は、手塚プロダクションとセディナの代表者で構成される「アトムカード委員会」で毎年、コンセプトに合致する団体を選定し、寄付させて頂いています。

 2004年度より毎年、寄付させて頂いている全国児童養護施設協議会では、「アトム基金」として、全国児童養護施設で生活する子供たちの進級や進学に役立てられています。

 そんな「アトム基金」ですが、今年も全国児童養護施設協議会に約360万円が贈呈されました。
 この「アトム基金」、どのようなことに役立てられているのでしょうか? 虫ん坊では、「アトム基金」について取材しました。


関連情報:

「アトム基金」贈呈式が行われました。



◎ 児童養護施設の現状

虫ん坊 2011年7月号 特集2:『アトム基金』ってなんだ!?

「もっと、もっと知ってほしい 児童養護施設 −子供を未来とするために−」 パンフレット。パンフレットの内容は、児童養護施設協議会のWEBサイトで見ることができます。有償(20円)での頒布も可能

 現在、全国の児童養護施設に在籍している子供たちは約3万1千人。虐待などの問題を抱えて入所される方々も少なくありません。相談所に寄せられる相談件数は毎年増え続けており、児童養護施設に入所している子供たちの約53パーセントが被虐待経験を持っています。
 そんな子供たちが心身の傷を癒し、夢や希望をもって自立し、社会に旅立っていけるように、支援をしています。

 施設がサポートしているのは、高校卒業の18歳まで。現在では15歳で就職・自活するのは大変困難なため、施設でも高校や専門学校、職業訓練校への進学をサポートしています。95%以上の方が高校に進学しています。もちろん、大学や専門学校への進学を希望する児童も少なくありません。大学や専門学校に行くためには、勉強はもちろん、お金がかかります。そのための資金の一助として、「アトム基金」が活用されています!


◎ やがて大人になるみんなのために

虫ん坊 2011年7月号 特集2:『アトム基金』ってなんだ!?

会議の様子。(写真提供:株式会社セディナ広報部)

「アトム基金」をもとに協議会では、退所児童自立支援事業として、退所児童の保証人となった施設長などを支援する取り組みを行ってきましたが、実際の活用件数が少ないため、より子供たちを直接助けることができるように、と「アトム基金進級援助助成制度」を企画、立ち上げました。
 この制度では、児童養護施設から、大学や専門学校などに進学し、2年生になった人々へ基金が贈られます。2年次以降の助成制度がないという現状から、2年次以降の進級の際に必要な教科書代や諸経費の経済的負担を少しでも軽くするための、支援となります。


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「アトム委員会」宛の手紙の数々。

 平成21年度から新設されたこの制度では、21年、22年の2年間に述べ112名、計284万円の助成が行われました。
 今年度、23年にも、92名の対象者に助成金が贈られます。
 この助成制度は、申請件数が毎年増加しているとのこと。継続的に援助を続けていくことが、大きな励みになっているそうです。

 手塚プロダクションやセディナにて構成されているアトム委員会には、基金を受け取ったお礼のお手紙が届いています! 看護関係や教育、福祉の方面を志す人々が多いとのこと。活躍をお祈りしています!

◎ 今年の基金の使い道

虫ん坊 2011年7月号 特集2:『アトム基金』ってなんだ!?

全日本児童養護施設協議会 副会長 土田秀行さん。

 そのほか、今年は東日本大震災の発生をうけ、今回の震災の被災4件の児童養護施設への援助も検討されています。
 全日本児童養護施設協議会 副会長の土田秀行さんは、震災後の東北の各施設を視察に回り、被災の様子や具体的にどんな援助が必要とされているのかを調査に行きました。
 土田さんに、被災4県の施設の様子や、どんな支援が必要とされているか、伺いました。


――被災4県の状況について、詳しくお聞かせいただけますか?

土田:地元の児童養護施設関係を取りまとめている施設を回りながら、お話を聞いてきました。
 この度の東日本大震災においては、一ノ関の施設(1施設)で、建物の壁等に多くの亀裂が入り、今後建て直す必要があるような状況でした。そのほかの施設は不幸中の幸いながら、直接自分たちの建物が壊れたり、ということはなかったようです。津波の影響という観点からすれば、児童養護施設というのは、街中よりはどちらかといえば高台にあるケースが多いんですね。土地の安いところかも知れませんけれども。
 もちろん、間接的に、停電になったりなどの生活上の苦労はあったようです。たくさんの子供たちを抱えながら、彼らを見守っていかなくてはなりませんから。
 逆に、施設が、地域の避難場所になっていた、ということもあったようです。今まで、地域の方々に支えられていた施設ですので、地域の方々を歓迎して、避難していただいています。施設には、非常食などの非常用の備えがあったんですね。地域の方々にもご負担いただいてのものですので、避難された方々と施設の子供たちとで一緒に、活用しています。
 普段から、地域の方々からの支えもいただき、良好なコミュニケーションが取れていたのは、良かったことと思います。
 児童養護施設は、昔は地域から隔絶されがちなところも多かったのですが、最近ではだんだんと地域に根ざした施設として、受け入れられているのかな、と感じました。
 児童家庭支援センターという制度が全国で出来つつあり、そういったところは地域のいろいろな児童に関する支援や相談の窓口になっています。そのようなセンターが今回のような、地域の有事にも役立っているのではないか、と思います。

――今回の震災で、施設を頼りたい被災者も増えてくるのでは、と思います。

土田: そうですね。今後は、施設からも被災者の方々へのお手伝いをしていきたいと思っています。親御さんをなくされ、住む所を失ってしまった子供たちにとって、もし必要であるならば、もちろん、施設も受け入れ先として手をあげています。
 施設だけではなく、里親さんもずいぶん手を差し伸べてくれた方がおり、受け入れ体制も整っています。
 でも、被災された方としては、まだ、親御さんが見つかっていないのに、すぐに里親に、施設に、という気持ちにはならないものだと思うんですよね。子供たちも、地域を離れて生活するということには、感情的な問題で、すぐ踏み切ることは難しいと思います。


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一般の方の支援の気持ちの高まりから、いっそう気を引き締めて、子供たちを育てていかなければ、という土田さん

 現在、被災地では約140名ほどの子供たちが、親御さんがいない状況と聞いていますが、多くは親戚の里親さんが預かる、ということにとりあえずはなっているようです。今のところ、児童養護施設に入られている対象者は、今のところ、2名ぐらいではないかな、と思います。
 これから、長期間のことでもありますので、親戚の方でもなかなか引き続いて育てていくのが困難な方々なども、出てくる可能性があります。そのようなときには、いろいろな支援や制度を使いながら、援助が出来ればと思います。

 これだけのショッキングな出来事が起こって、子供たちが恐怖や悲しみを我慢してしまっている状況ですから、彼らの傷を癒すためには、長い期間をかけて治癒する必要があります。親族里親制度などを活用いただき、親戚の方に引き取られた子供たちも、恐怖体験や悲しい体験の記憶から、からいろいろな問題をかかえることになるかもしれません。そのようなときには、児童養護施設の経験や知識を活用して、助言や支援という形でも、手を差し伸べることができればと思います。施設の多くには、心理職の職員がおりますからね。



――被災4県向けに、「アトム基金」をどのように活用しようと思いますか?

 浅く広く、という形だと効果的な援助ができないかも知れないので、必要な子に、必要なものを提供できればいいな、と思っています。
 たとえば、小学校に初めて上がる子供たちに机を買ってあげる、とか、そういう形が良いかな、と思います。年長の子供たちはみんな、机を持っていますからね。施設のほうでも、毎年新一年生たちに買ってあげているとおもいますよ。その一助になれば。机であれば勉強している間、ずっと使えますからね。
 ランドセルは今年は、結構いただきましたからね(笑)。



――今回の震災では、一般の方々からの、福祉やボランティアへの気運が高まりましたが。

 大震災の前に、タイガーマスク運動もありましたよね。児童福祉関連施設では相当、タイガーマスクにも助けていただいて、気運も広まっています。子供たちだけではなく、どのような支援ができるのか、という関心が高まっているのはうれしいことです。皆さんの支援に答えるためにも、われわれ児童養護施設のスタッフは、これまでよりもいっそう、きちんと子供たちを育てていかなくては、と、身の引き締まる思いです。皆さんに、私たちがこのようにして子供たちを育てていますよ、ということをきちんとお伝えしなくてはならない立場になってきたのではないかな、と感じています。
 いろいろな支援をしていただいた子供たちは、社会人になってから、徐々に分かってくるんですよね。学生のうちは、勉強に精一杯ですが、自分に余裕が出てくると、「なにか手伝えないか」という気持ちになるようです。
 親御さんを亡くした子供たちだけではなく、虐待を受けたりして、親御さんと葛藤のある、心に深手を負った子供たちが、社会に溶け込むのはなかなか、難しいのですが、彼らにも支援の手を差し伸べる人々がいることが救いになるのかも知れません。


――お話ありがとうございました。

◎ まとめ

虫ん坊 2011年7月号 特集2:『アトム基金』ってなんだ!?

 土田さんのお話にもあったとおり、今年は今までになくボランティアへの気運が高まっています。表立ってイイコトをするのはちょっと恥ずかしいな……。という方も、ちょっとした工夫で気軽に募金や、ボランティアに参加できる制度もたくさんあります。

 興味をもたれた方は「アトムカード」、いかがですか?








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