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ストーリー

列車事故で亡くなった母が産み落とした由美は、昏睡状態のままで発育し続けた。十七歳の時に、幼い頃から彼女を見守ってきた少年雄一のキスによって覚醒。わずか五日間で十七年分もの信じがたい成長を遂げるのだが…。

解説

1971/02/21 「週刊少年サンデー」(小学館) 掲載

『ガラスの脳』というタイトルそれ自体、かなり奇妙で、いったいどんな話だろう? と思わず手にとって見たくなってしまうようなふしぎな魅力を秘めていますが、いったいなぜ、『ガラスの脳』などというタイトルがついたのか、——それはこの作品をラストまで読んでみれば分かるのですが——それが分かったときの感動もまた、このタイトルが色々な謎を思わせる奇妙なものであるからこそ、ひとしおであるともいえます。〝むしろ神が作りそこねたままに この世へ送って すぐひきあげた妖精のよう〟——そんなふうに作中で語られる由美という少女の不思議な生涯を、『ガラスの脳』という不思議なタイトルは、実によく言い表しています。まるで眠り姫のように、原因も分からないまま、昏々と眠ったまま、目を覚まさないヒロイン・由美。生まれてからずっと眠り続けているのですから、眠り姫よりも薄幸かもしれないこの少女を、たまたま同じ病院に入院したことから好きになり、やがて真剣に愛するようになる少年・雄一。眠ったまま、話すことすらできない相手を愛し続ける雄一の愛はまさにプラトニック・ラブ。それに報いるように、由美は目を覚ますのですが……。SFの雄・手塚治虫らしい、少し不思議で、ちょっと怖くなるほどの深い人間の生命の神秘と言えそうなものを感じさせる優れた短編に仕上がっているこのストーリー。何はともあれ、バレンタインデーに相応しい、一つの究極のラブストーリーであるという保障はいたします。

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