マンガマンガ

ストーリー

 沈没の危機にある松風丸に乗り合わせた乗客たちは、それぞれ救命ボートに乗り込み、別れ別れになってしまいます。そのうちの一隻に、江戸時代末期に広島を訪れた海賊が残したという財宝の地図を持っている老人が乗っており、病死の間際にボートに乗り合わせた人々に遺言と地図を残しました。荒城月男(あらきつきお)とその恋人・星子、一銭ハゲのある男、水夫上がりらしいひげ面の蠻波(ばんば)、ヒゲオヤジら5人の乗客たちは、老人の秘密を決して他の人間には漏らさないと誓います。
 ところがボートは洋上で転覆し、乗客たちはハワイへ流れ着きます。そこで酒場を営んでいるサムという男は実は海賊の一味で、広島を訪れた海賊船の秘密について、何事かを知っている様子…。そこに実はサムの舎弟であった、一銭ハゲが転がり込んできます。

解説

1945 習作

 暗号で描かれた宝の地図、偶然船に乗り合わせた乗客たちの人間ドラマ、宝を狙う悪人による殺人……、多くのキャラクターが錯そうし、こぞって宝の秘密に挑むダイナミックな冒険譚になるはずでしたが、残念ながら現存する原稿は未完で、途中の数ページも紛失あるいは執筆されないままとなった作品です。
 習作ながらにして、手塚のその後の活躍を思わせる大冒険譚で、途中までと解っていてもつい引き込まれてしまいます。本作は2001年3月30日発行の「手塚治虫漫画大全集DVD-ROM」の発売記念特典として単行本化され、いまでは講談社刊「手塚治虫文庫全集 手塚治虫漫画全集未収録作品集③」で現存する部分を読むことができます。


こちらもオススメ