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ストーリー・解説

1957/04 「少女」春の増刊号(光文社) 掲載

「ミニヨン」は、ゲーテの長編小説「ウィルヘルム・マイスター」の一部をもとにした短編作品です。
ゲーテといえば、手塚治虫に多大な影響を与えた「ファウスト」の作者ですが、この作品は歌劇としても有名で、おそらく手塚治虫は小説そのものより、歌劇の方に題材を得てこの作品を描いたものと思われます。
ミニヨンは幼い頃にジプシーにさらわれ、踊り子として生活している少年。ある日、ジプシーの親方に鞭打たれようとしているところを、親切な青年のウィルヘルムに救われます。その夜、ウィルヘルムが付き人をする流行歌手が腹痛を起こし、音楽会に穴を開けそうになりますが、ミニヨンが代役で歌い、恩返しをします。一方、大勢の前で恥をかかされた親方はウィルヘルムに復讐をしようと付け狙いますが…
ストーリーは典型的といってもよいほどのハッピーエンド物で、手塚治虫はキャラクター設定に独自の変更を加え、手堅く9ページにまとめあげています。ミニヨンの設定には「リボンの騎士」のサファイアを彷彿とさせるような部分もあり、その手際には余裕すら感じられるほどです。もともと「ファウスト」をはじめ、「罪と罰」や「怪傑シラノ」など、海外文学の漫画化はお手の物の手塚治虫ですが、どの作品も彼がくり返し読み込んで、自分の血肉とした作品ばかり。この「ミニヨン」も、多忙を極める昭和32年に描かれたことを考えると、きっとお気に入りの作品だったに違いありません。手塚ファンとしては、こじきと公爵を貫禄たっぷりに演じるヒゲオヤジの“はまり具合”も見逃さないでほしいところです。

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