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ストーリー・解説

1960/12-1961/04/20 「少女サンデー」(小学館)連載

オーストリアのウィーンで、大作曲家・ベートーベンが臨終の床にあったその夜、9歳の少女・クララは父のいいつけで遅くまでピアノのレッスンに励んでいました。父・ウイーク氏はクララを天才音楽家に育てようと厳しくしつけていましたが、母のマリアンヌはそんな冷たいウイーク氏に愛想をつかして、家を出てしまいます。
 春の日差しの中でも外に出られずにレッスン漬けになっていたクララのもとに、ベートーベンを看取った音楽家の一人、フランツ・シューベルトがやってきて、こっそり「野ばら」の楽譜をクララに渡します。素敵な曲のプレゼントに喜ぶクララに、シューベルトは「いつかみんなの前でその曲を弾いてくれたまえ」と頼みました。
 やがて演奏会のためにクララとウイーク氏はドイツのライプチヒへ引っ越していきます。クララはそこで、16歳のメンデルスゾーンと友達になります。ライプチヒの音楽仲間たちとの交流の中で、やがて運命の人・シューマンと出会うことに…。
 ピアニスト・クララ・シューマンを主人公に、19世紀を彩る名作曲家たちが登場する少女向けの音楽マンガで、この作品以降も手塚治虫は女性主人公を中心にショパンの青春時代を描く「虹のプレリュード」、そして最晩年にはベートーヴェンの生涯を描いた「ルードウィヒ・B」と自身も好きだったクラシックの名作曲家たちの伝記にチャレンジしていますが、一応の完結をみている「虹のプレリュード」以外の2作は絶筆もしくは中断となってしまっているのが何とも残念です。


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