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虫ん坊 2013年10月号 特集1:復刊ドットコムから『ブッダ』オリジナル版、復刻!

 最近では『ブラック・ジャック大全集』全15巻、また『火の鳥《オリジナル版》復刻大全集』全12巻、『鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集』全7ユニットなど、手塚治虫作品の復刻シリーズを数々手がけている復刊ドットコムから、次の復刊シリーズとして『ブッダ』が刊行されることが決定しました。
 10月から予約販売開始、2014年1月から月に1冊ずつ刊行予定というこの『ブッダ《オリジナル版》復刻大全集』全10巻ですが、“復刻”の名のとおり、従来の単行本と大きく異なるところとして、雑誌掲載当時の内容での刊行、を大きな特徴として掲げています。
 この『虫ん坊』でもたびたびご登場いただいた、企画編集担当者・森遊机さんより、速報版として、今回のシリーズのおおまかな特徴・見どころを教えていただきました。


 関連情報:

虫ん坊2012年8月号 特集1 『ブラック・ジャック大全集』刊行記念! 『ブラック・ジャック』復刊対談!

虫ん坊2011年4月号 特集2 『火の鳥』ついに完全復刻! 復刊ドットコム 森遊机さんインタビュー

虫ん坊2006年8月号 虫ん坊INTERVIEW



●復刻というからには

『ブッダ』連載時の扉絵より。第1部は始まったばかりということで、カラーページも多く、また手塚先生のイラストも力が入っています。

――森さんは前職(ジェネオン エンタテインメント)から数えると、もう10年以上、手塚作品の復刻に携わられていますね。

森遊机さん(以下、森): はい。以前のインタビューでもお話したとおり、2002年の『手塚治虫美女画集 Romanesque』からですから、仰るとおり、ちょうど11年になります。他社の復刻シリーズと差別化しているところがあるとすれば、ちょっと高価格帯の本を、印刷や造本のクオリティ高く、オリジナル通りの大きな判型で、限定部数で発行するのがスタイルになっています。ちょうど来月(11月)で完結予定の『ブラック・ジャック大全集』は、雑誌復刻でなくオリジナル原稿を使用したので、レストア(修復)作業がないぶん、半額近くに価格を押さえましたが、B5版という、雑誌で読む際の、スケール感大きな判型のままの出版、というところには同じようにこだわりました。
 今回の『ブッダ』についても、まず判型は必ずB5で、と思っていました。1972年から10年間、潮出版社さんが『ブッダ』を連載し続けていた雑誌『希望の友』が、ずっとB5で発行されていたことから、それを忠実に再現しよう、と思っています。
 『ブッダ』という作品は、古代のインドが舞台なだけあって、自然の描写のスケールが大きくて、広大なんですよね。そういう作品を新書判や、文庫サイズで読んだだけでは、やっぱりもったいないし、手塚先生も本来、それを意図なさっていなかったと思います。
 カラーページもかなり力が入っていて、扉絵なども多数描かれているのに、現在手に入る書籍では、扉絵を含めたカラーページを再現している本はありませんよね。たまたまなのですが、『ブッダ』はちょうど劇場用アニメの第2弾が来年2月に公開予定のため、こういう豪華版をその直前から刊行開始するのは、タイミング的にもベストと思い、手塚プロさんに長らく相談していました。


――確かに、原画展示がある展覧会などではカラー扉絵なども展示されていましたが、それが収録されている単行本は見たことがないですね。
ところで、『ブッダ』を雑誌オリジナル版で復刊したい、というアイディアはずっと温めていらっしゃったのでしょうか?

森: はい。手塚作品の中でも比類のない、Sクラスの大河名作ということで以前からぜひ手がけてみたい、と思っていましたが、『ブラック・ジャック大全集』に取り組んでいる間はそれに全力集中していましたから、そちらが落ち着いた頃に、次は『ブッダ』を、と。

――今回は雑誌掲載版の初書籍化、復刻というところが目玉だと思いますが、森さんご自身は『ブッダ』を雑誌掲載版で読んだことがありますか?

森: 実は僕も、連載当時から手塚治虫作品はほとんどチェックしていたとはいえ、『ブッダ』については、『希望の友』という雑誌の限定性からいって、友達の家でちょっと雑誌を読ませてもらった記憶があるぐらいで、連載を追いかけていた記憶は無いですね。単行本として読んだのが初めてだったと思うので、今回の復刻は、自分でも、とても楽しみなんですよ。

●実は描き直しや改変の多い『ブッダ』

森: 手塚先生の指折りの名作といっても、『鉄腕アトム』『火の鳥』などの作品に比べると、ファンの間でも話題にされることは少ないですが、実は『ブッダ』もまた、手塚治虫先生の他の作品の例にもれず、かなり内容や絵、コマに描き変えや改変が施されているんですね。

――確かに、『ブッダ』の内容についてはいろいろなご意見を伺うことは多いですが、どこがどのように描き変えられているとか、そういう話はあまり聞きませんね。

森: そうなんです。相当な手塚ファンでも、『ブッダ』のオリジナル版について具体的に把握している、という話はあまり聞きません。確かに『ブッダ』という作品は、作品そのものに読み応えがあるんですが、先に言ったような事情で、描き変えについての情報がきわめて少ないのは、当時の事情からいって、無理もないことです。ところが、実は、相当な描き変えや改変のある、まさに“幻の巨大大陸”といった趣がある。映画『ブッダ』第1作の頃に、潮出版社さんが出したカジュアルワイド版というシリーズでも、全集未収録の「タカとシビ王の話」などが掲載されていましたが、本編そのものにも実はかなりの描き変えや改変があるが、それが知られていないまま今日に至った、ということです。

「タカとシビ王の話」は潮出版社刊 KIBO COMICSカジュアルワイド版『ブッダ』2巻に収録。他にもいくつか全集未収録の仏教説話的な短編があります。)

森:  手塚プロダクション資料室長の森晴路さんにもそういう話をかねがね伺っていて、これはぜひ「オリジナル版を読む意義」をアピールしなくてはならないな、と思いました。
 先日、『火の鳥』の復刻をした際にも思ったのですが、やっぱり、たった1ページでも、ファンにとっては「見たことがない絵が見られる」というのは嬉しい事なんですよね。

――具体的に、どんなところが描き変えられているのでしょうか?

森: 具体的な情報については、各巻末解説などの形で、森晴路さんに図解しながら詳しく書いていただこうと思っていますので、ここではあえてあまりネタバレしないようにします(笑)。
 ちょっとだけご紹介すると、例えばこれは第1部のラストシーンですが、全集版とよく見比べてみて下さい。

画像左、全集版 画像右が雑誌オリジナル版


――全集版ではコマが一つにまとめられていますね。それに、ト書きの内容も違っています。

森: そうなんです。こういう書き替えの前のバージョンは、連載当時の雰囲気をよく伝えていて、面白いんですよ。毎号楽しみに買っていた読者が、実際に読んでいたものが読めるのが特長です。
 それから、今回、この柱のアオリ文句は残そうと思っているんです。単行本でまとめられた後で読み返してみると、掲載当時に予測していたストーリー展開を裏切るような内容になったりするようなこともあったでしょうし、『ブッダ』は同じ潮出版社さんの中でも連載開始は1972年『希望の友』、その後1978年に『少年ワールド』、1980年には『コミックトム』と3度、掲載誌名が変わっていますから、それらの雑誌の雰囲気を知る手がかりにもなると思っています。
手塚先生も雑誌ごとに意図的に作風を変えられた、という話もありますので、単行本に編集をされる前のバージョンは、大変興味深いと思います。

――今回は、資料を集める際に苦労された、というようなエピソードはありましたか?

森: 幸い、手塚プロさんでは、1970年代の作品は比較的新しい部類に入るらしくて、版下とさせていただく雑誌の切り抜きも、無事、全号お借りすることができました。
 ですが、これは手塚プロさんだからできたことで、例えば一般のファンや研究者の方が掲載誌の『希望の友』や『少年ワールド』を今集めようとしても、ほとんど不可能だと思います。『少年マガジン』『少年サンデー』や『少年チャンピオン』のようないわゆるメジャー誌と比べるともともとの発行部数や残存率がうんと少ないですから、古本屋さんなんかでも取り扱いがきわめて少ない。その意味からも、雑誌オリジナル・バージョンをちゃんした形で本にまとめておくことには、大きな意味があると思います。

『ブッダ』連載当時の扉絵

 『ブッダ』という作品そのものは、『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』、『火の鳥』にも劣らない、手塚治虫の揺るぎない代表作の一つには間違いないわけですから、愛蔵版はちゃんとあるべきだと思っています。ですから、今回も、『火の鳥』や『ブラック・ジャック』と同じく、装丁もシンプルかつ格調高いデザインで、大人の本棚に置くのにふさわしいものにしたいです。もちろん、中の紙も、劣化しにくい良質のものを使います。
 『火の鳥』と並べるとちょうどしっくりするような装丁になると思います。『火の鳥』の装丁は、お陰様で大変好評でした。『ブッダ』については手塚プロさんから、あまり抹香臭い感じにしないでほしい、ということは言われていたのと、やはり表にマンガのキャラクターは入れてほしい、ということだったので、函のデザインは、このような石の城門と、キャラクターの組み合わせにしました。各巻ごとにテーマカラーを決めて、中身の書籍にはその色を使おうと考えています。


●特典など

『ブッダ』は来年2月にアニメ映画の公開も予定されている作品。映画の前にぜひ読み返しておきたいですね! 映画『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ ―終わりなき旅―』公式WEBサイトはこちら
 (C)2014「手塚治虫のブッダ2」製作委員会

――毎回初版完全限定の上、通販の全巻予約特典を付けられていますが、今回はどのような特典がつくのでしょうか。

森: 弊社通販限定の3大特典として、『ブッダ』の複製原画セット、連載当時に読者プレゼントされたイラスト色紙の復刻版に加えて、手塚治虫が自ら『ブッダ』について語ったエッセイを集めて収録した小冊子をつけようと思っています。中には、初出以来一度も再録されたことのない貴重なエッセイも入っていますので、楽しみにしていてください! いっそう、『ブッダ』について深く知ることができると思います。
 なにぶん、初版限定版で、大部数の発行ではありませんので、それなりのお値段にはなりますが、お値段以上のご満足いただける内容するよう努力いたしますし、月1冊ですので、こつこつと買っていただける冊数かな、とは思っています。もちろん、全巻予約で購入いただくのが、買い逃しもなく、一番お得ですが……。
 何しろ、ついに雑誌掲載版『ブッダ』が40年余の時をこえて姿を表すことになります。今まで『ブッダ』を読んだことが無い方でも、決定版として楽しんでいただけるものになりますので、楽しみにしていてください。

――ありがとうございました!




『ブッダ《オリジナル版》復刻大全集』はいよいよ10月上旬から予約開始となります! 本全集についての詳細情報・第2弾は、追ってニュースコーナーでも取り上げていきますので、ぜひともチェックしてみて下さい。



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