苦行を捨てたシッダルタは、村の娘スジャータの命を救うために飛び込んだ世界で 宇宙と生命の姿を目の当たりにするという素晴らしい体験を得る。 ピッパラの樹の下で、その体験を動物たちにむちゅうで話して聞かせ やがて深い瞑想に入っていくのだった。 |
そんなシッダルタの目の前に現れたのが コーサラ国の巨人兵士ヤタラだった。 |
どれいとして迫害され両親を殺され、 そんな過酷な運命ゆえに 凶悪で不死身の巨人と化したヤタラ。 |
同じくどれいの母を持つルリ王子だけには心を許し、 彼に仕える事になるが、 冷徹なルリ王子は、ヤタラが慕ってたその実母を 死のふちに追いやってしまう。 |
彼女の死をまのあたりにし、 何もかもに絶望し 自暴自棄になったヤタラは 死にたい思いで川をさまよう。 そして流れ着いたのが、 シッダルタの前だったのだ。 |
そんな彼にシッダルタは 「全ての存在には意味があり、あらゆるものとつながりをもっている」と教え諭すのだった。 自分にも生きている意味があるのだと、その言葉に強くうたれたヤタラは感謝して去って行く。 |
ヤタラが去った後、 さきほどの言葉は 自分が自分に教えた言葉だと 気づくシッダルタ…、 |
むかし、ある栄えた町があった。 大勢の旅人がそのあかりに引き寄せられてその町にやってくる。 盛り場は昼のように明るく、着飾った女は男達にぜいたくな食事をねだり 男達は一円でも多くもうけるために、かなりあくどい商売をしているのだった。 |
その町はずれに、 まずしく、みすぼらしい 水売りの親子が 住んでいた。 |
父親はつつましい暮らしに満足していたが 息子はぜいたくな生活に憧れて家を出て行く。 料理屋の下働きからはじめ頭角を表した少年は、 やがて店をまかされるまでになる。 そして、がめつくもうけ続けていくのだった。 |
ある時、 不思議な仙人からもらった ひょうたんを覗いてみると、 そこには煩悩の炎に 焼かれる自分の姿があった。 |
それでも少年は がめつくあくどい商売を続ける。 そして、それは ライバル料理屋との 何十万本ものローソクを使った 過激な宣伝合戦へと エスカレートしていくのだった。 ひょうたんの中で 少年のからだが 煩悩の炎ですっかり 包まれた時、、、 宣伝用のローソクが元で 町中が大火事になる。 そして、 町はすっかり焼け野原に なってしまったのだった。 |
命からがら、 町外れの家にもどった少年、、、 |
ひょうたんを通して 父親をのぞいてみると、、、 父親の姿には、 青い炎の ひとかけらもなかった。 |
生まれてすぐに母を亡くし、 体も弱かったシッダルタは、 物思いにふけって ばかりいる子供だった。 とくに死について 思い悩んでばかりいた。 |
農耕祭では土から出た虫を鳥がついばみ、その鳥もあっという間に他の鳥のえじきになり… 狩りでうさぎの命を奪ったともだちが、今度は自分の命を事故で落とし…、 そして、タッタによって城から連れ出され、見せてもらった世界には 病気と老いと死があふれていたのだった。 |
思い悩むシッダルタの前に謎のバラモンの老人が現れる。 そして、シッダルタを砦の廃墟へといざなうのだった。 |
東の門にはよぼよぼの年寄りがいた。 | |
南の門にはひどい病人。 | |
西の門には死人…。 | |
そして残された北の門には、 老人自身が待っていた。 |
シッダルタはそれが「出家せよ」というナゾかけだと気付く。 老人はシッダルタに告げる。 |
この事をきっかけに、やがて若きシッダルタは、出家を決意していくのだった。 |
年老いた修行僧が砂漠で行き倒れる。 老人は飢え、渇き、そして疲れで、もう一歩も動くことが出来なかった。 |
そこへ現れた三匹の動物たち、老人を救う為に、それぞれ食べ物を探しに行く。 |
熊は川で魚を捕ってくる。 |
狐は土の下から木の根や、 木の実を掘り出してくる。 |
しかし、非力な兎は、 何も見つける事が出来ずに みんなの前に戻ってくるのだった。 |
熊や狐に責められる兎であったが、老人に火をおこしてくれと頼む。 |
そして「自分を食べてくれ」と言い残し、 自ら火の中に飛び込んでいくのだった。 |
弟子たちにこの説話を 語って聞かせるアシタ師。 難解なこの説話の真意を 悟るものこそが 偉大な覚者であり、 その人はやがて 現れるだろうと告げる。 |
そして幾年月が過ぎ、アシタ師の予言の通りに、 この説話の意味を、分かりやすい言葉で民衆に伝えるブッダの姿があった。 |
【解説】